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現代のカタナも、圧倒的に『他』と違う
新しくなったKATANAにはじめて跨った瞬間、そこからもうドキッとさせられました。
ハンドル越しに見えるものが違うんです。
エンジンをかけてさえいないのに。
タンクからつながるカウルのデザインが、あまりにも他とは違って……
KATANAってこんな風景の見え方をするのか、と。
それが最初の印象でした。
すこしバイクから距離をとって眺める立ち姿も同じこと。
発売から1年弱が経とうとしていますけど、その間にじわじわと理解させられた感じ。
やっぱり、こんなスタイリングは他にありません。
それはもう『強烈』と言っていいレベルです。
写真で見るよりも、実車のインパクトは想像を超えてきました。
そもそもスズキにとってKATANA/カタナという名前はレジェンドです。
1980年のドイツ/ケルンショーでの発表と共に世界中の話題をさらい、爆発的な人気を誇ったバイク。
ボクは当時まだ小さな子供で、そのデビューを現役で見ていた訳じゃありません。
でもきっと、世界中のライダーたちは衝撃と受けたと思います。
さっきのボクと同じように「なんだこれは!?」って驚いただろうから。
でも偉大なるレジェンドがいるからこそ、新型KATANAは賛否両論。
KATANAはこうじゃない、って声もあります。
当時の衝撃を知らないボクのような若輩者が、そんなレジェンドを云々する資格はないのかもしれません。
けれども1980年の衝撃を直接知らないボクにとって、新型KATANAは確実に『新しいモノ』だったんです。
新しいカタナは予想を何度も裏切ってくる
そして、走り出してさらに驚きました。
動きが、軽い。
1000ccクラスの4気筒エンジンを搭載していながら車両重量215kgなのだから、そもそも軽いんですけれど、それ以上に『感覚として軽い』んです。
ヒラヒラ軽快、鋭いというよりも、思い通りに動かせるという自在感。
そっちの感覚が強い印象でした。
この自在感はたぶん、アップハンドルによるライディングポジションのおかげ。
KATANAはセパレートハンドルでなければ!という美学があることも知っていますし、実際にセパレートハンドルに低く伏せるライダーの姿って美しい。
だけど……実際に乗ることを考えると、やっぱりアップハンドルのメリットは大きいですよね。
上体を起こせるライディングポジションが疲れず、快適なのはもう当然。
それよりもありがたいのは、バイクを操るうえでの基本中の基本『腕に力を入れない』が自然にできること、です。
新型KATANAのエンジンは現代のテクノロジーで、MAX148馬力を叩き出す高出力と鋭い吹け上がりが備わっています。
そんなバイクを乗るにあたって『普通に走るだけでも大変』じゃ、お話になりません。
このスタイルを見てもわかるように、新型KATANAはサーキットに特化したスーパースポーツじゃない。
あくまで公道がターゲットなんですからね。
シート高は825mmで、リッタークラスのロードスポーツとしては標準的。
身長176cmのライダーだと両足カカトまでべったりの安心感です。
でも同系の車体を持つGSX-S1000/Fよりも15mm高いんですね……気づかなかった。
ライダーの着座位置ってハンドリングにものすごく影響が出ます。
はじめに感じた『体感的な軽さ』の一因はこのあたりにもありそうです。
それにしても、148馬力とは思えないくらいにとっつきやすいのが印象的でした。
街中やちょっと荒れている路面でもギクシャクしません。
先に言ったアップハンドルによる自然な乗車姿勢に加えて、新型KATANAはスロットルグリップの形状が独特のものに変更されているんですが、それの効果が予想以上みたい。
スロットル全閉から数ミリ開ける、とか歩くようなスピードからの再加速など、そこでのドンツキがありません。
力強さはリッタークラス。レスポンスだって鋭い。
なのに、気分としては750ccクラスのように安心して扱えます。
ひょっとして新型KATANA、けっこうフレンドリー?
エッジが効きまくりのスタイリングに高出力エンジンの組み合わせなので、そうは言っても手強さがあるだろうと思っていましたけれど……これは多分、大型バイク初心者にもすごく優しいと思います。
カタナに乗ると即ヒーロー状態!?
このスタイリングなので、街でも(自慢げに)乗りたくなりますから扱いやすいのは大歓迎です。
ちなみに注釈があります。
ここ、わりと『重要』かもしれません……
新型KATANAですが……街での注目度がハンパじゃないのです!
お仕事中の営業車から信号待ちでガン見される程度は当たり前。
むしろ信号待ちのたびに毎回、その状態を繰り返します(笑)
せわしない朝の時間帯。見知らぬ人に突然、めちゃくちゃ大きな笑顔で『グッ!』とサムズアップされたのはかなり斬新な体験でした。
それだけじゃなくて気がつくと写真を撮られていたり、動画まで撮られていたり!?
それでも目が合うと、笑顔がニカッって返ってきます。
びっくりしますけどね(汗)
でも悪い気はしません。
すこし気恥ずかしさもありつつの、なんだかヒーローになった気分です。
これってフェラーリとかランボルギーニみたいな、他にはないスタイルの超絶スーパーカーが偶然に通りがかった時のシチュエーションに似ています。
でもそれより、もうちょっと知らない人との心の距離が近い、温かい感じ。
新型KATANAには“そこにあるだけ”でみんなを笑顔にさせる力があるんだってことを思い知りました。
ただし! シャイな性格のかたは要注意ですよ?
逆を言えば、めちゃくちゃ目立ちすぎますから(笑)
そして、街から郊外へ。
そこでKATANAは優しいだけじゃない一面も見せてくれました。
後編▶▶▶ワインディングで走ると『他と違う』がさらに際立つ!