2021年8月に発売されたばかりの新型GSX-S1000があまりにも楽しくて、これまで最高だと信じていたGSX-S750への気持ちがすこし揺らいでしまったのですが……

2021年のいま『GSX-S750』の立ち位置は?

今の時代は1000cc以上の排気量も200馬力級のハイパワーも当たり前。そんな中で、国産唯一の750cc/4気筒エンジンを搭載したスズキのGSX-S750は、ちょっと中途半端に感じられるバイクかもしれません。

だけど、その本質は格上のリッターバイクの背後を脅かすヒットマン。GSX-S750は公道を走る大型スポーツバイクとして、完成している。

私(北岡)はそう信じて疑っていませんでした……新型GSX-S1000に乗ってみるまでは。

新型GSX-S1000はすさまじく進化していて、それこそGSX-S750の『格上バイクを撃ち落とす』というお株を奪うほどの仕上がりになっていたんです。

GSX-S750は2017年登場のバイク。もはや2021年の最新型には敵わないのか。

個人的に大好きなバイクだからこそ、そこが気になって仕方ない。だから今回、もういちどGSX-S750に乗ってみることにしたんです……がっ!

みなさま、ご注意ください。

私(北岡)はこれから、スズキのセールスマン顔負けの勢いで、改めてGSX-S750をベタベタに褒めていくことになります。それはもう暑苦しいレベルで。

だって、結果としてGSX-S750は、やっぱり神バイクだったんです!

走り始めて100mで『GSX-S750』を思い出す

結局なーんの心配も無かったんですよ、結論として言うなら。

750ccの4気筒エンジンに火を入れると、響き渡るのは(新型GSX-S1000に比べると)すこし大人しい4気筒サウンド。だけどそれが耳に心地よくって、いい感じ。

そこからクラッチをつないで……もうその瞬間から『あ、これこれ』って嬉しくなっちゃった(笑)

GSX-S750には不思議な『軽さ』がある

前編でも言いましたけど、GSX-S750の車両重量は212kg。新型GSX-S1000と比べて2kg軽いとはいえ、その程度です。

だけど、サイドスタンドを払ってバイクを引き起こす時点で、その軽さに驚く。体感的には212kgよりずっと軽く感じます。

そしてクラッチがつながった瞬間、フワリと車体から重さが消えるような感覚でバイクが走り出すんです。

強烈なパワーで重さを感じさせない、とかじゃなくて、スウッと車体が浮かびあがるようなフィーリング。滑るように走る……とでも言っておきましょうか。はっきり言って極上でしかない。

発進だけで既に気持ちいい(笑)

そこからスピードを乗せるためにアクセルをじわっと開けていく訳ですが、GSX-S750っていうバイクは常用回転域の3000~6000回転あたりが本当に天使のフィーリングです。

軽やか? 滑らか? そうなんだけど、ちょっと違う……タイヤで地面を走るバイクに対しておかしなことを言いますけど、実は地面から数センチ浮いているんじゃないか? と思うほどの心地よさがあります。

これね、たぶん『エンジンの豊かさ』なんだと思う。

GSX-S750はバリバリのスポーツバイクだから、これまで思い至らなかったんですけど、たぶんこのバイクには『味わい』があるんです。スーパースポーツ譲りの4気筒エンジンなのに、優秀な旅バイクに感じるようなテイスティさがある。

陳腐な言い方をするなら『いつまでも乗っていたくなる』とか『どこまでも走りたくなる』とか、そういう感じ。

およそスポーツバイクに相応しくない感想かもしれませんが、たぶん間違ってない。

常用域におけるテイスティな回転フィーリング。なのでGSX-S750は、さらっと夜の街を流すだけで、やたらと高い満足感が得られます。

ちなみに、この『小一時間走るだけで充実』な感覚は、私の愛車である2代目『隼』様に通じるものがあると気づきました。だから好きなんだな、このバイクのこと(笑)

(下に続きます)

そして、この『3000~6000回転の極上』こそが、今回のキーワード。

高速道路でもツーリングでも、ワインディングでスポーティに走るシーンでも。

それが土台にあるから、GSX-S750は常に最高だと感じられる。

それもあって今回はじめて気づいたんですが、実はGSX-S750って『ツーリングバイク』としても、かなり優秀かもしれないのです!

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