SUZUKI GSX1100E(1980年)
「GSX1100S KATANAのベースマシンとなった輸出モデル」
スズキ初のリッターバイクとして1978年に登場した「GS1000」の後継モデルとして、1980年に輸出専用モデルとして発売されたのが今回紹介する『GSX1100E』です。
GS1000の排気量を更にアップさせ、DOHCのエンジン性能を向上するためにバルブ数を増やして4バルブ化。
また、剛性・強度の高い一体式クランクシャフトを搭載し、シリンダーヘッドに2つのドームを設けた「TSCC」を採用することで更なる高出力化に成功したエンジンを搭載したモデルでした。
GSX1100Eの最高出力は8700回転で100馬力、最大トルクは6500回転で8.7kgmを発揮するハイパワー化を実現。
市販車で100馬力オーバーを達成し、当時の量産車では世界最速と呼ばれていたほど、スズキ渾身のフラッグシップモデルとして登場しました。
また、デザインのインパクトを高めるために、それまで一般的だった丸型ヘッドライトを、四角い大型ヘッドライトに変更。
その奇抜なルックスから、後に国内仕様として登場する「GSX750E(1980年)」と共に、ファンの間では通称「ベコ(牛)」の愛称で親しまれていたことも有名です。
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そして、当時のスズキ最大排気量を誇った1100ccのパワフルなエンジンを搭載したGSX1100Eは「ケルンの衝撃」と呼ばれるほどの一大センセーションを巻き起こしたレジェンドバイク「GSX1100S KATANA」のベースモデルになったことでも知られています。
現行車に例えるならどんな車種?
さて、ここからはあくまでもスズキのバイク編集部 岩瀬の個人的な主観で「現在のバイク」に置き換えてみる妄想企画です。
レジェンドバイクGSX1100S KATANAのベースモデルとなった「GSX1100E」を、もし現行モデルと比較するなら、もちろんその末裔となる新型「KATANA」になるでしょう。
2018年に衝撃の復活を果たし、わずか3年後の2022年モデルで第二世代へと進化した新型「KATANA」。
カラーチェンジだけに留まらず、電位制御スロットルとなる「スロットル・バイ・ワイヤ・システム」を新採用し、アップ&ダウンの両方に対応するクイックシフトシステムも標準装備されました。
さらに、電子制御システム「スズキ・インテリジェント・ライド・システム(S.I.R.S.)」や「スズキクラッチアシストシステム(SCAS)」も標準装備され、従来型よりもレベルの高いスムーズさとスポーティな走りを手に入れています。
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ステムとハンドルポストの間にゴムパーツを組み込んで、エンジンや走行で受ける振動を軽減してくれる「ラバーマウント」ハンドルが採用され、インストゥルメントパネルにも小変更が加えられるなど、各所もブラッシュアップ。
全体のスタイリングこそ初期型から大きな変更はありませんが、これまでの印象をガラリと変える「マットステラブルーメタリック」と、継続カラーながら各所のカラーチェンジが行われた「ミスティックシルバーメタリック」の2タイプがラインアップされます。
GSX1100Eの登場によって誕生したKATANAシリーズのDNAは現在でも確実に受け継がれています。