パニアあり/なしで『GSX-S1000GT』は別のバイクに
はっきり言っておきたい。
パニアケースを装着してSDMS(スズキドライブモードセレクター)の走行モードをB(Basic)にセットして走った場合、GSX-S1000GTは完璧に『グランドツアラー』してました。
一般的なイメージでいうリッタークラスのGT系ツアラーよりも、軽くてコンパクトなこと武器として、穏やかなハンドリングとシルキーな4気筒フィーリングに支えられつつ、どこまでも走っていけることでしょう……
だがしかしっ!
私(北岡)は認めない!(笑)
パニアケースなしの状態で走行モードをA(Active)にして走った時のGSX-S1000GTと落差が大きすぎる。もはや別のバイクだと思ったほうがいいくらいに違うので、そこを誤解しちゃいけません。
まぁ正直なところ、このバイクを買ったとしたら、わざわざパニアケースを外して走る、という人は少ないかもしれないです。
快適なツアラーとしてのんびりツーリングを楽しむ。その用法に間違いはないし、十分な幸せを感じられると思います。
けれど、私は思うんです……
『それなら別に、GSX-S1000GTじゃなくても良くない?』
って。
だって、快適さに特化した大排気量ツーリングバイクなら他にもあるし。
でもGSX-S1000GTって、ちょっと他と違うじゃないですか?
スーパースポーツGSX-R1000譲りのパワー系4気筒エンジンと強固なフレーム。それによって実現できている車両重量の軽さ、ボディのコンパクトさ。それらを活かすためにも、パニアケースだってちょっと小振りなサイズ感だし、運動性能を阻害するトップケースはあえて純正オプションに設定していない。
要所要所に『絶対、走りは捨てませんから!』っていう、スズキの気概みたいなものが感じられる訳です。
GSX-S1000GTは軸足を『スポーツ』に置いている
となると……やっぱりこのバイクの軸足は、スズキのスポーツバイクの称号たる『GSX』側にあるんだと思います。
2015年に登場した先代のGSX-S1000シリーズっていうのは、そもそもが『アップハンドルのスーパースポーツ』みたいなバイクだった訳ですが、本質的なところはきっと変わってない。
グランドツアラーとして今年2022年に登場したGSX-S1000GTだって、根本的なところで言えば同じなんだってこと、今回パニアケース仕様に乗ることで、逆に感じることができました。
先にも言ったようにパニアケース付きのGSX-S1000GTは走行モードによっては文句なしに快適ツアラーとして走ってくれます。
だけど誤解を恐れずに言えば、そのツアラーらしさは、このバイクの本質に『上乗せ』されたもの。
あくまでもこのバイクは『パニアケースを外して、フルパワーAモードで走った時』がその本性です。
そこまでやる人は少数派でしょうけど、サスペンション(特にフロントフォーク)のセッティングをもっとスポーツ方向に調整してやれば、言葉どおりの『アップハンドルのスーパースポーツ』に仕立てることもできるはず。
つまりこのバイク、GSX-S1000GTというのは……
どこまでいっても『走りのバイク』なんだっていうこと。
もし今後、GSX-S1000GTが気になっていて真剣に購入を検討している人がいたら、そのことを忘れないでください。
仮に購入する前に試し乗りする機会が得られたなら是非とも『パニアなし/Aモード』で走ってみて欲しいです。その状態で感じるGSX-S1000GTが気に入ったのなら、このバイクはその人の最高のパートナーになってくれるに違いありませんから。
そして、自分でも『おかしなことを言ってるな』という自覚を持ちつつ、それでもこう言っておきたいと思います。
GSX-S1000GTは文句なしにグランドツアラーだけど、ツアラーじゃないぞ! と。
限りなく意味不明。ですが私としては、そういう感じなんです。
(下に続きます)
でもここで『それ、いいじゃないの!』って思っちゃった人がいたら、GSX-S1000GTは超絶おすすめ。
ここまで明確に『走り』と『快適』を使い分けられるバイクも珍しいです。
1台買って、2台ぶん楽しめる一人二役のスーパーツーリング。
改めて思ったけど……
GSX-S1000GTって、かなり『お買い得なバイク』なんじゃないかしら!?