新型直列2気筒800ccエンジン搭載車の中で『最も高負荷に耐えられる』というGSX-8R。ついにその真相を確かめる時がやってきた……

GSX-8Rは『優しいツアラー』か『スポーツバイク』か

曲者ぞろいのスズキ2024NEWモデル……そのうち『GSX-S1000GX』に関してはじっくり時間をかけて乗ることで、ようやくその正体に近づくことができたと思っています。

GXは「なんだかスズキらしくないなぁ……」というのが第一印象でしたが、この時点では既に『アレはヤバい代物だった』ということが判明しています。

そして私(北岡)が完全にダマされた2024NEWモデル第二弾!

今回のターゲットは『GSX-8R』です。

こちら、初見では『やさしいバイク』もしくは『ツアラーっぽい』という印象で終わっていました。しかし開発陣の言からは「そうじゃない」という雰囲気がたっぷり。その時の顛末はよろしければ過去の記事をご覧ください。私、なかなかの苦汁を舐めさせられました……

そして、今回は結論を先に言ってしまいます。

GSX-8Rは今(2024年6月時点)のスズキ大型ラインアップに似た走りをするバイクが無いということがひとつ。そして8Rの中に『耐久レースのスズキ』を感じたということです。

ただ、見た目だけで言うなら特に『耐久のスズキ』を感じさせる要素はありません。現代的に洗練されたフルカウルスポーツバイクっていう感じ。

スズキらしい個性をうまく現代的なデザインに落とし込んでいます。フェイスデザインとか特に『スズキだ!』ってすぐにわかるのが推しのポイントね。

そして過去の『初乗りの第一印象』でも言ったことですが、このバイクはセパレートハンドルのフルカウルスポーツにも関わらず、跨ってみるとけっこうな肩透かし感があります。

その最大の理由は乗車姿勢。

ハンドル幅が広いのもそうですが、それよりもハンドルの高さと位置。誤解を恐れずに言うと『アップハンドルとさほど変わらない』という“跨り感”でした。シートの座る位置によっては上半身を直立に近いレベルまで起こすことだって可能です。

これ快適でいいなぁ……と思うんですが、同時にスポーツバイクとして「これでいいのか?」とも感じる。そういうライディングポジションで……

おかげでまぁ……高速道路のクルージングなんて快適そのもの。

ただし小ぶりなウインドスクリーンは「スポーツバイクとしてのもの」で、カウルに潜り込むように伏せないとライダーの上半身にはそれなりの走行風を受けます。

なので、このバイクでツーリングも楽しみたい人は、純正オプションにラインアップされている「ツーリングスクリーン」を投入するのがおすすめ。これは今回、きっちり乗った実体験としての感想です。

このバイクに対して私が感じたことは後述していきますが、それでもやっぱり初見で感じた「ツーリングも十分以上に楽しめるフルカウルスポーツ」という印象に変わりはありません。

ちなみにウインドスクリーンは社外品でのカスタムもアリだと思いますが、個人的には純正がおすすめ。風洞など実験設備やデータの蓄積がメーカーはレベルが違います。社外品に交換したら前からの風は防げるようになったけど、後ろから妙に風を巻き込むようになったというのは「よくある話」です。

ちなみに余談ですが、これだけツーリング力が高いと、もうちょっとツーリングバッグが積みやすいといいのになぁ……と欲が出たりもしました。これはGSX-8Rに限った話じゃありませんが、最近のスポーツバイクは車体後方にバッグのストラップを掛けるフックが無いものがほとんどなので……なんでなんだろ?

まぁ、最近はこういうスタイルに対応した進化系バッグもあるし、純正オプションにガッツリ固定できるサイドバッグもあるので、問題ないといえば問題ないんですけど。スズキさんはユーザーを大事にしてくれるメーカーなので……

さておき、GSX-8Rの『走りの話』に戻ります。

スズキ開発陣のインタビューでは、GSX-8Rは同エンジンを搭載するシリーズの中で『最も高負荷に耐えられるバイク』であり『サーキットも想定している』とのことなので、大型バイクで走りやすいワインディングへ突撃!

準備体操までして気合も十分で……

(下に続きます)

この日は春らしい暖かさで路面コンディションも良好。GSX-8Rの正体を見極める条件は完全に出揃いました。

そうして走り出して感じたこと。

GSX-8Rはやっぱりバッキバキのスーパースポーツじゃないみたい。

だけどこれって……え?

なんだか『今日の俺どうした!?』っていう事態が待っていたのです……

【文/北岡博樹(モーターマガジン社)】

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