スズキ初の電子制御サスペンションを搭載したグランドクロスオーバー『GSX-S1000GX』で泥沼にハマりそうな「ユーザーモード」を試してみたら『え? 嘘だろ!?』となったお話です。

さらっと『GSX-S1000GX』の電子制御サスペンションをおさらい

電子制御によってサスペンションの減衰力やプリロードを変化させられるのがいわゆる『電子制御サスペンション』なのですが、先の【前編】でお伝えしたとおり、私(北岡)の感覚的には「あったらいいな」くらいのものでして……

それがなぜかと言えば『機械式サスペンションだって悪くない』というのがいちばんの理由。機械式サスペンションだって日々進化しているんだし、それで十分じゃないか? と。

それに減衰力がどうとかプリロードがうんぬんとか、なんだかんだで難しい。けっこうなレベルで走りに本気の人じゃなければ「サスペンションのセッティング」なんてほとんど無縁だろう……と思っています。

だから『手元のボタン操作で乗り心地を変えられます!』と言われても、いまいちピンとこない。私もですが、同じような感覚の人ってけっこう多いのではないでしょうか。

※写真は2025カラーです

それを「なるべくわかりやすく」したつもりなのが昨年2024年6月のGSX-S1000GXツーリング記事です。いろいろと四苦八苦もしましたが『ある程度の答え』には辿りつくことができたように思っていました。

高速道路をダラダラ流すとき、ワインディングでシャープさが欲しいとき。私なりにですが「おすすめの走行モード」を考えています。ご興味があれば過去記事もどうぞ。

でもそのときは基本的に『メーカー(スズキ)がプリセットで用意した各モードの組み合わせ』でやっていたんです。

サスペンションに興味がない人にはそれでも十分に難解だと思う。でもその先にはまだ、オーナーが自分好みにサスペンションのセッティングを決められる『ユーザーモード』がありまして……

ぶっちゃけた話ですが『泥沼になりそう』だったので後日へ持ち越し、今日に至ります。

それで、ですね?

私は今日まで(やったこともないのに)GSX-S1000GXの電子制御サスペンションの『ユーザーモード』は「プリセットの組み合わせ」を自分好みの状態で保存できるものだと思っていたんです。

でもごめんなさい。ぜんぜん違った……

このユーザーモード、どうやら既定プリセットの上限をさらに上げる(もしくは下げる)ことができるみたい。そしてその結果、最終的にGSX-S1000GXが大化けした!?

GSX-S1000GXをさらにスポーティにできる!?

この「ユーザーモード」のセッティングをするためには、まずRIDEモードの変更から入っていきます。この時点で見た感じがもう難しそうなんだよナァ……だからこの先へは今日まで踏み込んできませんでした。

これでもトリセツ(オーナーズマニュアル)を見ながらやってるんですよ。でも知ってる? GSX-S1000GXのオーナーズマニュアルって約450ページもあるんだぜ?辞書かよ。

でも今回は『ユーザーモードの実験』がメインなのでおそるおそるやってみることに。

そうしたら……え?

なんだこれ?

ユーザーモードの『ベースにするモード』を選べってことか?

ADCだからアダプティブ・ダンピング・コントロール……つまり減衰力調整ね。よくわからんけど、とりあえず2024年の記事で「ダンピングはHARDがいちばんスポーティに車体が動く」という認識でいるため何となく『HARD』に設定。

そこから……

フロントフォークとリアサスペンションの減衰力を変更する……って、これどういうこと?

0(ゼロ)って?

ますますわからんのでとりあえずカチカチしてみる。

どうやら前後サスペンションをそれぞれ、0を起点にプラス3からマイナス3まで減衰力を増減できる(伸び側と圧側は一緒に強く or 弱くなる)らしい。

ということはちょっと待て?

つまり前後ともプリセットの『HARD』のカタさ(厳密にはサスの動く速さ)から、さらに3段階も締め上げられるってことか?

プリセット『HARD』よりも“さらに上のHARD”があるなんて……オマエそんなことできたのかよ!? そういうことはもっと早く言ってくれないと!

GSX-S1000GXは『どこまで行ってもツアラー』だと思っていた

こうなると話が大きく違ってきます。私としてはけっこう一大事。

なにせ私は前回の記事で『ハンドリングの感覚は強いて言えばGSX-S1000GTに似ているような印象でした』と言っています。その理由は「そうは言ってもフロントが柔らかいと感じた」からに他なりません。

だからGSX-S1000GXは最終的にクロスオーバーであり、軸足はツーリングバイクである、と自分の中で結論付けていたんです。だけどプリセットのHARDからさらに減衰を締め上げられるとなれば話は大きく変わってくる。

そこからさらなる衝撃!?

なんとリア側のプリロード調整も0(規定値)を起点としてプラス4からマイナス4まで調整ができるみたいです。オーナーズマニュアルを読み解く限りではマニュアルモード『ひとり乗り』『ひとり乗り+荷物積載』『ふたり乗り+荷物積載』それぞれに対し、ここで設定したプリロードの強さが反映される模様。

ちなみにプリロードをプラスにすると初期荷重が強くなり、リア側の車高が上がります。マイナスはその逆。

うーん、でもこの時点でもやっぱりけっこう難しい。ということで、一度ざっくりまとめます!

要するにユーザーモードを使うことによって……

①ユーザーモードのダンパー調整は標準プリセットの組み合わせで可能な「最もスポーティなセッティング」のさらに上が狙える、ということ。感覚的にはサスの動きをさらに硬くできるイメージです。

②ユーザーモードのプリロード調整は(乗車1名の時に)最もリア側の車高が上がってクイックに車体が動く『ふたり乗り+荷物積載』モード以上にリアの車高を上げてスーパースポーツみたいな「前下がりの姿勢」を作り出せるということ。

実際に走るときはライダーの体格や好みに合わせての調整になるので一概に「サスペンションを硬くすればいい、前下がりの姿勢になればいい」というものではないです。

だけど今回は『実験』なので極端にいきます!

(下に続きます)

理解するのに時間がかかりましたが、ここからようやく実走です。

そうして走り出してみたところ……ヤバかった。GSX-S1000GXが『ツーリングバイク』から『スーパースポーツ』に限りなく近くなっていく。

おいおい……

これってつまり、GSX-S1000GXの本領は『ユーザーモード』を使わないと存分には発揮できないってことじゃないか!?

NEXT▶▶▶実は“底なし”だった『GSX-S1000GX』のコーナリング

スズキファンのためのWEBサイト!