はじめは懐疑的だった。だけどその効果はすさまじく……このバイクなら1日1000kmなんて余裕だと思う。

新型『GSX-S1000GX』は恐るべきツアラーになったと思う

レースの世界でもてはやされる空力パーツ『ウイングレット』が追加され、新型となったGSX-S100GX。

はじめは『ツーリングにウイングレットは必要なくない?』と思っていたけど、実際に乗ってみたらこれまで持っていた『バイクの常識』がひっくり返るような体験をすることになりました。

200万円オーバーの高級ツアラーで、東京から山形まで「ただラーメンを食べに行くだけ」の日帰りツーリングに出発。

そのツーリングを走り終えてみて、いちばんわかりやすい結論を言うなら『東京-山形の往復は新型GSX-S1000GXには近所すぎた』ということです。

だからといって距離を走っていないわけじゃない。総走行距離は905.8km。日帰りツーリングとして考えれば立派なもんです。

そのうえで真に恐るべきは『この距離を走ったにも関わらず、帰宅してから体力に余裕がある』ということ。新型GSX-S1000GXはウイングレットを手に入れることによって1日1000kmなんて当たり前のバイクに進化したんだと思います。

このツーリングは「ほとんど夏至」のタイミングだったので日が長かったのもあるのですが、日の出の4時半に出発し、そこから蔵王を走って山形市でラーメンを食べて、街をすこし散策してから14時すぎに帰路へ。

東京が近くなってもうっすら空が明るかった。それがものすごく印象に残っています。そうは言っても900km走ってるのにね(笑)

新型『GSX-S1000GX』の最大の進化ポイントは?

新型GSX-S1000GXの最大の進化ポイントは、さらっと言うなら『ウイングレット装着による高速道路の快適性向上』です。

でも実際は「快適になりました!」なんていうレベルじゃありません。

【② 高速道路 編】でも言いましたが、新型の走りは『1600ccとか1800ccなどで6気筒エンジンを積んでるような巨大ボディのハイエンドツアラー』に匹敵する走りを見せます。

ウイングレットはフロントタイヤの接地感を高めるものだと思っていたけど、印象としては『すべてがしっとり落ち着いた乗り心地になる』というものでした。

でもこれはウイングレット単体ではなく、GSX-S1000GXが搭載する電子制御サスペンションとウイングレットの相乗効果によるものだと考えています。

だってウイングレットは走行速度によって負荷が変化します。そうなれば通常の機械式サスペンションだとセッティングにズレが生じてくるのは自明の理。だけど電子制御サスペンションならウイングレットによる負荷の変化に、柔軟に、かつ即座に対応できる!

優秀なサスペンションと最先端のエアロダイナミクス技術がひとつに。それがGSX-S1000GXを高みへと押し上げてる。そこにはちょっとした感動すらあります。

そして今回、私は高速道路で給油するたび『え? もう!?』と思っていました。

あまりにも快適すぎて距離と時間の感覚がおかしくなるんです。トリップメーターを見ればちゃんと距離は走ってるのに、体感としては「さっき給油したばかりなのに……」なんていう気持ちになる(笑)

GSX-S1000GXの燃料タンク容量は19Lですが『これじゃ足りないよ!?』なんて思っちゃったくらいです。従来型のときはそんなこと思わなかったのに。

一般道で持て余さない

そして、その高速道路の快適性を持っていながら高速道路を降りたあと、一般道でバイクを持て余さないというのが不思議な体験でした。

先に言った『巨大ボディのハイエンドツアラー』の場合、高速道路はラクなんだけど一般道に降りてからはデカい&重いに手を焼くことがあります。

だけどGSX-S1000GXは(もちろん大柄だけど)一般的な大型アドベンチャーの範疇にあるボディサイズだし、車両重量も232kgにまで抑えられてる。ウイングレットが作用しない速度域では『普通に軽快』に早変わり……こんな体験は過去にしたことがありません。

私(北岡)はツーリングが好きで、雑誌編集者だったころに『24時間でどこまで走れるか?』というアホなツーリング企画を2回ほどやったことがあります。1回目は東京から出発して鹿児島の最南端まで。2回目は東京から北海道の宗谷岬まで。距離はどちらも1500kmくらいでした。

その経験ありき、で言います。

あくまで私の体感ですが……新型GSX-S1000GXも『それができるバイク』です。なんならこのバイクがいちばん快適にそれを達成できるかもしれません。

つまり新型GSX-S1000GXは『1日1500kmを狙えるバイク』だということです。

ちなみにこの基準はあくまで『安全なツーリングペースで』という前提の話。無法にトバしたりせずとも1500kmを走破できる、という意味だとご理解ください。

いや本当に……新型はとんでもないバイクになったと思います。どちらかといえばライダーの体力よりも『もっと昼間が長ければ、さらに距離を伸ばせるのに!』って時間が足りないことを嘆く気分になるくらいです(笑)

さておき、バイクではよく『レースで培った技術からのフィードバイク』という謳い文句を聞きますが、新型GSX-S1000GXのウイングレットはまさにそれ。しかもそれをスーパースポーツではなく、普通の人が普通に楽しむ「ツーリング」の範疇に落とし込んできた。

これには素直に頭が下がります……さすがスズキ、と言うしかない。

(下に続きます)

今回のバイクはスズキさんから借りた試乗車なので、これを書いている時点で車両は返却済みです。もういつもの日常に戻ってる。なのに、まだ新型GSX-S1000GXのことが忘れられません。

だから今、本当に思ってることを言います。

あーぁ!

新型GSX-S1000GX……返却したくなかったナァ!?

よろしければ最初の『①質問編』からどうぞ!

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