全日本のスプリントレースでもトップクラスの走りを見せたサスティナブルGSX-R1000Rと津田選手に称賛!
スズキの社内チームで結成され、持続可能なサスティナブルパーツやバイオ燃料で構成された「GSX-R1000R」で昨年2025年も鈴鹿8耐に挑んだ「チームスズキCNチャレンジ」。
2024年大会は8位、2025大会はトラブルに見舞われながらも33位完走とEXPクラスの実験的マシンにも関わらず、最新最前線のレーシングマシンたちと同等以上の走りをみせてくれました。
しかも昨年は耐久レースとは走行時間やレギュレーションが違うのはもちろんのこと、マシン仕様やセッティング、チーム戦略なども大幅に異なるスプリントレース「全日本ロードレース選手権」にまでスポット参戦していました。
“スポット参戦”といっても第3戦の筑波を除いて、2025年の全日本をほぼフル参戦に近い状態で出場。さらに燃料を昨年の40%から100%に変更したバイオ燃料でも好成績を収めているんです。
ライダーを務めるのは、スズキのマシン開発を長年担ってきた津田拓也選手。もはやスズキの看板ライダーと言っても過言ではありません。
このチャレンジはレースにおけるマシン性能を追求するだけではなく、環境負荷の低減や持続可能なサスティナブル仕様でのバイクの未来に挑むという、もうひとつの大きな命題を背負っています。
サステナブルパーツを実戦の極限状態でテストし、データを収集・熟成させることがミッションでもあるのです。
進化の確かな手応え。SUGOで掴んだ初の表彰台
全日本ロードレース初挑戦の幕開けとなったもてぎラウンド(4月19-20日)では、昨年の鈴鹿8時間耐久ロードレース参戦時の仕様をベースに、あえてセットアップを大きく変更せず「マシンの理解を深める」ことに注力しました。
津田選手は、ファクトリー体制で参戦するライバルがひしめく中で予選8番手からスタート。決勝では終盤まで安定した49秒台のラップタイムを刻み続け、見事6位でチェッカーを受けました。
プロジェクトリーダーの佐原伸一さんは「無事に完走した安堵感よりも悔しさの方が大きい」と述べつつも「バイクの基本バランスは良くなった」と確かな手応えを感じていました。
続くスポーツランドSUGO(5月24-25日)では、コース全面が張り替えられたことで、過去のデータが使えないというチームの真価が問われる舞台となりました。
津田選手は事前テストから好調を維持し、予選では2戦連続となる4番手・5番手グリッドを獲得。
決勝レース1では、一時3位を走行しながらも、最終ラップのイエローフラッグ区間での不運なペナルティにより9位となりましたが、チームのポテンシャルは十分に示されていました。
朝の強い雨の影響で路面はハーフウエットという難しいコンディションでしたが、津田選手は巧みなスタートで一時はトップに浮上します。
持ち前の安定感で周回を重ね、中盤以降は1分26秒台というハイペースを刻みます。着実にポジションを回復し、最終的に3位でフィニッシュ。
CNチャレンジプロジェクト発足後、全日本ロードレース選手権での初めての表彰台を獲得しました!
このレースの終了後に津田選手は「開幕戦を経て、セッティング幅を広げるためのセットアップを進めた結果、パフォーマンス向上を実感できた」と語り、チームの進化に自信を見せました。
チームCNチャレンジはこのレースの後、8月1-3日に開催される鈴鹿8耐に参戦するために、GSX-R1000Rを耐久レース仕様へ戻して鈴鹿8耐に挑んでいます。
もてぎ:猛暑の頂上決戦。トップ争いに肉薄!?
そして夏の暑さが本格化した第4戦・モビリティリゾートもてぎ(8月23-24日)では気温37.1℃、路面温度50℃を超えるという過酷なコンディションでの戦いとなりました。
全日本ロードレース選手権では、レース1・レース2と2回に分けて決勝レースが行われます。公式予選で津田選手は1分50秒台から49秒台で走行し、決勝レースは2レースともに4番グリッドからスタートします。
レース1のスタートで順位を上げると、オープニングラップで一時トップに立つという積極的な走りを見せます。その後もトップグループに食らいつき、熾烈な2番手争いを展開。序盤にトップが抜け出した後も、津田選手は安定したペースで周回を重ね、単独で3位をキープし、再び表彰台を獲得しました。
続くレース2では、オープニングラップを5番手で戻ってきたものの、9周目のV字コーナーでコースアウトし、グラベルの中で転倒……。しかし、しっかり減速していたことから、マシンの損傷は少なく、すぐに再スタート!ラスト3周で14位までリカバリーし、見事ポイント獲得を果たします。
現代のロードレースでは、瞬間の速さもさることなが速さを持続できることが勝負を左右します。その意味で、“戦えるサステナブルマシン”の方向性がようやく現実味を帯び始めたレースとなりました。
オートポリス:悪天候で見えてきたマシン特性
うだるような暑さも少し落ち着いてきた9月13日・14日に大分県・オートポリスで開催された第5戦。レースウイークから秋雨前線が日本列島に停滞することとなり、その南側となる九州地方は暖かい空気が流れ込む影響で大気が不安定な状態での開催となりました。
レース1が行われる土曜日は、朝から厚い雲が空を覆っていましたが、JSB1000の前に行われたJP250クラス決勝では、途中で雨が降り出してしまってレース中断となるほど天候が悪化。コースコンディションがドライかウエットなのか微妙な路面状況の中、JSB1000クラスのレース1は全車スリックタイヤを装着してスタートしました。
津田選手は序盤にリヤタイヤが大きくスライドするなど、マシンのコントロールに苦しみます。
この低く難しい路面温度ではソフト系のタイヤをうまく機能させることができず、津田選手はポジションを落としますが、その後はハイペースに復帰。積極的なパッシングでポジションを回復し、一時は2番手まで浮上しました。
中盤で抜きつ抜かれつのバトルを繰り広げたものの、レース終盤まで2位争いの集団をリードする奮闘を見せます。
このまま2位でゴールできるかに見えましたが、ラストラップに突然雨が降り出し、危険回避のため全員が減速。津田も減速したところでパスされてしまい4番手までポジションを落としてしまいますが、最終コーナーで1台パスしてレース1は3位でチェッカーとなりました。
レース2が行われる日曜は早朝に九州地方から本州にかけて線状降水帯が発生。強い雨と霧に覆われたオートポリスは朝8時から他クラスのウォームアップ走行が予定されていましたがJ-GP3、ST600クラスのレースはキャンセルに。
しかし、正午をすぎるころから天気が一気に回復。太陽も顔を出すなど一気に好天になっていき、JSB1000クラスのレースは当初の18周から12周に減算されてレース2決勝がスタートされました。
レーススタートからうまく飛び出した津田は3番手で1コーナーに飛び込み、さらに前の2台をパスしようと攻め込みます。
しかし第2ヘアピン立ち上がりでリヤタイヤが大きくスライドし、ハイサイドを起こしそうになりましたがうまくコントロールして転倒を回避。そのまま3番手をキープしましたが、上位陣が1分49秒台で走るのに対し、津田は50秒台とやや苦戦を強いられる展開に。
2周目に4番手に後退し、周回を重ねるごとに徐々にポジションを落としてしまう苦しい走りを強いられ、最終的にレース2は8位ゴールという結果になりました。
しかしながら、その背後には確実な前進と、チーム・マシン双方の底力を垣間見ることができ、サスティナブル仕様のGSX-R1000Rがスプリントレースでも充分に戦えることを証明してくれました。
このように『チームスズキCNチャレンジ』は戦えるサステナブルマシンというビジョンを決して夢想に終わらせてはいません。むしろ毎戦ごとに進化を続けています。
そのうえで今年2026年は新型『GSX-R1000R』が登場する予定。ベースマシンの戦闘力が上がれば、昨年以上の結果を期待せずにはいられません。
目下のところ、スズキのみがトライしているサスティナブル仕様バイクでのレース参戦というチャレンジ。その活躍は鈴鹿8耐でみせた耐久性能だけではなく、スプリントレースでも頂上決戦を繰り広げるほど『未来への可能性』を秘めています。
(下に続きます)
さぁ2026年はどうなる?
例年のとおりであれば『モーターサイクルショー2026』で新情報が発表されるはずですが……今年もチームスズキCNチャレンジの活躍に期待したいところです!