スズキが新時代の「日常のアシ」として提案している『e-PO』の試乗会が開催されたんだけど……実際に乗ってみたら「え……っ!?」となりました。

e-PO(イーポ)は『電動バイク』だと思っていたんだけど……

スズキが電動アシスト自転車をベースにして、フル電動で走れる原付一種相当のコミューターを提案していることは以前にもお伝えした通りなのですが……その『e-PO(以下 イーポ)』の試乗会なるものが開発途中段階にも関わらず開催されました。

まだ発売もされないのに試乗会?

だけどスズキさんに呼んで頂けたので実際に乗らせてもらって……アレ? なんか思ってたのと全然違うんだけど!?

ご存じの人もいるとは思いますが、スズキのイーポはパナソニック製の電動アシスト自転車をベースとした原付一種相当の次世代型コミューターです。

私(北岡)として特徴に感じるのは「自転車にしか見えないけどペダルを漕がなくても走れること」「バッテリーが既存の製品なので安心感があること」「折りたたみができること」の3つでしょうか。

特に「折りたたみができること」は魅力的に感じています。普段は日常のアシとして使いつつ、休日はレジャーにも持ち出せるので、かなり楽しみかたの幅が広がると思います。

ちなみに実際に持ち上げてみたのですが……

イーポの重量はバッテリー込みで23kg。めちゃくちゃ軽い! という訳じゃないけど、男性だったらまぁ普通に持ち上げられます。女性でも「ヨイショ!」くらいでイケると思う。

50ccの原付バイク『レッツ』だって重量は70kgあるんだから、それに比べると遥かに軽いです。この程度なら自動車に積むのだって特にストレスはないはず。ガソリンを使わないので車内がガソリン臭くなったりすることもないし、横倒しで積んでもOKなのは大きなアドバンテージです。

そして『とりあえず跨ってみて』まず思ったこと!

なんか思ったより前傾姿勢だった(笑)

乗車姿勢に関してはサドルの高さをどこに設定するかで変わってきますが、私の身長176cmでサドルを「ペダルが漕ぎやすい高さ」にしておくと、わりと上半身がスポーティな感じになります。

おおう……なんだかヤル気が出るぜ! バイク乗りとしての本能を刺激してくるぅ!?

ちなみにタイヤは「走りを楽しむために、履けるサイズで最も太いタイヤ」をセレクト。しかもフロントブレーキは安定した制動力の確保のためディスクブレーキに換装されています。

さすがスズキ製……胸が高鳴るじゃないか。それではお待ちかね!

いざ出陣!

見せてもらおうか、その性能とやらを!?

思ってたんと違う……

え?

あれ?

これって………

めっちゃ自転車!?

かなり予想外だったというか、いわゆる『乗った感じ』は自転車そのものです。言ってしまうと『バイクな感じ』はほとんどありません。

モーターオンリーでペダルを漕がず「フル電動」で走る場合は、加速するために右手グリップ部分のスロットルを回します。このへんの操作感はほとんどバイクと同じ。バイク乗りの人にとっては慣れ親しんだものです。

だけどっ!

バイク乗りマインドで『なるべく腕のチカラを抜いて……』なんて思って走らせると、小径ホイールなことも手伝ってけっこうクイックにフロントが動いちゃう。歯に布を着せずに言いますが「ちょっとフラつくかも……」と最初は感じました。

だけど、モーターが繰り出すパワーは立派なもので、本当に軽々と加速してあっという間に時速30kmに届いてしまうんです。しかもそこから「ペダルを漕ぐ」とさらに速度が乗っていきます。

ちなみに「ペダルを漕ぐ」という動作をすると、ライダーは自然にハンドルにつかまることになるんですが、そうやって少しハンドルを押さえていたほうが曲がるときは安定感を感じられます。わかりやすく言うと「走らせかた」が完全に自転車なんです。

ただし、先述のとおりモーターの力でスピードはけっこう出る。なんならこの日はクローズドコース環境だったので、モーターに対して人力アシストを加える“電動アシスト自転車”状態で全力の鬼漕ぎをしてみたところ……メーター読みだと時速40kmを軽く超えるんだが。

いやでも待って……

そのままの勢いで『バイクみたいに曲がる』のはちょっとけっこう気を使うんだけど!?

そこで私(北岡)は唐突に理解しました。

イーポはおそらく『電動バイク』じゃないんです。乗る前までは勝手に「そうは言っても電動バイクなんだろう」と思い込んでいたんだけど、その認識は大きな間違いでした。

スズキさんはイーポのことを絶対的に『電動モペッド』と呼称しています。実はひと言も『電動バイク』とは言ってない。その理由が見えたというか……これはちょっとニュアンスを伝えるのが難しい『新しい乗り物』だと感じています。

乗車感は完全に自転車。でも動力性能は50ccクラス原付一種バイクの領域。

何が言いたいかっていうと『イーポはイーポとして扱わなきゃいけない』ということです。安全面も含めて、人間側がそれをきちんと理解して乗るべきというか……なんなら新しいカテゴリだと思ったほうが話が早い感じ

(下に続きます)

なるほどナァ……スズキさんがイーポのことを『電動モペッド』と呼ぶ理由がわかった気がします。

でも、実態がわかったからこそ見えてきたことがありました。続編ではそれをお伝えすると同時に、私なりの航続距離テストなども行ってみたので、そちらも併せて。

試乗会の会場で『そんなことしてるのアナタだけですよ!?』って呆れられましたけどネ(笑)

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