ロングツーリングで重要なことって何だと思います? そのひとつには『前日の疲れを持ち越さないこと』 があると思います。排気量650ccのアドベンチャーバイク、その真価は2日目にこそ問われます!

2日目の朝にわかる『Vストローム650』の実力

橋杭岩

初日は800kmオーバーの走行距離でも、特に疲れは感じませんでした。

でもロングのツーリングはある意味、ここからが本番。

明けて2日目の早朝。

和歌山の最南端の串本町にある橋杭岩からスタートです。

実はわたくし(キタオカ)は個人的にツーリングバイクの真価は、2日目の朝に問われると考えています。

朝、出発するときに身体が重く感じるか。そこがひとつの判断基準。

つまり、前日の疲れを感じたらダメなのです。

串本大橋

ところがVストローム650ときたら!

朝イチの空気の中を走り出した途端に『ヤッホーイ! やっぱVスト650たーのしぃー!』という感想しか湧いてきませんでした(笑)

串本大橋

2日目に疲れを持ち越さず、新しい旅の1日のはじまりにワクワクさせてくれる。

これは旅するバイクとして得がたい性能だと言えます。

しかもですね、前日が海沿いばっかりだったから、遠回りでも山のほうにも入ってみたいな……と思うほどの気分的な余裕がありました。

昨日までは、帰路も海沿いをそのまま走って、最短距離で帰るつもりだったんですけどね(笑)

Vストローム650でガチのワインディング!

そして峠道。

Vストローム650の、あまりの守備範囲の広さに逆に呆れます……

前回の《一般道快適編》で言った圧倒的な車体剛性としなやかな足周りの絶妙ブレンドにより、タイトなヘアピンカーブでも緊張感が皆無すぎる。

フロントのブレーキは穏やかな特性なのもコーナー進入では扱いやすい。

ガツンッ!と効くタイプじゃありません。

このブレーキタッチやダイレクト感に関しては上級モデルのVストローム1050のほうがソリッド&スポーティに応えてくれます。

ちなみに誤解のないように言っておきますが、650だって普通にワインディングを味わうに充分すぎる制動力を備えていますよ!

そして、ワインディングでもうひとつ伝えておきたいのが感動レベルのトラクション性能です。

リアサスペンションと高いフレーム剛性の絶妙なマッチングに加えて、650ccで最高出力76.1馬力のエンジンはスロットルを開けて走る楽しさに満ちていました。

剛性という名の安心感に包まれたまま、コーナーの曲率に合わせて車体を傾ける。

このとき、特にブレーキでフロント荷重を作る必要すらありません。

スロットルオフだけで充分に前輪に手応えが感じられます。

難しいことを考えなくても、思い切ってコーナーに飛び込んでいける!

(下に続きます)

まるでロードスポーツ!?

そこからスロットルオンすれば、そのままの安定感が綺麗に後輪側へ移動。

こういうバイクにありがちな、前輪が遠く感じられて、イメージよりも少し外側を走っていくような感覚もありません。

本当に綺麗に、ロードスポーツのようにコーナーを駆け抜けてくれるんです。

そしてその瞬間が、とてつもなく気持ちいい!

そんなこんなのワインディングは満足感がいっぱい。

その先に待っていたのは、串本町の北にある古座川町の『一枚岩』です。

ここ、アドベンチャーバイクにぴったりのシチュエーションなんですよ。

訪れたらきっと、SNSでも最高に映える写真が撮れるハズ。

だって見てくださいコレ……

このスケール感!

山じゃないんです。これが全部、ひとつの岩って……

圧倒されますね(笑)

そして古座川にかかる明神の潜水橋(四国の沈下橋と同じイメージです)を渡ってみます。

橋の幅は1m強でしょうか……ある意味、リアル1本橋。

軽自動車でもキツい幅なので、なかなかのスリルでした。

ところが渡り始めてみると、低重心による安定感のおかげで案外平気なんです。

意外なところでVストロームの高性能を再確認(笑)

その後は帰路につくため、再び海沿いの道へ。

吉野熊野国立公園の中を走る3kmの道は、アドベンチャームード満点です。

簡易舗装の道の脇は荒ぶる海。

荒れた道を突き進み、ワイルドなトンネルを抜ける時など、本当にVストローム650は最高の旅の相棒だと感じます。

このバイクは、どんなにタフなシチュエーションでも、ライダーに寄り添ってくれますから。

それにトラクションコントロールだって標準装備されているので、冒険的シチュエーションにも果敢に挑める。

冒険バイクとして『押さえるところは、きちんと押さえてる』のがVストローム650なのです!

最終回▶▶▶いちばん驚いたのは何と『帰り道』のVストローム650でした。

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