究極のツーリングバイクはスピードが速くても疲れにくい
「アルティメットスポーツ」のコンセプトを貫き2021年3月に待望の復活を果たした新型「隼」。
1339ccの4気筒エンジンを搭載し、最高出力が188馬力もある隼だけに、慣れてないとやっぱり高速道路では速すぎて怖い想いをするのでしょうか?
今回は肝心かなめ、高速道路においての「隼の思い込み」を検証してみます。
隼の思い込み④/高速道路はスピードの制御がシビアなんじゃないの?
「むしろ100km/h巡行が優雅に楽しめる!?」
市街地を抜けて、いよいよ「隼」の魅力を最も堪能できるはずの高速道路へ。
ここはあえて『SDMS-α』モードを最もアクティブな「A」に設定。
「隼」は初代モデルから「市販車で300km/hが本当に出る!」という伝説を持つだけに、スロットルを少し開けただけでスピードが出すぎて「速度制御が大変なんじゃないか?」っていう思い込みがありました。
つまり、日本の高速道路では、常にメーターを見ていないと一般的な制限速度(〜100km/h)をキープするのが難しく、速度オーバーになってしまわないか少し不安があったワケです。
でも、高速道路を少し走っただけでそんな不安は消えてなくなります。
ハイスピードでも意外なほどスロットル操作が穏やかなので、手首をグルっと捻る必要がなく、巡行速度をキープしやすい。
街乗りでは3000回転も回せば充分に気持ちよく走れる出力特性でしたが、高速道路では6速3000〜4000回転ほどでスムーズに巡行できます。
ハイスピード域でも、一般道の速度域となんら変わらない快適さでした。
そうは言っても、スロットルを捻れば1339ccのみなぎるパワーであっという間に加速するので、もう「100km/hも出てるの!?」って思うのですが、良い意味でスピード感を感じさせない車体なのです。
これはやはり「隼」の空力特性が優れているからでしょう。
こちらはコンピューターで走行風の流れをイメージ化したもの。
走行風の流れを更に加速させるためのエアフローがデザインにも取りれられているだけあって、フロント周りにぶつかった風はほどんどライダーに当たることなく後方に抜けています。
前傾姿勢のスクリーン越しからだと、ヘルメットの上部や肩付近に少し走行風を受ける程度。
実際に高速道路ペースのスピードで走ると、風洞実験のシミュレーションを何度も繰り返してエアロダイナミクスを追求しているのがよく分かります。
また、ボリュームのあるカウルのおかげで、ライダーの脚や腰に当たる風もほとんど感じません。
走行風があまり当たらないから、高速域でもあまりスピード感を感じさせず、長距離を走っても疲れにくいディメンションになっているんですね。
速さも快適さも! 新型『隼』は全てにおいて余裕がある
誤解を恐れずに言えば新型『隼』は、決して上級者向けのバイクではありませんでした。
もう少し正確に言うと、ビギナーライダーでもベテランライダーと同じように楽しめるほど扱いやすくてフレンドリーなバイクになっていたのです。
(下に続きます)
スピードの速さも車体の快適さにおいても、全てに余裕がある。
一般道と高速道路を走ってみて、隼に対する色々な「思い込み」が大きく間違っていたことに気がつきました。