GSX-R125には無い『GSX-S125』の強み
私（北岡）としてはワインディングだとGSX-R125よりもネイキッドのGSX-S125のほうが速く走れる。
実際のスピードとしてもそうだし、気持ち的な理由からもネイキッドのほうがいい、ということは先の【中編】でもお伝えしている通りです。
でもやっぱり、そうやってうまく走れるのは気分の問題だけじゃありません。
私（北岡）がフルカウルのGSX-R125において最も苦戦するポイントが、GSX-S125では解消されているのが最大の理由となります。
それは走る際の『拠りどころ』という話です。
これは先のGSX-R125（2022モデル）に乗った時の感想でも言い切っていることですが、車体全体のバランスで走らせる感覚が強いGSX-R125には『明確な拠りどころ』を感じにくい。
このあたりは長くなるのでお時間のある時にでも、上の関連記事を参考にして頂きたいと思いますが、GSX-S125の場合はRと違って、ちゃんと拠りどころがあるんです。
そしてそれはコーナーからの脱出。立ち上がり加速に大きく影響してきます。
正直な話、峠ペースだとコーナー進入時のブレーキングに関して、GSX-R125とGSX-S125の間にそれほど大きな違いを感じません。なんならヒラヒラ感があって、上半身が起きていることによる視界の広さがあるGSX-S125のほうが有利なくらい。
先の見えないコーナーが続く峠は『その先に何があるかわからない』ことが前提なので、視界が広くて臨機応変に対応できるというのは『大きな強み』です。
それでいて！
コーナーからの立ち上がりでアクセルを開けると、ライディングポジションの影響もあって、後輪がグッと路面を捉えるのが体感できる。
つまり『アクセルを開けさえすれば、このバイクは安定感を作り出せる』っていう拠りどころが生まれる。そうしたら、そこを頼りに走ればいいから『GSX-S125の走らせ方』が明確にイメージできるようになるんです。
GSX-S125は走りを組み立てやすい
走りを『立ち上がり重視』で組み立てる。ブレーキでは無理をせずに、いかに早くアクセルオンできるかに集中する。必然的に走行ラインも変わってきます。
で、その結果……
先に言った『コーナー脱出時の速度』がGSX-R125を上回ることになったんです。
GSX-R125では脱出速度を1km／h上げるだけでも、かなりの集中力を必要としていたのに、GSX-S125は走らせ方を明確にしたら、ポン！と数km／h（具体的には3km／hくらい）脱出速度が速くなった。
15馬力／125ccのエンジンでプラス3km／h、コーナーの脱出速度が変わるのはめちゃくちゃ大きな差です。しかも気分的にも上手く走れてテンションが上がる！
デメリットを強いて上げるなら、アップハンドルなので、旋回中に頭の位置を思いきり低くできない、というものがあります。
けれどそれも峠レベルのペースなら、走らせている側としてはほぼ関係ない。体感的にも、それが理由で気持ち的な不安、あるいはバイクに不安定さを感じることはありません。
もちろん、バイクっていうのは『走りの性能』だけが基準じゃないので、フルカウルスポーツの見た目が好きだ！ という人に、GSX-S125のほうが走りやすいからネイキッドのほうがいいよ！ なんて言うつもりは毛頭ございません。
バイクは『自分がカッコいいと思うもの』を選ぶのが何より正解です。
ただね……フルカウルのGSX-R125のほうが本格派でネイキッドのGSX-S125は、それよりスポーツ性が劣る、っていう見方は間違いだな、と。GSX-S125はスズキの『GSX-S』シリーズとして、正しくアップハンドルのスーパースポーツになっています。
（下に続きます）
だからもし！
本当はGSX-S125のほうが見た目が好きなんだけど、本格派っぽいからフルカウルのRのほうがいいのかな……なんて迷っている人がいるとしたら！
私はGSX-S125を選ぶことを、激しく推奨します。
だって、峠だったらGSX-R125より速く走れちゃうかもしれないし？
『ネイキッドだからって、ナメんなよ!?』
GSX-S125っていうのは、そういう気分になれる『戦うネイキッド』なんですからネ！