高速道路で距離を稼ぐ極意はスピードじゃない
バイクの何が好き？ って聞かれたら1秒で『ツーリング！』って答える。私（北岡）はそういうタイプのライダーです。バイクに乗って見たことの無い景色の中を走っている時の幸福感は他に替えが効きません。
正直申し上げまして、バイクの業界に身を置いていることを除けば、感覚的に『極めて普通のバイク乗り』だと自分では思ってます。
なので、自分で所有しているバイクは基本的にツーリングが得意なタイプばっかり。愛車の2代目『隼』様だって、めっちゃくちゃ速いくせに、ゆっくりツーリングが得意なところに惚れて買った訳ですし。
そんな私から見てGSX250Rっていうバイクは、かなりツーリングが得意なタイプだと感じているんです。
GSX250Rは別にツーリングバイクって訳じゃないし、なんならスズキの公式サイトには『アーバンアスリート』なんて謳われています。見た目も完全にスポーツバイクだし。
だけどこのバイク、先の【街乗り編】で言ったとおり『リラックスして乗れるバイク』の決定版みたいなところがあるんですね。
で、スズキ側はそう狙って開発した訳じゃないかもしれないけど『リラックスして乗れる』ことが結果的に『長距離で疲れない』につながってる。ツーリングバイクじゃないけど、ツーリングも得意。そういうバイクになってるんです。
GSX250Rは高速道路で距離を稼ぎやすい
それを特に感じるのが高速道路。GSX250Rは時速80km～100kmくらいまでのスピードで、高速道路を淡々を走り続けることができるんです。
ちなみに高速道路を使ったバイクツーリングで『距離を稼ぐ』ために大事なことって何だと思いますか？
これはツーリングばっかりしてきた私の経験と感覚によるものですが、高速道路でコンスタントに距離を伸ばしていく秘訣は『休憩の回数を減らすこと』です。
誤解の無いように言っておきますが、距離を稼ぐためには休まず走るのがいい！ と言ってる訳じゃありません。それは危なすぎる。
だけどバイクの中には、無理せず、ごく自然に長時間＆長距離を走り続けられるバイクっていうのが確実にあるんです。
スズキ車でわかりやすい例を出してみると、Vストローム650やVストローム1050、GSX-S1000GTあたりがそれ。
それらは誰が見たって『ロングツーリングのためのバイク』です。
でもさっきも言ったように、例えば『隼』も実はツーリングがかなり快適に楽しい。これも“アルティメットスポーツ”がテーマなバイクなんですけど、その圧倒的な安定感や重厚なエンジンフィーリングによって『結果的に』ツーリングバイクとしても優秀になってます。
GSX250Rもそれと同じニュアンスです。
もちろん排気量が250ccなのでハイスピードのクルージングが得意って訳じゃない。むしろスピードが高いと『エンジンに無理をさせてる感』があって逆に疲れます。それに元々が低～中回転域重視のトルク型エンジンだから、レッドゾーン付近まで回すと燃費も悪くなる。
でもエンジンに負担の少ない領域、トップギア6速／時速80～100kmでの高速巡行においては、他の250ccフルカウルスポーツにはない『不思議な余裕感』があるんです。
ちなみにGSX250Rは車両重量で言うと181kgと数字上では若干、重めです。取り回しなどで重さを感じないので普段はその重量をマイナスに感じることはありませんが、この『ちょっと重い』が高速道路で逆に安定感を生み出してる。
それに加えて、一般的な250ccフルカウルスポーツと比べてワンサイズ太めのフロントタイヤを履いていることもあり、高速道路ペースの速度域で250ccとは思えない安心感を感じさせてくれます。
そして、フルカウルのエアロダイナミクスは走行風の負担も確実に軽減してくれます。ノーマルのウインドスクリーンはちょっと小振りなので、ガチのロングツーリングをするならカスタムで対応というのもアリでしょう。まぁ、個人的にはノーマルのままでも十分だと思いますけど。
そして、これらの複合的な要因が絡み合うことにより生まれるGSX250R独特の高速道路フィーリングは……
（下に続きます）
『高速道路を延々と走り続けられる』という種類のものです。
エンジンは静かで振動も少ないし、安定感は250ccクラスを超越してる。リラックスして乗れるから、疲れないうえに気持ちにゆとりが持てる。なんなら前方を遅めペースのクルマに塞がれても、追い越そう！とすら思わない（笑）
特にその『前のクルマを追い越そうと思わない』という気持ちのゆとりはツーリングバイクにおいて得難い資質でもあります。
同エンジンのVストローム250より高速巡行にゆとりが持てるギア比（2次減速比）になってることも影響はあるだろうけど、感覚としては鼻歌でも歌ってるうちに、いつの間にか距離が伸びてる感じ。
見た目はセパレートハンドルのフルカウルスポーツが好きだけど、『長距離』のツーリングもしたい！ そう思ってる人には本当に良いバイクだろうなって思います。
それにね、ワインディングだってけっこう楽しいんですよ？
この後に続く【後編】では、そのあたりの『足まわりのセッティング』まで、すこしだけ突っ込んでお話できればと思う次第でございます。