『バーグマン400』で峠を走るとあのバイクを思い出す
もしかしたら『バーグマン400』は、ワインディングでこそ真価を発揮するのかもしれない……。
そんな考えで峠道に突入したわけですが、
結論から言えばアタリでした。
正直なところ、流石にこのサイズ感のスクーターでスポーツ走行は無理だろう、なんて心のどこかで決めつけていた自分がいましたが、今しがたそいつは何処かへ消え去りました。
ちゃんと楽しい!
399ccのDOHC4バルブエンジンはトルクもパワーもありますし、ダブルディスクのブレーキだってしっかりと効きます。
フロアボードとバックレストで踏ん張り身体を固定すれば、コーナリングでも車体はしっかり安定します。
マニュアルのバイクと違い、ミッションの操作で瞬時にパワーを取り出すことができないけれど、399ccという排気量には振り回されることのない、安心感ともいえる扱いやすさがあります。
ただし、ある程度普段通りのライディングでも十分楽しむことはできますが、設計上バンク角には限界はあります。
しかし、力強いパワーと安定したコーナリングからは、もっと楽しみを見出せる気がして、少しもどかしい気持ちに。
どうすれば『バーグマン400』でもっとワインディングを楽しめるだろうか……。
しかしこの安定感ある堅実な走り、どこかで体感したような……。
そこで思い出したのが、スズキの250ccフルカウルスポーツ『GSX250R』。
ロングストローク設計の並列2気筒エンジンを搭載した『GSX250R』は、パワフルマシンというより、安定志向でフラットなトルク特性がウリのマシンでした。
コンセプト上、パンチの効いた加速より堅実で安定感ある走りを得意分野としていた『GSX250R』でも、あの時は十分にスポーティーな走りを楽しむことができていました。
『GSX250R』に乗った時のことを思い出しながら導き出した、『バーグマン400』でワインディングを楽しむ方法。
それは、車体に身を任せて走る、でした。
一気に加速して強めのブレーキングからコーナーへ進入、などメリハリのある操作はせず、際立ったスロットル・ブレーキの介入は控えて一定の速度で淀みない川の流れをイメージすると、途端に走りへのもどかしさはなくなります。
瞬間的な速さではなく、平均的な速さを求めるといった感じでしょうか。
『GSX250R』に乗った際もそんな風に感じた覚えが確かにあります。
そして幸い、『GSX250R』に比べ、『バーグマン400』はバンク角による限界点がはやく、これ以上速度を出したら危険だ、というポイントがわかりやすいため、運転にさらなるゆとりができます。
できないこと、を要求しても当然できないので、もどかしさが募るばかり。なら、できる範囲でどうやって楽しむかを考える。
そうしてたどり着いた『バーグマン400』のワインディングでの楽しみ方がこの方法だったのです。
そして慣れてくると、フィーリングに変化が……
なんだか、軽快さが出てきたぞ⁉
これは、無理して普段通りの走りを強要していた段階では感じ取ることのできなかった感覚。
これは、スポーツライディングしていると思えてきた!
『GSX250R』に乗った際にもお話しましたが、「スポーツライディング」なんて、あくまで自分がそう思っているかどうか、ですから。
まぁ、完全なる持論ですが……。
そして、バーグマンはオートマチックのスクーター。難しい操作なしにスポーツライディングが楽しめるのは美点といっていいでしょう!
ここまで、という絶対的な線引きがわかりやすく、中途半端さがない。そのため割り切ってライディングを楽しむことができる。
そしてなんといっても終始快適なのが良かったですね!
路面の冷えた冬の峠では、どのみち全力で楽しむなんて不可能でしたから。
最後に、勘違いしてはいけないのは、『バーグマン400』はけっして遅くはない、ということ。
だって、29馬力のDOHC4バルブエンジンですよ?
普通に速かったです(汗)
(下に続きます)
あれ、待てよ。
街中では過不足ない使い勝手。高速クルージングは快適。ワインディングも普通に楽しめる。ついでにスクーターだから荷物も載る……。
……これ普通にツアラーでは⁉
そしてはっきりしました。
なぜ「ビッグスクーター」という存在を許容できなかったのか、その理由は……
To be continued……