意外とデカい⁉ ミドルクラスアドベンチャー『Vストローム650』
私が当サイトで記事を書かせていただき始めてから2年……。
ついに「Vストローム」シリーズ試乗の機会がやって参りました!
いやぁ、長かった! というか、なんで今まで乗ってなかったのかが不思議。
……いや、自分が前後17インチのスポーツバイク好きだからかもしれん。
それはさておき、今回は現行「Vストローム」シリーズの中で一番息の長いモデルとなっている『Vストローム650』に試乗!
今回乗るのはスポークホイールを採用した「XT」ではなく、キャストホイールを装着する無印のモデルです。
実はこの『Vストローム650』は、「Vストローム」シリーズの中でも特に気になっていたバイク。
というのも、北岡センパイや岩瀬センパイが『Vストローム650』を“奇跡のバイク”などと呼んでいたから。
いや、奇跡ってどういうことだ……?
まぁいい、乗ってみればわかるっしょ!
大柄だけど、街乗りは意外にもスムーズに!
そんなわけで跨った『Vストローム650』。
……意外にデカくて重量がある⁉
スペックでの車両重量は212kgと200キロオーバー。
エンジンのベースは同じでも、フレームなどシャーシのベースがまるで違うので単純に比較はできませんが、以前試乗したスズキのミドルクラススポーツネイキッド『SV650』の車重は199kg。
同じ排気量のモデルでも、同感覚で跨るとやはり重量感があります。
シート高は835mmで足つきは身長174cm(今年の健康診断で1cm伸びた)の私で、踵が少し浮く程度と、少し高めです。
ただ、スリムなV型エンジンのおかげで足が下ろしやすく、シート高の数値よりは足つきは良い方に感じられます。
……それでも少し高いのに変わりありませんが……。
しかし、扱い易さを考えるとデメリットにも捉えられがちな重量感・足つきですが、こと「Vストローム」シリーズにおいては、その堂々としたスタイリングこそが個性であり長所なのではないかと思います!
例えば250クラスの『Vストローム250』だって、250ccクラスとは思えない堂々としたあの車格に魅力を感じている方もいるのではないでしょうか?
なので『Vストローム650』も多少重かったりするのは御愛嬌ですね!
……なんて跨った時は思っていたのですが、ひとたび走りだすと重さが気にならない⁉
低回転から力強く、どの速度・回転域でもキビキビと走ってくれます。
そして驚いたのは意外なほどスムーズに小回りできる点。
フロントに扁平率80の19インチホイールを採用していることから、まったりと曲がるのかな、と予想していたのですが『Vストローム650』は想像以上にクルクルと曲がってくれました。
流石に17インチホイールのネイキッドスポーツとまでは行きませんが、慣れてくると対向2車線の道路でもUターンできるくらいに扱いやすいです。
おそらくこれはトップブリッジから大きく引かれたハンドルの恩恵で、これによりハンドルとライダーの位置が近くなるため自然なライディングポジションで操作がしやすかったんだと思います。
上半身が起きたライディングポジションも身体への負担が少なく、乗り心地も良好でした。
乗り心地、という点では前後サスペンションも貢献しているように感じます。
正立タイプを採用したフロントサスペンションは少し柔らかめのセッティングに感じます。ですが、沈み込みの感覚がわかりやすく、制動時の揺り返しも少なくピタッと止まるので、ワインディングでも扱い易そうです!
そしてこの時点でかなり気に入ったのがリアサスペンションのフィーリング。
スズキのバイクは海外でのタンデム走行を想定してか、リアショックが固めのセッティングになっているモデルが多い印象ですが、『Vストローム650』はリアショックも柔らかめな印象で、肉厚シートと相まって乗り心地がとっても良好!
加速してみると、リアタイヤがきちんと路面を捉えているのが感じられるし、道路の継ぎ目や凹凸も優しく衝撃を吸収してくれます。
そして、バイクを降りて確認してみると、工具要らずでプリロードを調整できるアジャスターがバイク側面に!
タンデム走行やパニアケースなど荷物積載を考慮して調整しやすい位置に用意されているようです。
……確かに、昨年の「Vストロームミーティング」では『Vストローム650』でタンデムして来ているかたを多く見かけましたが、タンデム走行を頻繁にするライダーにとってこれは心強い味方!
そして『Vストローム650』は街角での小回りや乗り心地だけでなく、大型バイクのパワフルさを活かし幹線道路での車線変更や流れの追従も楽々。
堂々としたスタイリングや重量のある車体からは想像できないほど、軽快で快適な街乗り体験をすることができました。
(下に続きます)
市街地走行だけでかなり予想を裏切られた初「Vストローム」体験ですが、当然というかこのバイクは街中だけ走って何かが見えるバイクではない……。
もっと遠くに走りたくなってきたぞ⁉
それに、まだまだ“奇跡のバイク”感がありませんからね!
次回は高速道路を使って郊外へ移動です!
To be continued……
【文:石神邦比古(モーターマガジン社)】