『GSX-8S』は幅広く楽しめるハイパワーマシン！
今回『GSX-8S』を試乗して、市街地で感じた第一印象は排気量以上のパワーが出ているのではないかとも感じるモンスターマシン。しかし、ワインディングや高速道路では道を選ばない走破性や快適性を見せてくれました。
そこから導き出した個人的な『GSX-8S』に対する総評は『色んな趣向のライダーがハイパワーを楽しみつくせる万能マシン』といったところでしょうか。
まず重要なポイントは『GSX-8S』が非常にオールマイティ―な性格だということ（あくまで個人の主観ですが）。
街中では初見こそ、そのパワフルさにひっくり返りそうなほど驚きましたが、SDMS（スズキドライブモードセレクター）を駆使すれば非常に乗りやすく感じましたし、スペック以上に感じる足つきの良さや車体の軽さはシティユースとしても十二分に使用できるものだと思いました。
それは現在、私（石神）が通勤や日常生活の足に使用している250ccの単気筒バイクと遜色ないレベルでの運用ができそうなほどです。
改めてみてみると市街地での『GSX-8S』は、初見のパワフルさよりも親しみやすさが前面に出てくるように感じます。
そして、重要なのが好みの違うライダーが、それぞれのおもうように80PSのパワフルなエンジンを楽しみつくせるという点。
街乗り編、ワインディング編を通してお話しした通り『GSX-8S』の出力特性の味付けは、Aモードにおいて非常にパワフルです。
ただ、そういったハイパワーのモンスターマシンを操ることに楽しみを覚えるライダーもいれば、扱いきれる範囲でめいっぱいバイクを楽しみたいライダーもいると思います。
私はといえば後者のタイプ。
ガスガスガスの精神で、できればスロットルを思うように開けていきたいので、自分に扱いきれる出力特性のバイクが好みといえば好みです。
するとワインディング編でもお話しした通り『Aモード』は少々強烈すぎます……。そこでSDMSでモードを変えることで出力特性をマイルドにすれば、思い通りにスロットルを開けて走れるようになります。
また、中にはあまり狂暴なエンジンよりもツーリングロードをまったり景色を楽しんだりしながら走りたいというライダーさんもいるでしょう。
そういったライダーさんはあえてCモードをチョイスしても良いかもしれません。
そんな風に、80PSというパワーの使い方をライダーが自分の趣向やその場の環境に合わせて楽しめるのが『GSX-8S』というバイクだと感じました。
そしてそれはエンジンの特性だけに限った話ではありません。
もしかしたら、ハイパワーマシンは好きだけど重いバイクはちょっと、という方も軽くて足つきも悪くはない『GSX-8S』はマッチするでしょう。
しかし万能性についての話をした後ですが、私が一番気に入ったのはやはり“道を選ばずスポーツライディングが楽しめること”でした。
それはもちろん私がバイクに乗ってから今までずっと峠ジャンキーだから！
ですが、これもワインディング編でお話ししたことですが、公道を走る上ですべての道が綺麗に整備されているわけではありませんよね。
郊外のワインディングでは道路を補修した後や、舗装が劣化してヒビが入り凹凸がたくさん、なんて道路もたくさんあります。
そんな環境でも不安なく走り抜けることができた『GSX-8S』は、正にスポーツツーリングの為にスズキ様が遣わしたオーパーツのようなバイクに思えました。
それに、これはスポーツライディングに限った話ではなく、しなやかな足周りは単純にそういった道を安全に走り抜けるのに有効なはずですしね。
そして、究極的にこれらの要素が生み出すのは高いツーリング性能だと思います。
市街地や高速道路での快適性からツーリングロードでの走る楽しさ、走破性。
この2つを高水準で満たす『GSX-8S』にはかなり夢を見てしまいます。
今回はせいぜい300kmほどの日帰りでしたが、このバイクなら割と本気で長距離のツーリングにも挑戦してみたい！
ネイキッドバイクなので高速道路で走行風の影響が大きかったり、アドベンチャーモデルやツアラーモデルに対して航続距離が短かったりもしますが、そんなことは些細な問題でしかありません。
とにかく、道を選ばずパワフルな走りを楽しめる『GSX-8S』は全国各地、まだ見ぬツーリングロードを走りに行きたいと思わせてくれます！
高い戦闘力を備えつつも、色々な楽しみ方を提供してくれる『GSX-8S』は、もしかすると今まで試乗してきたバイクの中で一番万能性の高いマシンだったかもしれません……。
（下に続きます）
それにしても、本当に『GSX-8S』には驚かされてばかりでした。
さらに驚き要素を加えるならば、これだけ充実感を得られるバイクが税抜き価格ならば100万円を切っていることでしょうか……。
そういえばこのドッカンパワーの感覚とかアップライトなライディングポジション、ワインディングのフィーリングとかって今まで乗った何かのバイクに似てるんだよなぁ。
あ、新型『カタナ』か。
う、自分は新型『カタナ』ファンではあるけど、スタイリングは『GSX-8S』も負けないカッコよさ……。
しかし現状のスキルの自分が選ぶとしたら……心がグラグラ揺れてきたぞ⁉
【文：石神邦比古（モーターマガジン社）】