街中ではBモードが吉? 『GSX-8S』の街中での走りに震えが止まらない!
ほんの出来心だったんです……。
やっぱりスポーツバイクに乗っていたら街中のちょっとしたコーナーでも、すこぉしスロットルを開けたくなっちゃうじゃないですか(もちろん安全な範囲内)。
すると……。
ズルッ
リアタイヤがズルっていった!
焦るほどではないですが、ちょっとビックリ。
このバイク、パワフルすぎるぞ!
ということで、今回試乗したのはこちら『GSX-8S』です!
このバイクが昨年のEICMAで発表されてから1年以上の月日が経過。その時から「早く試乗してみたい!」と思ってはいましたがなかなか機会が得られず、発売されてから半年経っての試乗となりました。
いやぁ、長かった!
その半年の間に『GSX-8S』と同じくスズキのミドルスポーツネイキッドである『SV650』、同型エンジンを搭載した『Vストローム650』に試乗しましたが、安直に表現すると2台とも楽し過ぎました!
これまでリッタークラスのスズキ大型バイクにも乗ってきて、もちろんそれらも非常に手ごわく、楽しいバイクでしたが、上記2台の楽しさは自分の中で群を抜いていました。
ミドルクラスの排気量が今の私に合っていたんじゃないかなぁ、と自分では思っています。
なので!
今回試乗する『GSX-8S』には俄然興味が湧くというもの!
排気量は名前から読み取れる通り800ccと650ccの『SV650』、『Vストローム650』に比べいくらか大きく、パワーも650ccV型2気筒エンジンが72PSくらいなのに対し、新型並列2気筒エンジンの『GSX-8S』は80PSと10馬力弱高め。
ですが、カテゴリー的にはミドルクラスのモデルです。
また久しぶりとなるスズキの完全新設計バイクなので、きっと楽しいに違いない!
と、『SV650』や『Vストローム650』に試乗した際の感覚を思い出しながらいざ走り出すと……
うぇッ⁉
多分、ヘルメットの中でかなり間抜けな声が出ていたと思います。
そのくらいスロットルレスポンスが敏感かつ発進がパワフル! 油断しているとバイクだけすっ飛んでいきそうなパワーを見せつけられました。
のっけから「大型免許」の必要性を再認識するような出来事に見舞われましたが、思い出すのは所有していたバイクのこと。
あれぇ、80PSってこんなにパワフルだったっけ……?
私は以前800ccで並列2気筒、80PSの大型バイクに乗っていたことがありましたが、こんなにセンシティブじゃなかったぞ⁉
それに、『SV650』や『Vストローム650』とのパワー差は8馬力程度。それがここまで変わるのか⁉
もちろん排気量は約150ccも大きいし、エンジン特性やギア比なんかも大きく関係しているとは思いますが、ここで疑ったのは『GSX-8S』に採用されている電子制御スロットルとそれを最大限生かした「SDMS(スズキドライブモードセレクター)」。
ワイヤータイプのスロットルに対し、モードセレクトで調整できる出力特性の範囲が大きいらしく、一番出力特性の高いAモードに設定されていたSDMSをBモードにしてみると、驚くほど出力特性が穏やかになりました。
まぁでもこれはあくまで出力特性の幅が広がったという話。それ以前にAモードがパワフルすぎる!
現代の電子制御機器の力を用いれば800ccでもこんなモンスターマシンを生み出せてしまうのか……。その後はしばらく設定をAモードにして走行していたのですが、とにかく街中でも楽しいのなんの!
202kgという重量からは想像できないくらい車体が軽く感じ、こちらも810mmという数値に対して身長174cmの私が踵までべったり接地するほどの足つきの良さを発揮。
停車中に股下の車体を左右に振ってみても、重心のバランスがいいのか全くグラつくような重さを感じません。
大げさですが、少し車格が大きくて重い中型バイクに乗っているよう。
アップハンドルによる、上体が起きた乗車姿勢も町中でのストレスを大きく軽減し、リーンアウトがしやすいことから街角や車線変更でもヒラヒラと操ることができます。
そうして乗り始めてすぐに『GSX-8S』の魅力に憑りつかれ、扱いにも慣れてきたころ冒頭のシーンへ。
12月の朝の冷たい路面に、白線プラス温まっていないタイヤのトリプルパンチでパワーに対してリアタイヤが負けました……。
Aモードでの走行はとても楽しいですが、街中ではBモードないしCモードで走ったほうが疲労軽減の意味も込めて良いかも?(笑)
(下に続きます)
その後、街中では基本Bモードで走行していたものの、とにかくパワフルな加速とヒラヒラと翻る操作感が楽し過ぎる『GSX-8S』にテンション爆上がりです!
これはすぐにワインディングに行くしかない!
ということで次回は郊外の峠道に向かいます!
To be continued……
【文:石神邦比古(モーターマガジン社)】