GSX-S1000を本気で走らせるためには筋肉も必要になる
新型『GSX-S1000GX』の本性を暴くため、まずはその原点である『GSX-S1000』を再調査中の私（北岡）ですが、このバイク……街中では従順のひと言で、獰猛さの素振りも見せません。
なので、GSX-S1000の化けの皮を剥がすためにはワインディングへ行くしかない。まぁ、本領はサーキットクラスのバイクなのでワインディング程度で全貌を現すことなんてないんですけど……
ちなみに高速道路については深く言及しません。
ネイキッドですから。
走行風？ もちろん直撃です。前後サスペンションはストリート向けにアジャストされているとはいえ、ツーリングバイクなどに比べれば当然カタめ。不快な突き上げなどに苦しむことはないけど、きっちりスポーツバイクの足まわりといった感触です。
あとはもう……例えばロングツーリングをするなら気合いと根性、あるいはバイクへの愛情で乗り切るしかありません。ネイキッドでのツーリングは「そういうもの」だと私は心得ています。
でも、それでいいんです。このバイクのオーナーになった人にとっては、それだって『愛車と苦楽を共にした想い出』なんだから。
バイクって、そういうものでしょう？（笑）
それに今回はツーリングの快適さをうんぬんしに来ている訳じゃありません。
ただですね……こうやって写真になった状態を見ていて思うのは、このバイクって『ライダーが乗ると、さらにカッコよく見えるタイプ』なんだな、ということ。
高めの位置のステップに足を格納して、すこし前傾姿勢で。人が乗ることでバイクのデザインが仕上がる感じ。街中でショーウインドウとかにうつる自分を見て『おれ、カッコいい……』って、きっちりナルシストになれます。
ちなみに私は、そういう風に『自分に酔える』というのもバイクの魅力のひとつだと思ってます。
なのでGSX-S1000は自己陶酔レベルの高さも「魅力のひとつ」としてお伝えしておかねばなりません。いつも言ってますが……バイクにおいて『カッコいい』は何にも勝る正義なのだッ！
……とまぁ、アホな話は置いておいて。
ワインディング到着！
腕が鳴るぜ！ と言いたいところですが、久々のGSX-S1000で内心はすこしビビってました。だって150馬力ってさ、実際めちゃくちゃ速いバイクだよ？
なんだかんだ緊張感もある。例えばだけど、先日乗った『隼』にはそれがありません。
けれどそれもGSX-S1000っていうバイクなんです。
だって現在（2024年5月時点）のスズキ大型バイクラインアップにおいては、GSX-S1000こそが『もっともスーパースポーツに近い存在』なんですから。
そして走りは期待通り！ きちんと手強い（笑）
前編で言ったとおり車体はコンパクトで『手の内にあるサイズ感』のはずなんだけど、いざコーナーに飛び込んでいく際には、バイクに振り落とされないようにするのに必死です。
やっぱりスゴい!?
コンパクトな車体と前後17インチホイールは曲がっていくのが早い、と言えばいいのか……コーナーの進入から脱出までの動きがいちいち機敏で的確。スピードがある程度乗った状態からでもクルッと向きを変えてくれるし、イメージしたラインにも乗せていける。それはもう単純に快感です。
ただ、スピードに比例してタイトになる減速のシビアさや、MAX150馬力のエンジンによる加速のエグさは別の問題でして……
タイヤやサスペンション、ブレーキシステムなどの装備は動力性能に見合うものが与えられているんですが、主に乗り手の問題でGSX-S1000のポテンシャルをすべて引き出すことはできません。
でもね～？
本人（私）的にはめちゃくちゃ楽しいのでオッケー！
普段の日常の中では、これほど必死になって何かに集中することはまずありません。GSX-S1000は『バイクでスポーツすることの楽しさ』に一瞬で引っ張り込んでくれる。だけどネイキッドだから、ワインディングに至るまでの道のりで疲れてしまうこともない。
カッコいいし、走りにも夢中になれる……うん、やっぱり良いバイク！
ちなみに後日談としての話なんですが、翌日に私の下半身はがっつり筋肉痛になりました。
前傾姿勢の強いスポーツバイクで一生懸命に走ると私はよくそうなる（←貧弱）のですが、アップハンドルでもGSX-S1000はやっぱりスーパースポーツってことなんでしょう。それくらい必死でバイクをホールドしようとしていたってことの証拠です。
（下に続きます）
前後17インチで最高出力150馬力、でも車体はコンパクトで重量は214kgにまで抑えられてる。走りが好きな人なら、このパッケージで楽しめないはずがありません。
でも、ここで今回の本題に戻りますが……新型『GSX-S1000GX』の大柄な車体で、GSX-S1000に類するようなエキサイティングな走りなんてできるのか？
やっぱりちょっと、想像がつかないんだが……ッ!?