DR-Z4Sは『デュアルパーパス』の枠にとどまっていない
電子制御に守られていたからこそ、何とかDR-Z4Sを走らせることができていた。
それに気づかずトラクションコントロールを切った瞬間、パワーに圧倒されて転倒。情けない話ですがそのおかげで「気づけたことも」ありました。それは前回の【DR-Z4S③】でお伝えしたとおりです。
今回はオフロードコースでの試乗会ということもあり、日常やツーリングユースでのDR-Z4Sについては言及できません。
とにかく走らせることだけに必死だったというのもありますが……
でも、今回の試乗会で必死にDR-Z4Sと向き合っていたことで気づいたことがあります。
なんというか……スズキで言えば『GSX-R1000R』の感覚。走った場所はオフロードコースでしたが、走らせている時の心構え的には「オンロードでのリッタースーパースポーツ」に近いものがあると思います。
昨今のリッタースーパースポーツは200馬力級が当たり前で、電子制御のサポートが無ければ普通の人が扱うには厳しいところがあります。
だけど電子制御があれば、楽しんで走らせる余地が生まれる。ナンバー付きなんだから公道でツーリングだってできる。
ひょっとしてDR-Z4Sってそういうものなんじゃないかな、と。スズキが本気で作ったリッタースーパースポーツのオフロード版というか……わかりにくい例えですみません。
ちなみに今回、ちょっとしたジャンプ台もあったのでトライしてみたんです……
自分で写真を見ていて泣けてくるくらいの『及び腰&目線が近すぎ』状態ですが、DR-Z4Sって10年ぶりのオフロードコースで『よしちょっと飛んでみよう!』って思わせてくれるバイクでもあったんです。
何度かジャンプしているうちにだんだん感覚も戻ってきて、仕舞いには「楽しい!」とか「サスペンションがすげぇ!?」なんて考えていたし「もっと上手く飛びたい!」って思えた。
でもこれ、あとでよく考えてみたらスゴイことだよな、と思う次第……普通に考えたらわりと無謀です(笑)
つまるところ、そんな程度のスキルの私ですら、DR-Z4Sは受け止めてくれるバイクだということ。
走っている間は必死すぎて何かを考えている余裕なんて1ミリもありませんでしたが、後日、写真を見ながら振り返ってみたらそう思うようになりました。
もちろん先の【DR-Z4S③】の転倒の一件でお伝えしたとおり、エンジンパワーを完全開放したらとんでもないレベルに化ける、という前提での話ですが。
このバイクの本性は『土のうえにおけるリッタースーパースポーツ』みたいなもので、だけど電子制御があることで幅広いスキルの人も楽しむことができる。そしてスキルのある人にはどこまでも本格的に応えてくる。
はじめて乗ったDR-Z4Sの印象は、そういったものでした。
正直、乗る前はここまで本格的なバイクだと思っていなかったので振り回されまくりでした……これ本当に『デュアルパーパス』っていうカテゴリに入れていいんでしょうか?(笑)
昨年2024年にDR-Z4Sが発表された時、テールスライドやらジャンプやらの「派手な写真」がたくさん公式の資料として配布されました。
乗ってみた今はわかります。それらは「プロライダーが上手く走らせた結果の盛れてる写真」じゃない。派手なアクションの数々も「等身大のDR-Z4S」だったんです。
(下に続きます)
今回はオフロードコースという特性上、走りに偏ってしまって、日常ユースではまだまだわからないことがたくさんあります。公道でもちゃんと乗ってみたい。
というかシンプルに(転んだ悔しさもあり)もう一回はやく乗りたい!
私のバイク人生で出会ったことがないタイプ……紆余曲折ありましたが、だからこそもっとたくさん乗って色んなことを試してみたい。DR-Z4S、なんだか無性にワクワクするバイクです!