はじめてDR-Z4SMで走ったワインディングは異様なほどにエキサイティングで……ちょっと頭を冷やして振り返ってみることにします。

DR-Z4SMほど突出したバイクは珍しいと思う

我を忘れそうになるほどのエキサイティングな走り……DR-Z4SMでのワインディングは想像をはるかに超える体験でした。

あまりにも興奮しすぎて前回の【③ ワインディング 前編】は我ながら「何を言っているかわからない」状態になってしまったので、今回は頭を冷やして補足させて頂きます。

まずブレーキ性能について。

DR-Z4SMは兄弟車の400ccオフロード・トレール『DR-Z4S』よりも大径のΦ310mmフローティングディスクローターを装備して絶対的な制動力を確保しています。

でも見た目は普通っぽいです。特にスゴそうな感じはしません。

だけどワインディングで自分の中のライディングモードを『SPORT』にシフトすると、このブレーキが極上の性能を発揮してくれるんです。シングルディスクですが車両重量154kgのボディに対しての制動力は十分以上。

倒立フォークの剛性感がもたらすブレーキタッチも明確で、よく動くサスペンションは強いブレーキでも減衰力を失いません。

けっこうノーズダイブするけど怖くない

そして、タイヤの接地感が手に取るようにわかる。軽量バイクにありがちなフラフラ感とか頼りなさも皆無なので思い切ったブレーキでどこまでも追い込んでいくことができます。

今回は路面温度も低い冬なのでノーマルのセットのままでしたが、暖かい時期ならもう少しフロントのサスペンションをセッティングで締め上げたくなるかもしれません。そうしたら『ブレーキングの鬼』が爆誕する予感がします。

さらに、しなやかに路面を捉えるサスペンションのセッティングとダンロップ製の前後タイヤQ5Aのマッチングも見事でした。

私は以前に『スズキはオフロードベースのバイクに対するサスペンションの味付けがうまい』と聞いたことがあるのですが、まさにそれです。DR-Z4SMはモタードですが、このサスペンションのセッティングには感嘆するしかありません。純粋なロードスポーツに匹敵、あるいはそれ以上の安心感が“常にある”んです。  

ちなみにシートは『ライダーに接地感を伝えるため』のパフォーマンス・パーツとしての比重が強めに設計されてると思う。少なくともロングツーリングも快適です!というタイプじゃない。

でも、こうだからこそDR-Z4SMの走りが明確に感じられると思うと許せる。むしろ、こうでなくては!とすら思えています。

次にエンジン。

これはサーキット試乗会の時の記事でも言ったことですが、極めてスムーズに吹け上がるのに単気筒らしい後輪の蹴り出し感も感じられるという素晴らしいフィーリングです。実際のパワーとか加速も文句なしですが、それ以上に『心が燃えるエンジン』になっているところが個人的には特記事項。

いちおう目安として言っておくと……数字としての最高出力は38馬力ですが、軽量な車体なので体感としては600ccクラスに近い印象でした。

当然、トラクションコントロール完備なのでコーナーからの立ち上がりはドカンと一気にワイドオープン! 私(北岡)にとっては感覚的にギリギリ怖くない範囲で『いける、大丈夫!』ってバイクを信じられる絶妙のパワー感です。

立ち上がりの加速感は力強さと伸びやかさの絶妙ブレンド。

そしてここからワイドレンジ『5速ミッション』が本領を発揮!

スズキは6速ミッション化も検討したうえで『重量増を嫌った』ということを試乗会で聞きましたが、個人的にはワイドレンジ5速だからこその『あとひと伸び』が最高だと感じています。

6速だったらギリで届かないストレートエンドまで……アクセルを開けっぱなしで、届く!

シフトチェンジの煩雑が減るので次のコーナーに対して集中できるのも嬉しいところ。私のような自称・中級ライダーにはこれはかなりありがたい……

だけどエンジンに関して言えば、先にも言ったように気持ちが盛り上がるフィーリングをこそ最も評価したいと思っています。もちろん400ccでも多気筒化すればもっとハイパワーを望めるだろうけれど、そういうエンジンは公道じゃ速すぎて、乗るほどにクレバーな感じになる。でもDR-Z4SMは違う。心を燃やせ! みたいなエンジンです。

軽快なのにしっかり感のある車体と頼れるブレーキ、そしてタイヤ。それでいて車両重量154kgにパワフルな単気筒エンジンとそれを活かす5速ミッション。

パーフェクト! ワインディングを楽しむバイクとして、これはひとつの『境地』です。

(下に続きます)

やったことがないからわかりませんが(←そのうちやってみるつもり)DR-Z4SMはたぶん『ツーリング向きのバイク』ではないと思います。シートだって座り心地はカタめだし。

でも、ここまで尖っているからこそ排気量400ccという制約の中で、トータルとしてこれほどにエキサイティングなバイクを生み出せたのだろう……と感じるんです。

このバイクは『名車』と呼んでいいバイクだと思う。

刮目せよ。俺たちのスズキは、またひとつ快挙を成し遂げたのだ!

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