「究極のバイク」は熟練のライダーにしか乗りこなせない?
2021年3月、三代目となるスズキ「隼(ハヤブサ)」がフルモデルチェンジされました。
少し古い記憶になるけれど、筆者の私(岩瀬)は、1999年に登場した初代「隼」も、2008年にモデルチェンジされた二代目「隼」にも何度かは乗ったことがあります。
その頃の隼に対する印象は「市販車で300㎞/h以上出る!」「ギネスブックにも載った世界最速のバイク!」「1300ccオーバーのメガスポーツ!」など、スゴすぎるイメージが散りばめられた、まさに究極のバイクでした。
そんな、スズキが誇るアルティメットスポーツだけに「速すぎて手強い」「上手い人しか乗りこなせない」「デカくて重くて実用的じゃない」と、いつの間にか思い込むようになっていたかもしれません。
どちらかと言えば、ドイツのアウトバーンやアメリカのフリーウェイを走るような海外向けのバイクなんじゃないかって思っていたほど、自分にはちょっと縁遠い存在でした。
話が少し逸れますが、都市部に住んでいる筆者の私(岩瀬)は、自宅付近の道も狭く、バイクを停める駐輪場も狭いので、原付二種や250〜400ccくらいの軽くてコンパクトなバイクばかりを所有してきました。
大型バイクも所有していた時期はありますが、乗る回数は圧倒的に小排気量モデルが多かったワケです。
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「隼」のような大きなバイクを所有する憧れはあるものの、日常的にはストップ&ゴーが多い市街地を走ることがほとんどだし、高速道路を使ったツーリングへ行くのは多くても月に1〜2回程度なので、普段から大きなバイクに乗っていても「持て余す」だけなんじゃないかって思っていたのです。
いつしか、大型スポーツバイクのようにエンジンをたくさん回して「馬力を活かした速いバイク」より、軽くて低い回転域からトルクがある「素早しっこいバイク」を好むようになっていました。
ですから「隼」は、自分の好みとは対局にあるバイクなのだろう、と勝手に思っていた。
しかし今回、新しい「隼」に乗ってみて、それまで抱いていたイメージが大きく覆されたのです。
スゴすぎるイメージを持っていたバイクだけに、かなり「間違った思い込み」がいっぱいあったのです。
まずは、新型「隼」のライディングポジションや取り回し易さに焦点を絞ってお伝えしたいと思います。そこから、大きな思い違いがありましたから……