3つのパニアケースがあれば荷物の積載はもはや完璧でした。じゃあ、荷物を満載にしたVストローム250は、車体の取り回しやコーナリングなどにはどのくらい影響する?

荷物満載で『Vストローム250』の動きはどれくらい重く感じる?

純正スリーパニアを装着するだけで、一気にアドベンチャーバイク感が増してくれる『Vストローム250』。

前回の記事では、パニアケースの付け方によってそれぞれの旅スタイルに変化させられることがわかりました。

しかし、旅の荷物がいっぱい積載できるようになるとバイクが重くなります。取り回しや走行時に感じるハンドリングにも変化が出てしまうのでしょうか?

そこで今回は、フルパニアを装着した時の取り回しや走行時に感じる重要差などを検証してみたいと思います。

まずは、フルパニアを装備したVストローム250のスタイリングや上下左右のはみ出しから見て行きましょう。

正面や真後ろから見ても分かるように、サイドケースの左右のはみ出しはハンドルの長さ程度に治っているので、極端にリア側の幅や高さが広がってしまわないようになっているんですね。

これなら狭い道の走行などでも臆することなく取り扱うことができそうです。

フル装備でどれくらい重くなる?パニアケースの重量を検証!

次に、パニアケースそのものの重量や、旅の荷物を満載にした状態の総重量はどれくらいの重さになっているのでしょうか?

まずはそれぞれの重さを計測してみたいと思います。

トップケース単体の重さは約6kg

まずは、タンデム用のバックレストとなるクッションも備わっているメインのトップケースの重さを計測してみます。

全体の作りも頑丈ですし、素材もしっかりしているので手で持ってみても結構な重量に感じますが……?

計量器で測ってみると5.58kgでした!

トップケースの空荷の状態の重さは、約6kgの重さがあるんですね。

サイドケースは左右で約10kgアップ!

続いて、左右に装着するサイドケースの重量を計測してみます。

片側で約20リットルの積載容量があるサイドケースは、左右とも同じ容量&重さになりますが、果たして……?

サイドケース片側の重量は4.96kgでした!

左右のサイドケースは空荷の状態でも、両側で約10kgあるという結果に。

取り付けるための各アタッチメントキットの重さを除くと、3つのケースを装着すると、約15kgの重量アップになるんですね。

旅の荷物を満載にすると総重量はプラス25kgくらいに

続いて、トップケースとサイドケース左右に入れる旅の荷物の重さも測ってみます。

各パニアケースの最大積載量も加味しつつ、筆者が普段1泊2日程度のツーリングに持っていく荷物を3つの袋に分けて測ってみると、重量はそれぞれ、3.5kg+3.2kg+2.9kgありました。

ですので、今回の荷物の合計は9.6kgになりました。

荷物だけで約10kgアップか……できるだけ少なくしたつもりのなのに結構重い…(笑)

そうなると、3つのパニアケースの総重量約15kgに加えて、旅の荷物が約9kg、取付アタッチメントが約1kgでしたので、荷物満載のフルパニアを装着した総重量は、約25kgアップしていることがわかりました。

25kgって、手で持ってみるとかなりの重さですよね?これだけ重量が増すと、取り回しや乗り味は果たしてどう変わるのでしょうか?

パニアのアリ・ナシは車体の重さや取り回しがどれくらい違う?

ケース無しでの取り回し

まずはパニアケースを全て外した状態で押し引きや取り回しをしてみます。

Vストローム250の車両重量は189kg。サイドスタンドをはらって引き起こしてみても前後サスペンションの沈み込みが少なく、車体の重心が低く感じられるので、不思議と数値よりも重さを感じません。

押し引きしてみると250ccクラスのバイクとしてはやや重たい部類に入りますが、200kgをはるかに超える大型アドベンチャーに比べれば取り回しはラクラクできるほど軽く感じます。

スリーケースでの取り回し

続いて、荷物を満載にしたフルパニアを装着した状態での押し引きです。

Vストローム250の車重189kgに、先ほど計測した約25kgのパニアと荷物を合わせた総重量は、概算でも約214kgになります。

さずがに約25kgもアップするとなると、引き起こしするだけでもかなり重量アップしている気がするのですが……。

…ん?あれ?…なんかあまり重さを感じないぞ?

車重がやや重くなっているのは直ぐに分かるのですが、とても25kgもアップしているようには感じられません。

やはり荷物を積載したり、タンデム走行も考慮されたサスペンションの初期セッティングになっているからでしょうか? スタンドをはらって引き起こしてもリアサスペンションが無積載の時と大差ないくらいにしか沈んでいない気がするんです。

特にトップケースは車体の中心から一番遠く、かつ高い位置にあるので、それだけでも重さの感じかたに影響しそうな気もしますが、左右に付いているサイドケースが“起き上がり小法師”のように並行を保ってくれているように感じるので、全体のバランスが崩れていません。

(下に続きます)

押し引きしてみても、少し重くなったかな?ぐらいの感じで、サイドケースも全く邪魔にならない位置にあるので、動かすのが億劫になることがないんです。

これは意外な結果でした。

ちなみに、ミドルクラスの「Vストローム650」の車重は215kg、フラッグシップの「Vストローム1050XT」の車重は247kgなので、荷物満載のVストローム250はそれらよりも軽いんですね!

Vストローム250に限らず、スズキのバイクは全般的に軽量に作られている車種が多いのはありがたい限りです。

総重量25kgアップは走りやコーナリングにどれくらい影響する?

荷物満載のフルパニアを装備したVストローム250は、エンジン停止状態での押し引きや取り回しなどでは、思っていた以上に重量差を感じませんでした。

しかし、バイクの場合は走行中のハンドリングなど“乗って感じる重さ”というのもやはり重要です。

続いてはパニアケースの荷物を満載にしてツーリングに出かけ、フルパニアでのコーナリング感もテストしてみたいと思います。

パニアケース無しのコーナリング

まずは走り慣れたワインディングで全ての荷物を下ろして、スタインダードな状態のVストローム250のコーナリングから試してみます。

おお!やっぱり素直に曲がってくれる!

オンロード仕様にセッティングされたサスペンションと前後17インチタイヤは、積極的に体重移動などをしなくてもクルクルと曲がってくれます。

しかし、しばらくフルパニアの状態でここまで走ってきたので、荷物満載の状態から一気に約25kg軽くなったからなのか、逆にリアサスペンションが少し硬く感じられたことが気になりました。

フロントサスペンションは柔らかめに動いてくれている感じがするので、念のためシートを開けて車載工具に入っているフックレンチでリアサスペンションのプリロードを1段緩めて(抜いて)コーナリングしてみると……

う〜ん! 抜群に気持ちよく曲がれる!

スタンダードな状態でも充分、気持ちよくコーナリングできるのですが、Vストローム250は荷物の積載やタンデム走行もちゃんと考慮されたサスペンションの状態で出荷されているので、体重が軽めのライダーや走るシチュエーションなどによっては、やや硬さ感じる場合があるかもしれません。

(下に続きます)

これはVストローム250に限っての話ではありませんが、リアのプリロードを一段緩めたことで、前後サスペンションのバランスが自分の体重や走り方にぴったり合ったみたいで、身体を積極的に動かしてスムーズにコーナリングできました。

しかし、サスペンションのプリロード調整はライダーの体重や荷物の量、走り方やシチュエーションなどでも変わるので、あくまでも参考程度に留めていただくとありがたいです。

シート下を開けるだけで、その場で簡単にプリロード調整ができるのは、荷物の積載やタンデムツーリングなどで変わることが多いケースなどでは本当に便利ですね。

スリーケース+荷物満載のコーナリング

荷物を積んでいないVストローム250のコーナリング感覚が分かったところで、先ほど一段緩めたリアのプリロードを元に戻して「スリーケース+荷物満載」のコーナリングに挑戦してみます。

筆者の私は身長が172cmで体重が65kg、荷物満載のフルパニアは約25kgでしたので、計算上では約90kgの重量になっています。

しかも、操縦安定性に大きく影響するであろうトップケースと、左右にはみ出したサイドケースを装備した状態。

これだけ重量バランスが変わるとなると、普通ならフロント荷重が足りなくなりそうな気もします。

まずは普段よりもリアブレーキをやや強めにかけつつ、恐る恐るコーナリングしてみると……

あれ⁉︎ 思っていたより全然重さを感じないっ?

さすがは純正パニアケース!と思えるほどビシッとしていますから、やや大回りなコーナリングになりつつも、不思議なほど「荷物を積んでる感」が無いんです。

無積載のコーナリングの時ほどのシャープさはなくなりましたが、むしろ、車体全体が“振り子”のように安定して曲がれているような気さえしたほど(笑)

取り回しや押し引きに感じた重さ以上に、コーナリング時の重量感は感じません。

このバランス感、本当にスゴい……

これは開発の段階から「3つのパニアケースをつけた状態」で、様々なテストが繰り返されているのでしょう。

3つのケースを付けて荷物満載のタンデムツーリングができるように設計されているVストローム250は、リアサスペンションのプリロードや減衰特性も余裕を持って予めセッティングされているので、俗に言う“リア下がり”になっている感じが全然しないのです。

それもそのはず。

前後サスペンションや車体の重量配分などがしっかりと設計されているのはもちろん、荷物を満載にしたうえで、後席にパッセンジャーを乗せたタンデム走行もこなせるほどの設計になっているんですから、荷物が25kg増えた程度ではなんら影響なくコーナリングできるんですね。

荷物を満載にした3つのパニアケースを装着しても、ハンドリングやコーナリング性能に大きく影響しないなんて、250ccクラスの旅バイクとして、きっと最強なんじゃないかなぁ。

次回は、この純正パニアケースを使って、3ケースだからこそ楽しめるツーリングに出かけたいと思います!

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