2022モデルの『GSX-R125』は過去最高に上手く乗れた
私(北岡)にとって、最も手強いスズキ車であるGSX-R125。宿命のライバル状態で毎回、このバイクとは向き合っていますが、それが2022年モデルで弱体化してしまったのでは……?
そう懸念したが故に、とことんGSX-R125を追い込んでいたのですが、気が付いてみれば『なんか今日の俺、上手く乗れてるかも』と感じる結果に。
もちろん突如として私のライディングスキルが上がった訳ではないので、その感覚をもたらしたのは『エンジン』ということになります。
……でもエンジンは、排ガス規制で弱体化したんじゃないのか?
だけど、確認してみてもやっぱり乗りやすい。というか、怖さを感じないんです。
GSX-R125でいちばん難しいと感じる部分
ちなみに私がGSX-R125に対して、いちばん難しいと感じる部分は『明確な拠りどころが無い』ところ。
これは普段から大型バイク(愛車『隼』様を含む)に乗り慣れてしまった弊害だとも思うんですが、例えば良いタイヤを履いたバイクならば、それに自分を預けられるし、タイヤじゃなくても優秀なサスペンションや安心感のあるフレームがあれば、そこに頼れる。
でもGSX-R125っていうバイクは、どこか1カ所が突出していると言うよりも、車体全体のバランスで走っている感じです。
だから、何かに頼りながら『思い切って行く』ことができない。そのため毎回、かなりのマージンを取ってコーナーへ進入していくことになる。
だけどコーナーに入ってからのGSX-R125は十分な安定感を伝えてきて、その時にようやくバイク側には全然、余裕が残っているとわかる。だから、次のコーナーでは、もう一歩踏み込もうとする。でも心がブレーキを掛けてくる。
その繰り返しでした。これまでは。
なのに、2022モデルのGSX-R125はなんだか違います。
前編から軽く触れていましたが、中回転域のレスポンスにはすこしマイルドになったような感覚があります。それは排ガス規制に対応したことによるパワーダウンなのかもしれません。
だけど、私にとってフィーリングの変化は『アクセルを早く、思い切って開けられる』というフィーリングに感じられるんです。
GSX-R125のエンジン排気量は125ccですが、排気量が小さいからといって、それが『ヌルい』という話とイコールではありません。むしろ従来型のGSX-R125のエンジンは、コーナーからの脱出でアクセルオンする時に、それなりのシビアさを感じさせていました。
でも2022モデルでは、その領域がすこしマイルドになったことで、躊躇なくアクセルをドカッと開けられる!?
その結果、なにが起こるかというと、先に言った『拠りどころ』を作り出せるんです。
タイヤに頼らず、ブレーキは逆に車速を殺さないように最小限に。大型バイクのどっしり感に慣れた身としては、コーナー進入にはそれなりの緊張感を感じます。だから、そこで無理はしない。
だけど、アクセルを早い段階から開けられて、そのパワーの出方に唐突さが無いから、自然に後輪に荷重を移せる。従来型では感じにくかった『後輪のトラクション』が自然に使えて、自信を持って走ることができる!
立ち上がり重視。その走らせ方が125ccスーパースポーツとしてのGSX-R125に相応しいのかどうかは、私はレーサーではないのでわかりません。
もっと軽さを活かして、進入から脱出までコーナーすべての通過速度を上げていったほうが速く走れるんだろうと思います。
でも、それは怖いと感じるので私には無理。そして、自分にできないことは机上の空論と同じです。
そういう意味で言うと、2022モデルのGSX-R125は楽しかった。今まででいちばん、このバイクを走らせることを『楽しめた』と思っています。
なんなら私にとって、2022モデルの扱いやすいパワー特性は『武器』だとすら感じたほどです。
(下に続きます)
サーキットにおいて、グリップの良い路面でコンマ1秒を削るような走りをするなら、従来型のエンジン特性のほうがいいのかもしれません。でも、私としては仮にサーキットを走ることになったとしても、この2022モデルのほうがいいかな。
おそるおそる走るよりも、ポジティブな気持ちでいられるほうが、私くらいの腕前のライダーには最終的に良い結果をもたらしてくれること、自分でわかってますから。
GSX-R125の2022モデル、イイじゃないの!
これって従来型GSX-R125オーナーが乗ったらどう思うんだろ? ひょっとしたら私と同じように『こっちのほうがいい!』って感じちゃう人、実はけっこういるのかもしれませんよ!?