通勤や街乗り、ひいてはツーリングバイクとしても大人気の125cc「原付二種」モデル。ですが、私の中ではその排気量にちょっと疑問符が。50ccじゃダメなの? 250ccでいいのでは? そんな固定観念が今、崩れ去ろうとしています……。

速けりゃいいってもんじゃない!『アヴェニス125』は街乗りに楽しさをプラス!

「125cc」モデルに乗ったことがないという理由で、「原付二種」モデルに懐疑的な意見がある。なので、実際に乗って確かめてみよう! というのが前回までのお話し。

で、実際の車両を前にしたわけですが、やはりまずそのスタイリングに目がいってしまいます。

エッジの効いたシャープなカウルと鋭いフェイスデザイン。細やかな凹凸が生み出す陰影によって強調される形態感……。

見た目からスポーティーな走りを予感させるデザインには確かな存在感があり、スタイリングの話をしだすときりがありません。

しかし、眺めているだけでは始まらない! いざ走り出すと一瞬で50ccスクーターとの違いをすぐに実感させられました。

うん、めちゃくちゃ速いわコレ(笑)

そりゃそうですよね、排気量が倍以上なんですから……。

スロットル開けはじめから30km/hくらいまでは単気筒らしいエンジンの鼓動感がありますが、そこから上はどんどんシルキーなフィーリングになっていき、50~60km/hの間が最高にスムーズ。

そもそも30km/hの到達までが一瞬すぎて、ほとんど振動を感じる時間はないわけですが……。

何より、50ccのように30km/hに縛られないというのがなんと素晴らしいことか!

車の流れについていけるだけのパワーも十分に備わっているので、車線の隅で怯えることなく走ることができます。

また、二段階右折をする必要がないことも、都心部における移動で恩恵を受けたポイント。

交差点の度に二段階右折禁止の標識がないかチェックする作業をしなくて済むので、精神的にかなり楽でした。それに2段階右折ってルール通り実行してもけっこう怖いですしね……。

そして、はじめて乗った125ccのメリットで私の中で特に大きかったのは、「速い」けど「速すぎない」ということ。

高速道路での走行を想定した250ccクラスでは、どうしてもうっかり速度が出過ぎてしまうなんてことがあります。

ですが、『アヴェニス125』は自然にアクセルを開けたところで50~60キロにぴたりと納まるので、速度超過の心配が少なくてすみます。

アクセルを開ければさらに速度は出る気がしますが……。

普段使いとして「絶対的な速さ」を求めない通勤バイク選びなら、速度に気を使い過ぎず安心して乗っていられるので、速すぎないというのはマイナスには感じませんでした。

既に125ccモデルの魅力を嫌というほど体感したわけですが、ここまでは原付二種スクーター全般に言える話。

しかし、スポーツスクーターとして生み出された『アヴェニス125』の真髄は、軽快でスポーティーな走行性能!

正直、スクーターってこんなに軽快で楽しい乗り物なのか、と驚きを隠せません……。

『アヴェニス125』はスポーツ性を重視し、兄弟車の『アドレス125』に対しECUの設定が変更され、加速時のダイレクト感が向上しているとのこと。

信号と信号の間や、交差点を曲がった後の立ち上がりなど、アクセルを開けるタイミングでは確かな加速の手ごたえがあり、街中での移動がちょっとワクワクします。

実装されている強制空冷124cc単気筒を採用したSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)エンジンは、従来型の『アドレス125』に搭載されたエンジンの正常進化版。

ですが、従来型に比べ最大トルクの発生回転数を低く設定することで常用回転域での力強さをアップしているのも、中低速での加速感にスポーティーさをプラスしている要因かもしれません。

また、フロントに12インチホイール。リアに10インチホイールをチョイスしているのもその軽快さに大きく影響しているように思います。

自分のバイクで慣れ親しんだ前後17インチホイールに比べればだいぶ小さい12インチホイールですが、50ccスクーターで一般的なフロント10インチホイールに比べればコーナリングでの安定性ははるかに高く、地面のギャップでハンドルが大きくぶれることもありません。

また、10インチを採用したリアタイヤによるものか、狭い路地でも軽快さを発揮。

少し大げさですが、迫力あるボディの印象に反して、50ccスクーターと遜色ないレベルで小回りが効くため少し困惑したほどです。

油圧式ブレーキを採用したフロントブレーキの制動力も高く、125ccの想定速度域に十分な効果を発揮するのも好印象。

というか、ブレーキングの感覚はニーグリップこそできないものの普通のバイクの感覚と同じように感じるレベル。

……『アヴェニス125』もれっきとしたバイクなのでおかしな言い回しではありますが……。

しかし、このフロントブレーキは『アヴェニス125』と『アドレス125』の差別化を図る上でのポイントのひとつ。

兄弟車の『アドレス125』が右レバーからフロントブレーキのマスターシリンダーまでの間をワイヤーで接続している方式なのに対し、『アヴェニス125』はスポーツバイク同様、完全な油圧式ブレーキを採用しているので、ブレーキのダイレクト感に寄与しているみたい。

スポーツスクーターとしての作り込みの現れ、ということでしょうか?

フロントサスペンションは少し硬めなセッティングに感じますが、おかげでブレーキング時やコーナリング時の挙動は安定していて、スポーツバイクのようなフィーリングをもたらしている要因のひとつに感じました。

パンチのある加速を実現したエンジン、軽快かつ安定したコーナリング、そしてダイレクト感のあるブレーキング。

スポーツバイクに求めたい要素をスクーターのボディに体現した『アヴェニス125』は、コミューターとして常用域での扱いやすさに加え、ちょっとした移動の中にバイクで軽快に駆け抜ける楽しさをプラスしてくれる存在でした。

「移動のためのアシ」としか考えていなかった私のスクーターへの固定観念を見事に打ち壊してくれたのです……。

(下に続きます)

実際に「原付二種スクーター」なるものに乗ってみたワケですが、これはもう50ccや250ccに拘る理由がなくなってきたぞ……。

でも、いくらスポーツスクーターとはいえ、メインで使用されるのはきっと通勤や通学などの普段使いでしょう。

そこで重要なのはやはりスクーターとしての機能性ですよね!

もちろん『アヴェニス125』も便利な機能を多数装備しているのですが、実はひとつ、スクーター選びでライダーを悩ませる問題が……?

To be continued……

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