スズキのラインアップされている400〜800ccクラスで、そのマシンの「足つき性」だけに焦点を絞って当サイト独自のランキングにしてみました!

シート高の数値だけじゃないライダーが実際に感じる「足つき性」の良さって?

あのバイクに乗りたいのに、足が届くか不安……と感じることは少なくないかもしれません。

自分の好きなバイクを選ぶ時にデザインやマシン性能以外にも、かなり気になるポイントのひとつとして、そのバイクの「足つき性」があると思います。

バイクの足つき性を客観的に判断するためのスペック項目として「シート高」がありますが、実際にそのバイクに跨ってみると、シート高の数値だけでは分からないことが実は結構あるんです。

例えばシートの横幅だったり、跨った時のサスペンションの沈み具合や脚の降ろしやすさ、ステップの干渉など、実際の足つき性を判断するには、いくつかの要素が複合的に絡み合ってくるからです。

そのバイクの足つき性を体感するには、実際に販売店などに行って体感するのが一番なのですが、一度に様々な車種のバイクをチェックするのは結構難しいですよね。

そこで今回は、スズキのバイクにラインアップされている中間排気量帯の車種に、身長176cmのライダーが実際に跨ってみて感じた「足つき性の良さ」をランキングにしてみました。

ライダーの身長や体格などによっても足つき性の感じ方は変わると思いますが、愛車選びのひとつの参考としてご覧頂ければと思います。

1位:バーグマン400(シート高755mm)

ライダー身長/176cm

400〜750ccクラスのスズキ車の中で、身長176cmのライダーが一番足つき性に優れていたと感じたのは「バーグマン400」でした。

ビッグスクーターらしくハンドルが近いため、上半身を真っ直ぐにして乗ると、かなり腕に余裕がありリラックスして走ることが可能。着座位置も含め自由度が高いのでロングツーリングでも疲れることはありません。

ヨーロピアンスクーターのように背筋を直立させ、足も椅子に座るような自然な場所に置くほうが街乗りでは扱いやすく、フィット感が高い印象です。

コーナーでは足をすこし前に出して踏ん張り、シートのランバーサポートに腰を押し付けると身体がホールドできるのでスポーティな走りも楽しめます。

けっこう大柄な車体で重量も218kgありますが、跨ってみるとかなり安心感が高いのが特徴です。

その理由はまず755mmというシート高の低さ!

身長176cmのライダーの場合は当然、両足カカトまでべったりと接地します。しかもフロアボードの一部がカットされ、足を下ろしやすくなっていることで数値以上に足つき性を良くしています。

設計段階から真剣に足つき性に取り組んだことが伺える1台です。

2位:SV650(シート高785mm)

ライダー身長/176cm

スズキ車400〜750ccクラスで足つき性の良さ第2位は「SV650」でした。

400ccクラスのようなコンパクトなボディですが、身長176cmのライダーが跨ってハンドルに手を伸ばすと、ほんのわずかに前傾するスポーティな雰囲気のライディングポジションになります。

ただし、前傾は『ほんのわずか』なので気分的には上半身を完全にまっすぐ起こして乗れるバイクと大きく違いはありません。ある意味、最もスタンダードなバイクの乗車姿勢であり、長時間のライディングも快適に楽しめます。

コンパクトな車体と言っても、窮屈さを感じないのは欧州のライダーにも対応するためでしょう。

ちなみに、スタンダードの「SV650」のシート高は785mm。身長176cmのライダーの場合は、余裕をもって両足カカトまでべったりと接地。車両重量も200kgアンダーなので、安心感は抜群と言えます。

SV650の足着き性は『大型スポーツバイク』として考えると破格に良好で、女性ライダーも不安なく楽しめる貴重な大型バイクです。

3位:SV650X(シート高790mm)

ライダー身長/176cm

スズキ車400〜750ccクラスで足つき性の良さ第3位は「SV650X」です。

SV650が足つき性を含めて、何もかもが超フレンドリーなのに対し、SV650Xは初乗りで跨ると『けっこう前傾だな……』と軽く驚くレベルのガチ系セパレートハンドルが採用されています。

スーパースポーツほどではありませんが『きっちりスポーツバイク』という認識を持って跨ったほうが無難です。だけど、その尖り具合がSV650Xの魅力のひとつでもあります。

足つき性に関しては、ネイキッドのSV650に対して5mm高い790mmのシート高となります。

これはSV650Xに採用されているタックロールシートのデザインによる差だと思われますが、正直それほど気にする必要は感じられません。

なので足つき性は『ほとんどSV650と同じ』と言うことができますが、セパレートハンドルによる着座位置の兼ね合いにより、ハンドルを持った状態だとすこし足つき性がSV650よりも(気分的に)悪く感じるかもしれません。

とはいえ本気度の高いセパレートハンドル車でこの足つき性の良さは他にはないので、こちらも貴重な1台ということができます。

4位:GSX-8S(シート高810mm)

ライダー身長/176cm

GSX-8Sのライディングポジションは『手を伸ばせば自然とそこにハンドルバーがある』といった印象で、極めてリラックスした状態で乗ることが可能です。上半身の感覚的にはSV650にかなり近い雰囲気とも言えます。

シート前後の自由度はスポーツバイクとしては平均的ですが、座る場所によってはスポーティな姿勢に構えることもでき、ツーリングからワインディングまで幅広く対応が可能。

長時間の乗車でも特に窮屈感はありませんが、ステップ位置が若干スポーティに感じるところが「スズキのGSXらしさ」だと感じています。

足つき性に関しては、GSX-8Sはシート高810mmで大型スポーツバイクとしては高くもなく、低くもなくといったところ。数値としては標準的です。

しかしながら跨ってみると新設計の鉄フレームのスリムさと、その恩恵によるシート形状のスリム化により足が下ろしやすく、足つき性の印象はシート高810mmよりもかなり良好。身長176cmのライダーの場合は両足カカトまでべったりと接地します。

体感的には『SV650よりちょっと腰高かな』という程度です。

800ccクラスのバイクながら重量が202kgと軽量のため、400ccクラスのような気軽さを感じます。女性ライダーにも一度跨ってみて欲しいと思える安心感を持ったバイクです。

5位:Vストローム650/XT(シート高835mm)

ライダー身長/176cm

スズキ車400〜750ccクラスで足つき性の良さ第5位は「Vストローム650/XT」でした。

日本メーカーのバイクらしくハンドル幅や位置が適切なのが非常に嬉しいポイント。自然に上半身をまっすぐ起こすことができます。膝の曲がりにも余裕があり、身長176cmのライダーでもゆったりと乗ることができる旅バイクのお手本のようなライディングポジションです。

ただし排気量こそ650ccですが、Vストローム650のボディサイズはリッタークラスのアドベンチャーバイクと同等なので、足つき性もリッタークラスのレベルです。

シート高は835mmあり、身長176cmのライダーでも両足カカトがわずかに浮きます。

ただし見た目よりも軽く、車両重量は215kgなので少しカカトが浮いても足つき性に対して神経質になることはありませんでした。とはいえ835mmのシート高とビッグボディなので、安心して取り扱うには日本人男性の標準的な体格程度は要求されます。

排気量こそ650ccですが、正直なところ『気軽』というイメージではないです。だけど一度走り出してしまえば、そんなことは些細な問題に思える奇跡の完成度を持つのがVストローム650というバイクです。

6位:Vストローム800DE(シート高855mm)

ライダー身長/176cm

Vストロームシリーズの中で最も未舗装/ラフロードの走破力が高いのがVストローム800DEです。

ライディングポジションとしてはVストローム650シリーズよりも幅広のハンドルが採用されたことで、やや欧州車的な乗車感となります。それでも輸入車に比べれば『日本人にもフィットする』と言える範囲でした。

膝の曲がりも穏やかでロングツーリングも快適にこなせる乗車姿勢となっています。

ただし、足つき性に関しては流石のシート高855mm。身長176cmのライダーが跨っても、両足接地を試みる場合は両カカトともに大きく浮きます。今回の比較における『純粋な足つき性』でいえば最下位になります。

ただ、Vストローム800DEのシート高855mmは不思議なほどにストレスを感じません。新設計フレームもかなりスリムさを意識して作られているのか、足も降ろしやすく、一般道を200kmくらいツーリングする中で「乗れば乗るほどに身体に馴染み」自在感が増していったのが印象的でした。

もちろんある程度の身長が要求されるのは事実ですが、足つき性だけでは判断できない『総合的な扱いやすさ』を秘めた1台であることは追記しておきます。

【総論】スズキ400〜750ccクラスの足つき性はバーグマン400に軍配

今回、身長176cmのライダーが400〜750ccクラスの計4台のスズキ車に跨ってみて、一番足つき性に優れていると感じたのは「バーグマン400」でした。

このランキングではバークマン400のみ、普通二輪免許で乗れる400ccクラスですから当然の結果のようにも思いますが、ビッグスクーターはシートの横幅や足を置くステップボードの幅もあるので意外に足つき性が悪い場合があります。

その点、バーグマン400は大柄なボディに対し、徹底して足つき性にこだわった設計を感じました。

(下に続きます)

シート高の数値だと足つき性が悪そうに思えるバイクでも、脚を着く位置の車体やフレームなどが細く設計されていたり、居住性や足つき性を良くするためにシート前方が絞られてデザインされているなど、数値や見た目だけでは分からないポイントというのは結構あります。そして逆に『数値より足つき性が悪い』というケースだってあります。

バイクというのは時に『体格』を求めてくるのも事実です。そして「足つき性」は、憧れのバイクに対して『自分が安心できるか』という、とても重要な項目です。

だけど、シート高の数値や思い込みだけで乗りたいバイクを諦めないようにしてください!

何はともあれ実際に跨ってから選ぶようにする。それがきっと自分にとっての最高の1台を見つける最短距離になると思いますよ!

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