10月5日に発表されたスズキの新型400ccバイク。その2台の何がスゴいのかをなるべく『わかりやすく』まとめます!

スズキが『400ccクラス』に新型バイクを2台投入!

11月5日に2025ニューモデルとして発表された400ccモタード『DR-Z4SM』とオフロードモデル『DR-Z4S』の2台……早くも話題沸騰してます。

なんなら今年のEICMA(ミラノショー)において、国産メーカーでいちばん話題性があるのはスズキなのでは? という勢いです。

我々『スズキのバイク!』編集部では11月5日の発表と同時に、私(北岡)が記事を書こうとしたところ、モタード大好きの若手25歳・石神と編集部のオフロード野郎・岩瀬の両名から『俺に書かせろよ……』と強烈な圧を掛けられ執筆を譲るというひと幕がありました。

そして、現状ではひと通りの記事が出たので、それを私がなるべく『わかりやすく』まとめさせてもらおうと思います!

新型『DR-Z4S』と『DR-Z4SM』の400cc単気筒エンジンについて

まずは新型2台に搭載される排気量398ccの水冷DOHC4バルブ単気筒のエンジンについて。

このエンジン本体は「軽量な車体との組み合わせにより、アンダー400クラスで最強では?」なんていう伝説すら持つDR-Z400S/SMに搭載されていた名機エンジンを現代の最新技術でリニューアルしたものです。※北米では現行車として売られていました。

従来型DR-Z400S(旧モデル)

このエンジンに対し電子制御スロットルを採用することでエンジンを緻密に制御。それによって排ガス規制「EURO5+」にまで対応させることに成功し、環境性能的にも「世界中で売ることができる仕様」となったので復活を果たした! といったイメージだと考えてください。

まったくもって電子制御スロットル……偉大です。これがなければ400復活は無かったはず。

ちなみにここで「エンジンは新設計じゃない」のか……と落胆する必要はありません。例えばですが現行の3型『隼』だってエンジンは新設計じゃありません。

本当に完成度の高い名機エンジンは、その“良さを活かす”のがスズキ流。だって現に3型『隼』のエンジンは世界中で高く評価をされています……今回のDR-Z4S/SMの2台も基本はそういうニュアンスだと私は考えています。

しかもですね……上の写真の「黄色の部分」が今回、エンジンで刷新された部分なのですが……ご覧のとおり「ほとんど全部に近くない?」というレベルで変わっています。

シリンダーヘッド・ピストン・クランクケース・カム・バルブなどなど、ここまでくればもはや別モノになることは疑いようがありません。

完成度の高い名機を現代の最新技術でブラッシュアップして、電子制御スロットルで整える。スズキファンの人なら想像がつくと思います……このエンジンが「前より悪くなる」なんてことはありえないでしょう。

機械的な進化としてはアシスト&スリッパークラッチが搭載されたことも大きな魅力のひとつ。

編集部のオフロード野郎・岩瀬によると「なんならオンロードよりオフロードのほうがアシスト&スリッパークラッチの恩恵は大きいと思いますよ?」とのことです。

ちなみにオフロード&モタードガチ勢でない私(北岡)にとっては「安心して走れる装置が追加されて嬉しい」という認識だったりします。

そこに最終調整のごとく『上乗せ』されたのが電子制御スズキインテリジェントシステムの数々です。SDMSによるパワーモードセレクト機能、トラクションコントロールにはスライドを適正に管理する『Gモード』まで搭載されました。

腕に覚えのあるライダーに向けて、ABSはキャンセルすることも可能。本気で走る人には嬉しいポイントかもしれません……私はキャンセルするほどの腕前ではありませんが。

勝手な推測の範囲を出ませんが、最高出力38馬力を8000回転で発生するエンジンはスズキらしくスムーズに、それでいてトルクの厚い走りを披露してくれる予感がします。

どうあれ250ccでは絶対に真似できない領域を見せてくれるはず……期待が大きすぎます!

メインフレームが『完全新設計』なのは注目したい

そして今回の『DR-Z4S/SM』の2台で私がもっとも注目しているのが、新設計となるメインフレームです。スチール製ツインスパーフレームになっています。

そして、そこにアルミ製スイングアームとサブフレームを組み合わせています。

まずはご覧ください。下の写真は『従来型DR-Z400S/SM』のものです。

【従来型】DR-Z400S/SMのフレーム

このフレームが新型『DR-Z4S/SM』では……

こうなった!

【新型】DR-Z4S/SMのフレーム

ぜんぜん違いますね……私的には今回の新型2台の走りはこのフレームの完成度やバランスに大きく左右されてくるものだと思います。

エンジンは名機を最新技術でブラッシュアップして、そのパワーを受け止めるフレームは新設計。必ずエンジンパフォーマンス以上の車体を用意する。これもスズキらしいポイントだと思います。

ちなみにフレームの技術も日進月歩です。その差は従来型と比較になるレベルではないでしょう……

前後サスペンションが気になる……

そして、車体の「もうひとつの要」となる前後のサスペンションについて。

前後ともKYB製なんですが、注目したいのはフロント・リアともにプリロード調整・伸び側減衰力調整・圧側減衰力調整の3つを備えたフルアジャスタブルのサスペンションを投入してきたところです。

現在のスズキの『アンダー400ccバイクラインアップ』において「フルアジャスタブル」の高性能が奢られたサスペンションを持つバイクはありません。

このことからスズキは新設計フレームと同じく「サスペンションにもこだわっている」ことが伺えます。

新しいフレームと前後のサスペンションがどうなるか……実はエンジン以上に『DR-Z4S/SM』で注目したいのは車体側だと(今時点では)考えています。

車検ありだけど『400ccの価値』はあるのか? 発売日は?

そして11月6日午前に新しくアナウンスがあり『北米や欧州ではDR-Z4Sを2025年4月、DR-Z4SMを2025年5月から順次発売』という情報が追加されました。

日本導入があるとしたら(あると思いますが……)米国や欧州の後になると思います。完全な予測に過ぎませんが『2025年夏頃』でしょうか……記憶に新しいところではVストローム250SXが8月の発売だったりしましたが……ちなみに国内の発売日予測に根拠はまったくありません。純粋に希望的観測です。

今回、スズキが新たに投入するバイクは400ccです。当然ですが車検だってあります。維持に関しては250ccよりもコストも手間もかかると思う。たぶん車両本体価格もそれなりのものになるはず……

ですが!

DR-Z4Sの重量151kg(SMは154kg)の車体に最高出力38馬力の「スズキ流のトルク重視型エンジン」が搭載されるとしたら?

(下に続きます)

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その走りの魅力は、車検や維持費などの問題を軽々と飛び越えてしまう可能性が十分以上!

どういう走りを魅せてくれるのかは……来年のお楽しみですが……

いずれにせよこの2台は、編集部の岩瀬が言うように『ナンバー付きオフロードバイク(モタードも含む)の歴史を一気に覆すバイク』になる可能性は大いにあり。

2025年も楽しそうな予感しかありません……

みんな! 『俺たちのスズキ』がまたやってくれたぜー!

【文/北岡博樹(モーターマガジン社)】

新型『DR-Z4S』と『DR-Z4SM』の詳細な解説はこちら!

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