サーキット最速のスズキ車『GSX-R1000R』の意外な事実
満を持して発売となった新型1000ccスーパースポーツGSX-R1000R。
私(北岡)は、これまでの経験の中で『最も難解な説明会』だと感じましたが、そこまで難解かつ専門的な部分で微に入り細に入(うが)って仕上げられたのが新しいGSX-R1000Rの真髄なのだと感じています。
けれど疑問がありました。
その技術説明の中では『レースで勝つための性能向上』と『公道を走るための配慮』が同量で混在しているように思えたからです。
えっと……結局このバイク、どっちなの?
サーキット向け? それとも公道向け?
そこで私(北岡)が採った手段はこうでした。
開発陣のみなさんに揃っていただいたうえで『すみません結局GSX-R1000Rってサーキット専用、もしくはサーキット重視なんですか? それとも公道で楽しむスーパースポーツなんですか? どっちかに決めて手を挙げてください! 二者択一のみ。それではハイ!』
この説明に使った時間は数秒。考える時間なんて与えません。直感のみ(笑)
『新型GSX-R1000Rはサーキット専用バイクだと思う人、手を挙げてください!』
手を挙げた人数は……
急な展開に苦笑いする開発スタッフの図
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まさかの0人!?
え……ゼロって!? それはさすがに予想してなかった!?
そこから続いて!
『新型GSX-R1000Rは公道を走るスーパースポーツだと思う人、手を挙げてください!』
とうことの残り全員が? その質問に手を挙げたのは……
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4人。
誤解の無いように先に言っておきますが、大前提としてGSX-R1000Rは『サーキットで最高のパフォーマンスを発揮するバイク』です。それに、それぞれが担当する開発過程で担ってきた部分により感じたかたも違うはず。それでも全員が「サーキット専用車じゃない」という部分で意見が一致したのには驚きました。
というか2人が回答を避けたな!?
さては決められなかったか?
『いえ、両方ですから』
二者択一って言ったのにーぃ!?(笑)
この回答を避けるべく考える時間を与えなかったという私の卑劣な揺さぶりにも動じなかったのはチーフエンジニア東郷さんとエンジン設計の信太さん。揺るがぬ信念、あっぱれでございます。
でも「公道を走るスーパースポーツだ」という部分に挙手をした人も理由がちゃんとあります。
その代表格だったのは………
エンジン適合実験課の岩田さんです。
『いやだってですよっ!?? GSX-R1000Rのエンジンって200馬力級なんです! それを公道で、街乗りで時速10km~20kmで普通に走らせるのって本当に! めちゃくちゃ大変なんですよ!!! でもボク、エンジン適合が大好きだからいいんです。セッティングが決まった時は嬉しくって!?』
笑いながら言ってましたが岩田さんの「わかってほしいオーラ」がビッシビシ伝わってきました。相変わらず面白いひとがいるな、スズキのエンジニアさんって(笑)
ちなみにエンジン適合っていうのは、ざっくり言うと「完成したエンジンをあらゆるシーンでうまいこと走れるように調整する人」だと思ってください。昔で言うとキャブレターの調整をするようなイメージに近いそうです。
ちなみに余談ですがこちらは生産技術の加賀美さん。私個人の見立てですが、たぶんこの人は『クランクシャフトの鬼』です。経歴の大半がクランクシャフト。余計な話ですがこういうエンジニアさん、個人的に好き。
そしてチーフエンジニアの東郷さんに聞きました。
『このバイクの開発過程でいちばん嬉しかったこと、楽しかったときは?』と。
その答えは……
東郷さん『出来上がったバイクに乗ったとき、完成した時です。これまでのモデルに対してすごく良くなっていた。それが感じられた時でした』
新型GSX-R1000Rの走りは誰が乗っても違いを感じられるバイクになっているとのこと。高回転域では従来型よりもスムーズに突き抜け、4000回転以下でもスルッと前に出る。
前提として『レースに勝てるスペック』を与えながらも、我々のような一般のライダーにも寄り添った扱いやすさや足つき性なども妥協せずに追求する。
(下に続きます)
『毎回、乗るたびに「おおっ!?」って思うんですよ』
開発に携わる人間がそう感じるのが新型GSX-R1000R。言うまでも無くそれは『過去最高のGSX-R』に仕上がっているのでしょう。
恐るべき地道な努力の積み重ねで『従来型のその先』を切り拓くことに成功した。実のところスーパースポーツというジャンルは苦手な私ですが……
ここまで言われると流石にね?
“それ”がどんな走りなのか、興味が沸いて止まりません!