3年ぶりの開催となった鈴鹿8耐は、スズキにとって試練でした。だけどその中で、スズキというメーカーの強さを垣間見たように思います。

逆境でも諦めない。立ち向かう姿に惚れる……

今年の鈴鹿8耐……非常に申し訳ないながら、予選の段階では『今年8耐は厳しいか……』なんて思っていました。

だってザビエル・シメオンはコロナで日本へ入国できず、シルバン・ギントーリはテスト中の転倒によって負傷し、レースを欠場。ヨシムラSERT Motulは渡辺一樹とリザーブライダーだったグレッグ・ブラックの2名で8時間のレースを戦うことになってしまったからです。

予選は予選で天候にも翻弄され、頼みの綱の渡辺一樹の狙いすましたタイムアタックは雨で不発。現在EWC(世界耐久選手権)でランキングトップのヨシムラSERT Motulはまさかの22番手スタートです。

正直に言うと、軽く絶望してました。

ところが、やっぱりスズキはスズキだった。そして名門ヨシムラとのタッグは、やっぱり強い!

まず魅せたのはリザーブライダーだったグレッグ・ブラックです。

耐久レースならでは……というか、グレッグ・ブラックの素晴らしい仕事に加え、名門ヨシムラのノウハウもあると思います。

そのスタートは『神』でした。

誰が思ったでしょう? 22番手のチームが、スタートで7番手までジャンプアップし、オープニングラップ終了後には6番手にまで浮上するだなんて!?

しかも2周目のクラッシュで入ったセーフティカーの介入が解除された後、トップでホームストレートに戻ってくるだなんて!

レースっていうのは、本当に読めません。そしてドラマがある。諦めないスズキは、そのドラマを日本の鈴鹿で創り出してきた。これけっこう……感動しました。

今年の鈴鹿8耐、レース自体は最終的にはホンダが優勝しています。

だけどヨシムラSERT Motulはなんと3位表彰台でフィニッシュし、ランキングトップを守ることに成功したんです。体力的に厳しいはずのライダー二人体制で8時間を戦う中、鈴鹿を知り尽くした渡辺一樹の集中力と安定感が頼もしいことこの上なかった!

そして、それを完全にバックアップしたヨシムラも流石としか言いようがない……チーム全員が一丸となってもぎとった3位表彰台。そうとしか言えません。

表彰台のてっぺんにはホンダが立っています。だけど3位表彰台にいるスズキの姿の誇らしさと言ったら!

この3位表彰台は終盤で3番手を走行していたヤマハが転倒したから、という見方もありますが、それこそが耐久レースというものです。そもそも最後まで走り切ることそのものが難しい。その中で、逆境を物ともせずに戦い抜き、結果を出す。

スズキの素晴らしい強さを感じた1戦でした。

しかもですよ? 表彰台は逃がしましたけど4位もスズキ! ゼッケン95の『 S-PULSE DREAM RACING・ITEC』が並み居るワークスチームを押しのけて勝ち取っているんです。津田拓也選手の序盤の走り、めちゃくちゃカッコよかった!

今年の鈴鹿8耐、スズキファンにとって、最高に楽しい時間だったように思います。

(下に続きます)

逆境でも諦めない、立ち向かうスズキの姿。こういうレースを見ると、ファン冥利に尽きます。

そしてEWCは9月の最終戦フランス・ボルドール24時間を残すのみ。ランキング2位につけるホンダとのポイント差は23。余談は許しません。

でも確かなのは……

MotoGPだけじゃなく、EWCからも目が離せなくなってきたっていうことです!

同じ8月7日に開催された『MotoGP 第12戦/イギリスGP』もやばかった!

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