SUZUKI GT380(1972年)
「冷却効果を40%アップさせたラムエアーシステムを搭載」
1970年代の初頭に大排気量の2ストロークモデル「GT750」や「GT550」で世界的に大きな成功をおさめたスズキ。
エンジンの熱対策が難しいと言われていた、2ストロークの大排気量化を独自の技術で成功させ、「2ストロークのスズキ」と言われるほど、高性能な2スト・マシンを世に送り出していました。
そして、当時350ccが主流であったミドルクラスで、ワンランク上を狙って製作されたのがGT350の後継車にあたる「GT380」です。
1972年に登場したGT380は、371ccの「空冷2ストローク並列3気筒」を搭載していましたが、エンジンの冷却効果をさらに高めるために、一般的な空冷フィンとは異なる「ラムエアーシステム」を搭載したモデルでした。
「ラムエアーシステム」とは、シリンダーヘッドに巨大なボックス状の“エアダクト”を設置し、エアーボックス内に空気を強制的に取り込むことで、中央シリンダーの熱対策に対応するというスズキ独自の空冷システム。
一般的な空冷エンジンに比べて40%アップの風導冷却を可能にした画期的な冷却システムでした。
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このラムエアーシステムのおかげで、空冷エンジンでありながら“水冷エンジン”に匹敵するほどの冷却効果が得られ、15Lの大容量ガソリンタンクと、リッター35km/Lを超える燃費性能も相まって、ミドルマシンでありながら遠方や高速走行での信頼性がさらに高まったとも言われています。
人気テレビシリーズ「仮面ライダー」の中で、登場人物の本郷猛が乗っていたこともあり、「ジー・ティー・サンパチ」の愛称で大人から子供まで幅広い年代に親しまれたマシンでした。
現行車に例えるならどんな車種?
さて、ここからはあくまでもスズキのバイク編集部 岩瀬の個人的な主観で「現在のバイク」に置き換えてみる妄想企画です。
空冷エンジンの冷却にラムエアーダクトを搭載して冷却効率を高めたGT380を、現在のモデルに例えると、スズキ独自の新世代“油冷エンジン”「SOCS(Suzuki Oil Cooling System)」を搭載した『ジクサー250』シリーズに近いかもしれません。
ジクサー250シリーズに搭載されている“新しい油冷エンジン”は、エンジンの燃焼室周りにオイルジャケットと呼ばれる冷却回路を作成し、オイルクーラーで冷やしたオイルを直接オイルジャケットに速い速度で通す事でエンジンを冷却。
高出力でありながら軽く、小さく、シンプル。環境性能にも優れたエンジンにすることができる画期的なシステムです。
エンジンの冷却に画期的なシステムを取り入れるスズキの技術力は今も昔も変わらないんですね!
ちなみにジクサー250、実はフルカウルのジクサーSF250以上に『全開バイク』で楽しいんですよ?