ヘルメット装着時のバイク用メガネとして『ほぼ理想』だと思う
当サイト『スズキのバイク!』をよく見て頂いているかたはなんとなく気づいているかもしれませんが、私(北岡)は近眼です。しかも乱視がけっこう強いタイプ。
でもヘルメット装着状態でのメガネ選びって本当に悩ましいですよね……
今回はそんな『バイクに乗るときのメガネ』のお話。スズキにあまり関係ありませんが、ライディング時のメガネに困っている人に、私が辿り着いた『これがほぼ理想』と思えるメガネを紹介させて頂きます。あくまで個人的な感想にはなりますが、何かの参考になればと思います。

ところで、このお話をしようと思ったキッカケは最近また視力が落ちてきたと感じていたから。改めて、バイク用に使っているメガネのレンズを作り直しに行ったんです。
ちなみに私がコンタクトではなくメガネ派なのは『乱視』だからです。乱視の人はコンタクトよりも補正できる範囲の広いメガネのほうが絶対におすすめ!と、10年来つきあっているメガネ屋さんに言われています。

私がライディング時に主に使っているのはこちらのオークリーですが、これのレンズを『度入り』にカスタムしています。
そして、そのレンズはちょっと『特殊なもの』です。

と、その前にまずはフレームのお話から。長年使っているため、ちょっとボロくなってきましたがお気に入りのフレームです。
なにがお気に入りかと言うと『ヘルメット内でズレないこと』と『伏せたライディングポジションでも視界が確保される』ことの2点。
まず、ヘルメット内での『ズレ』について!

これはツルの部分にある程度の太さ、というか『縦の幅』があることが良い効果を生んでいるのだろうと感じています。滑り止めのゴムパーツ(アンオブタニウム)の効果もあるとは思いますが、個人的にはそれ以上に『ツルの形状』が重要だと思ってる。
実際、メタル系など細いフレームのメガネをするとヘルメット内でメガネが地味にズレることがあり……これが非常にストレス! ですが、このフレームではそれを感じません。

次に『伏せたライディングポジション』でも視界が確保されるところ。
ここは実際に見てみたほうが早いと思います。
まず一般的なメガネですが……

上半身が起きたライディングポジションでは何も問題ありません。というかメガネ、さっそくズレてますが……(汗)
でもメガネライダーの人はご存じでしょうけれど……

伏せたライディングポジションで構えるとこうなります。
フレームが思いっきり視界を遮ってきて邪魔、というか危ないレベル……
これがオークリー製フレームの場合は……

まずは上半身が直立の状態ですが、フレームの形状も手伝ってヘルメット内でメガネがズレない。感覚的にはガチッと固定されているように感じられるほどです。
スポーティなライディングをする際には、この『ガチッと固定感』がかなりの安心材料になります。
そしてここから『伏せたライディングポジション』で構えてみると……

フレームが視界に入ってきません。
あえて「見よう」とすれば視界の端にフレームの存在をとらえることはできますが、まぁ『フレームによる視界への悪影響は無し』と言っていいと思います。
レンズは『W調光』という高性能
そしてレンズですが、こちらは度入りのうえに『調光』という機能を持ったレンズを使っていました。
ここまでの写真で気づいたと思いますが、基本的にこのメガネのレンズは室内では『クリア』です。
ですが、屋外で紫外線に当たると……



紫外線の強さに応じて、レンズの色が変化します。
この『紫外線の強さに応じて』というのが個人的には非常に塩梅がよく、状況に応じてレンズの色の濃さが適度に変化するので「眩しい」とか「暗すぎる」と感じることがほとんどありません。
これが一般的な『調光レンズ』なのですが、最近はさらに進化して『W調光』というものが登場しています。
今回はじめてW調光レンズなるものを導入してみたのですが、これにより『バイク用メガネとしてほぼ理想かも!?』と考えるに至りました。

これまでの調光レンズではヘルメットのシールドにUVカット機能があると、紫外線がカットされるためレンズはクリアのままでした。たまにそれで『眩しさ』を感じるシーンがあったのですが、W調光レンズは紫外線だけでなく可視光線でもレンズ色が変化するんです。
可視光線でのレンズ色の変化具合は、紫外線の場合よりも穏やかなものですが、UVカット機能を持つシールドでも眩しさが軽減される。これが地味だけどすごく良い……助かってます!
何よりも……バイクにカッコよく乗りたい!
ヘルメット内でズレにくく、視界を遮らないフレームの形状。W調光レンズによる快適さ。
いまのところ私(北岡)が辿り着いた『バイク用メガネの最適解』がこれです。
そして、もうひとつ重要なこと!

このメガネだと『ヘルメット&メガネ』の姿がカッコいい!
ライダーもバイクに合わせて常にカッコよくありたいものです。このメガネはその『見た目』の部分も網羅してくれる……なんだか欧米のレーシングライダーみたいな雰囲気じゃないですか?(笑)
性能とスタイルを両立してくれるので、もうこのメガネが手放せません。
ひとつだけ『弱点』がある
ですがタイトルに『ほぼ理想』と書いたことからもわかると思いますが、このメガネも『完璧』ではありません。
ひとつだけの弱点……それは『トンネル』です。
このレンズは紫外線や可視光線に反応して「徐々にレンズ色が変化する」のですが、逆に言うと「急に暗くなった場合、クリアに戻るのにすこし時間がかかる」というものでもあります。

とはいえ一般的な高速道路や国道/県道などのトンネルでは、そうは言っても照明があるし、十分に安全に走れます。もちろん注意は必要ですが!
ですが、それ以上に問題なのは、山深い峠などでたまに出くわす「照明がない暗闇トンネル」です。これだけは注意が必要なので、トンネルに入る前に十分に減速し安全に留意しています。
完璧じゃないけど『このメガネ』は手放せない
暗いトンネルに対しては弱点もありますが、それでも他はほぼ完璧。私はもう10年以上、バイクに乗るときはほとんどがこのメガネです。
もちろん人によって(頭の形などによって)違和感がでる可能性は否定できませんが、バイクでのメガネに悩んでいる人がいたら参考にしてみてください。

ちなみに私がメガネ制作をお願いしているのは神奈川県川崎市にある『メガネナカジマ』というお店です。
このお店はプロのスポーツ選手などもサポートしているほどの実力派なのですが、なにより店長のナカジマさんの人柄が気さくで、ちょっとした不具合やトラブルも相談しやすい。そしてメガネに対する知識や愛が深い!?

店舗での測定が理想ですが、遠方の人にもメガネ制作の対応は可能
ちなみに、このお店では『ドイツ式両眼視機能測定』というものを導入していて、視力の測定に普通のメガネ屋さんの2~3倍くらい時間(1時間くらい)が掛かります。
これは一般的なメガネ屋さんが行う「両目の視力を合わせる測定」とは違い「両目で『見る』ことを前提とした測定方法」らしいです。バイクの運転は視覚情報に大きく依存するので、精密な測定は嬉しい限り。
私はいつも『このメガネで走りが変わるかも!?』なんて期待しちゃってます(笑)

ヘルメットのシールドの裏側でメガネのレンズはクリアカラー

シールドを上げれば「度入りサングラス」状態で快適&カッコいい!?
メガネライダー、というか近視の人はまず『自分の目が本来持つ性能』をちゃんと発揮できるようにしてあげることが重要なのだそう。動体視力とか何とかはその後のこと!
ちなみに私のオークリー製フレームは『ピットブル』のアジアンフィット(←ここ重要)なのですが、こちらの製品は既に廃盤みたいです。もう10年近く前の製品なので……でも同じような機能を持つフレームはあると思いますので相談してみてください。
価格はレンズの仕様によっても異なってきますが、下記のお店のホームページに目安の掲載がありました。
(下に続きます)
正直、それなりのお値段がします。安売り量販店に比べると『高い』って感じると思う。
だけどこのメガネはツーリングからスポーティな走りまで『バイクに乗ること』を確実に楽しくしてくれるのでお値段以上の価値がある。私はそう感じてメガネナカジマに通っています。
※理想はお店への来店&視力測定ですが、遠方の人でも地元の眼科で検眼してもらってから制作を依頼することができるそうです。測定がとても大事です!
そして、精密に調整されたメガネは『メガネを掛けているほうが、かけていない時よりも圧倒的に目が疲れない』という不思議な体験もさせてくれます。
メガネライダーのご同輩がた、もし『バイク用メガネ』にお悩みでしたら、ちょっと覚えておいてくださいませ!
【文/北岡博樹(モーターマガジン社)】