速さじゃない部分の『エンジンの味わい』も大事
何よりも見た目が『カッコいい』ことが大事。
個人的には、バイクってそういうものだと思っています。
その次にわたし(北岡)が気にするのはパワーやコーナリング性能よりもエンジンの味わいです。
個人的な話ですけど、ボクは人生初のバイクがVツインエンジンの250ccで、大型免許を取ってから初めて買ったのもVツイン。そのあとフラットツインとか縦置きVツインとか、とにかく2気筒のエンジンが好きです。
ちなみに人生唯一の4気筒エンジンのバイク、愛車ハヤブサ様は別格ですのであしからず。
なのでまぁ、2気筒エンジンについては、少々こだわりがあるんですね。
その点についてのVストローム1050XTは『新しい2気筒の面白さ』を教えてくれたバイク、と先に言っておきます。
Vストローム1050XTのエンジンは『楽しさ』と『味わい』が別々に棲む
Vツインエンジンの総排気量は1036cc。
このエンジンは元々、スズキ初のリッターVツイン・スポーツTL1000シリーズのために開発されたものでした。土台としてはスポーツバイク向けの設計がされたエンジンなんです。
だから基本的にものすごくスムーズ。綺麗に回るエンジンフィーリングです。
スズキはこういうフィーリングを作るのが得意で、現行車でいうとGSX-S750なんて、もはや美しいとすら感じる回転の上昇感に恍惚となります。
そのエンジンをアレンジして低~中速域を増強してアドベンチャーバイクに搭載したのが、先代のVストローム1000。
このバイクは、ボクが知っていたVツインエンジンのバイクとはまるで違うアプローチすぎて驚きました。
大排気量Vツインエンジンっていうのは、ドコドコとエンジンの鼓動感を感じるものだと思っていたのに、Vストローム1000はスルスルッといつの間にか高回転まで回るキャラクター。
そのついでに、ものすごいスピードになっちゃってる(笑)
最初は鼓動感が弱いと思ったけれど、旅に出てみると、このフィーリングが最高に快適で、すごく疲れない。
Vツインエンジンの旅バイクには、こういうアプローチもあるのか!? と感動したものです。
でも、2気筒バイク好きの個人的感想としてはすこーしだけ『もうちょっとドコドコしてもいいな』と思ってました。(笑)
Vストローム1050に進化してエンジンが激変!
それがですよ……
新型『Vストローム1050』シリーズに進化して、一気に解決!
根底にあるスムーズさは変わりませんが、スロットルを開けると大排気量の2気筒エンジンらしく、路面を蹴り飛ばすような加速フィーリングを獲得したんです。
しかもサウンドが同調するから、かなり満足度高め!
一定速度のクルージングでもエンジンの存在感が強くなり、わたし(北岡)としては『よくぞやってくれました。ありがとう!』とスズキのエンジニアさんに内心、感謝したレベルです。
スズキらしい個性を崩さないまま、大排気量Vツインらしい味わいも感じる。
素晴らしいエンジンになったと思いました。
だけど、それと同時に先代Vストローム1000のスムーズさが、改めて素晴らしかったことも思い知ったんです。
電子制御で『Vストローム1000の快適』も選択できる!?
ところが、それさえ余計な心配。
Vストローム1050にはS-DMS(スズキ・ドライブモード・セレクター)が装備されていて、パワーモードを3段階から選べます。
さっきの『大排気量Vツインらしい味わい』の話はパワフルなAモードでのお話です。
これをBモードにすると……
あたかもVストローム1000に乗っているかのような、優しい、綺麗な回転フィーリングに化けるんですよ!?
Vストローム1050XTに乗るのは2回目。
既にBモードの素晴らしさを知っていたので、今回はおだやかに走るツーリングシーンではずっとBモードで走ってました。
Vツインのドコドコ感は好きですが、それを上回るレベルで、あまりにもBモードが快適すぎる……オーナーとなったら普段乗る時のデフォルトはBモードに固定することは間違いありません。
で、がっつり楽しみたい時だけAモードに変更。
Aモードって『ATTACK』のAじゃないのか?(←違います)って思えるほどアグレッシブで走ることが面白い。
ワインディングで燃えるのはAモードで確定です。
ちなみにCモードはものすごく優しいフラットトルクになり、雨など滑りやすい条件下で威力を発揮するセーフティモードだと思っておいてください。
Vストローム1050XTの『味わい』に文句なし!
スタイルの次に(個人的に)気になる部分としての『エンジンの味わい』は、改めて乗ってみて、極めて満足としか言いようがありませんでした。
エキサイティングと快適を、状況に合わせて明確に使い分ける。
Vストローム1050シリーズの電子制御パワーモードセレクトは、本当に有意義です。
くどいですが、大事なのでもう一度、言っておきます(笑)
Vストローム1050のエンジンは『エキサイティングと快適が同居』じゃない。
『エキサイティングと快適を、別々に使い分ける』んです。
右手に味わいを、左手には快適性能を……みたいなイメージ。
このエンジン、かなり出来がいいですよー!