パワーだけじゃない『速さ』を持つスズキGSX-S1000F
スズキのリッタークラスの大型バイクの中でトータルバランスに優れたバイクは何か?と聞かれたら、わたし(北岡)はGSX-S1000Fだと答えます。
でも一個だけ注釈つき。
GSX-S1000Fは『本当の意味で速い』から、速いバイクが苦手な人にはおすすめしません。
このバイクがスーパースポーツGSX-R1000譲りの4気筒エンジンを積んでいて最高出力148馬力を叩き出すことは、ちょっとバイクに詳しい人ならご存じだと思います。
だけど、それだけじゃないのがGSX-S1000F。
このバイクはエンジンパワーだけじゃないんです。フレームだってストリート向けにアジャストされているとは言え、ルーツはスーパースポーツの骨格。
前後サスペンションも高荷重に耐えられるように固めのセットだし、ブレーキだってブレンボのモノブロックキャリパーを装備してます。
ですから、このバイクのことを個人的には『ツーリング向けの快適な大型バイク』だと思っていません。むしろ、コーナリングにも本気のパフォーマンスを備えた『アップハンドルのスーパースポーツ』だと解釈しています。
走りはスーパースポーツ的だけど乗車姿勢は快適
だけどこちら。すこぶる快適なライディングポジションのせいでちょっと誤解されやすい(笑)
そもそもこのアップハンドル+フルカウルというのが、いわゆる『快適スポーツツアラー』の様式美に当てはまるため、そう見えても無理はありませんが……
だけど、誤解を恐れずに言うなら『乗車姿勢がアップライトなだけ』で、その他はかなりスーパースポーツ寄りに整えられているバイクなんです。
スズキの大型バイクラインアップ中での立ち位置は?
もちろん『スーパースポーツ寄り』というだけで、走る場所をサーキットなどに移せば、GSX-R1000Rには及びません。
GSX-R1000Rはスーパースポーツとしては、驚くほどに快適なバイクですけど、それでも本領はサーキット。
スズキは『扱いやすいことが結果的に速さにもつながる』と信じています
そのポリシーが正しいことは、本年度2020シーズンの最高峰バイクレース『MotoGP』でライダー&チームのWチャンピオンを獲得したことでも証明されました。スズキ最速のバイクは間違いなくGSX-R1000Rです
【MotoGPチャンピオン獲得の記事はこちら】
そして、長距離走行の快適性で言ったら圧倒的に『Vストローム1050/XT』のほうが上です。
あちらはロングツーリング特化型なので、乗り心地も優しく、とことん疲れません。
それでいて、ロードスポーツ顔負けの走りを見せるところが『スズキらしいナァ』とは思いますけどね(笑)
【Vストローム1050XT】の記事はこちら
片側には純粋なスーパースポーツがいて、もう片側には超快適アドベンチャーバイクがある。
じゃあ、GSX-S1000Fはその中間?
だけどそれもちょっと違って、スポーツ性と快適さの割合は8対2でスポーツ志向。ここで無難に7対3とせず、あえて8対2と言いたくなるのがGSX-S1000Fっていうバイクです。
GSX-S1000Fって、実は国産大型バイクで唯一の存在
しかも、スーパースポーツ譲りのエンジンを搭載したフルカウルスポーツでアップライトな乗車姿勢のバイクって、実は国産車には『ありそうで他に無い』です。
輸入車にはあるんですけどね。
そう考えるとGSX-S1000Fって、ちょっと国産バイクっぽくないのかもしれません。
日本メーカーのバイクの場合、乗車姿勢が快適なバイクは『乗り心地も快適』に合わせてあることがほとんど。GSX-S1000Fのようにコーナリングまで本格スポーツ方向でまとめられているのは珍しいと思います。
しかも、リッタークラスの4気筒エンジンを搭載したフルカウルスポーツでありながら、車両重量が214kgと軽いのもスゴいところ。
先にも言いましたけれど『アップハンドルで乗車姿勢が快適』という部分を除けば、その他はすべて速いバイクとして構成されているのがGSX-S1000Fの本質です。
なので、バイクは速くなきゃ! だけど乗っててツラいのは嫌!というワガママなライダーには、これ以上無くジャストフィットするんじゃないでしょうか……
だってGSX-S1000F、本当にとんでもなく速いから。
わたし(北岡)的に、その速さをどう感じているかと言うと……下の続編のタイトルそのまんまです(笑)
ご興味があれば、是非続きもお読みください!