「カタナ」って有名だけど、その歴史って……?

2019年に復活を遂げたスズキを代表するバイクのひとつともいえる「カタナ」。

2022年のモデルチェンジで更なる進化を遂げ、登場から2年、着々とバイク乗りの間で新たな「カタナ」としての地位を築きつつあるように思います。

画像: ▲2022年モデル

▲2022年モデル

昨年に開催された「カタナミーティング2022」ではレジェンドバイクとしてのカタナだけでなく、2年前の第一回ミーティングの2倍以上の台数の新型カタナも来場。

私(石神)も新型カタナに魅せられたひとちで、ミーティングにも第二世代のカタナをお借りして参戦しました。

ですが、「カタナ」といえばやはり「GSX1100S KATANA」の存在を忘れてはいけません。

私自身は現行モデルの新型「カタナ」単体に魅力を感じるひとりですが、年齢的にも(※24歳です)以前の「カタナ」をそこまでよく知りません。

でも、新型「カタナ」に乗れば乗るほど、その歴史にも興味が出てくるというもの。というわけで今回は「カタナ」の歴史をちょこっとお勉強してみました!

1981 GSX1100S KATANA

画像: 1981 GSX1100S KATANA

1980年のドイツ・ケルンで開催されたモーターショーで発表され、一大センセーションを巻き起こした初代「カタナ」。「ケルンの衝撃」なんて言葉も有名ですよね。

その翌年の1981年に生産を開始しましたが、国内では当時排気量規制があったため、当初は輸出車のみとなっていました。

なので、当時このカタナに乗るには一度海外に渡った車両を外車として輸入するしかなく、このことが「逆輸入」という言葉を世間に広げた一端になったとか。

ちなみに、同じく輸出モデルの「GS1100E」がベースとなっていて、正直言われるまで気づかないくらい外見が変わっています。

画像: ▲GS1100E(輸出モデル)

▲GS1100E(輸出モデル)

1982 GSX750S

画像: 1982 GSX750S

そして、こちらが排気量を国内上限の750ccとして1982年に登場した待望の国内モデル。

……だったんですが、当時国内の市販車は低いハンドルやスクリーンの装着が認められず、ハンドルは大きく引き上げられ、特徴的なウインドシールドは装備されていません。

現行モデルのカタナはアップハンドルでも全く違和感もないし、パフォーマンス的にもマッチしていますが、当時のライダーは初代カタナのスタイリングへの憧れが強く、こぞって輸入車用のパーツに交換したんだとか。

でもそれが余りにも人気すぎたため「カタナ狩り」と呼ばれる取り締まりの対象となってしまったそうです。

ちなみに燃焼効率を上げるTSCC(ツイン・スワール・コンバスチョン・チャンバー)を採用して高出力・低燃費化を実現。また、フロントフォークにANDF(アンチノーズダイブ機構式フロントフォーク)を採用し、前後輪にディスクブレーキを装備。リアサスペンションに減衰力アジャスタブル機能を搭載するなど、当時の技術の粋を集めたモデルでした。

よく見ると車名や車体に「KATANA」って入ってないのは、様々な理由で名乗れなかったのだとか……

1982 GSX400E KATANA

画像: 1982 GSX400E KATANA

こちらは同年に登場した「GSX400E KATANA」。

KATANAシリーズの流れをくむデザインを400ccモデルで実現したモデルで「GSX400E」に搭載されたTSCCやANDFなどの優れた装備を有していました。

初見では「カタナ」とは思えませんでしたが、こんな風にちょっとイメージとは異なるカタナもあるんですね。

……というか、私の知っている400ccのカタナはどこいった……?

1982 GSX250E KATANA

画像: 1982 GSX250E KATANA

こちらもスタイリングは丸目ヘッドライトですが、サイドカバーなど各部のデザインはしっかりカタナシリーズを踏襲。

TSCCを採用したパラツインエンジンは低燃費を実現し、ANDFなど400ccモデルに準ずる装備も装備されていました。

あれぇ……私の知っているニーハンカタナは……?

1982 GS125E KATANA

画像: 1982 GS125E KATANA

そして「GSX400E KATANA / 250E KATANA」と同時に登場した「GS125E KATANA」も、特徴的なフロントカウルこそないものの、各部デザインは確かに「カタナ」を想起させるものとなっています。

最高出力14PSを発揮する単気筒エンジンをベースに、フロントに油圧式ディスクブレーキ、フォークにANDFを採用するなど、装備も本格的。

原付二種が盛り上がりを見せる今、かなり楽しそうなバイクかも……?

1984 GSX750S KATANA

画像: 1984 GSX750S KATANA

そして、「GSX750S」登場から二年後にフルモデルチェンジした姿がこの「GSX750S KATANA」。こんどは車名にもしっかり「KATANA」と入ってます。

空力特性に優れたエアロダイナミクスデザインと、リトラクタブル・ヘッドランプを採用し、かなり独特なデザインに。通称「3型カタナ」とも呼ばれてますよね。

各種パーツをアルミ製にして軽量化を図り、フロントにはANDFをさらに進化させたPDF(ポジティブ・ダンピング・フォーク)を採用してより安定した走行性能を実現していました。

実は私、この3型カタナがめちゃくちゃ好きで、ミーティングでたくさんの3型カタナが並ぶ光景に大歓喜しておりました。

現行カタナのデザインにも、この3型カタナの面影を所々に感じていて、新型を推す理由のひとつだったりします。

1991 GSX250S KATANA

画像: 1991 GSX250S KATANA

1991年。初代登場から10年を数え、ようやく私の知っているオリジナルデザインを再現した「GSX250S KATANA」が登場。

「バンディット250」をベースに、新設計されたエンジンを搭載し、低・中速を重視したセッティングがなされていました。

エンジンは水冷ですが、空冷のような冷却フィンを設けられていて、造形にもこだわりを感じます。

1992 GSX400S KATANA

画像: 1992 GSX400S KATANA

新しい250カタナが登場した翌年、400ccもリリース。

こちらも250同様、冷却フィンを施した新設計の水冷エンジンを搭載し、市街地などでの乗りやすさを優先した低・中速重視でした。

存在は把握していましたが、250・400カタナが出たのって90年代に入ってからだったんですね……

1994 GSX1100S KATANA

画像: 1994 GSX1100S KATANA

1994年、国内の排気量上限撤廃を受け、満を持して国内販売された「GSX1100S KATANA」。

新機構のパワーアシストクラッチでクラッチレバーの重さを軽減。オイルクーラーや別体タンク付のリアショックが採用されるなど熟成が図られました。

……待って、登場から10年以上経過してるじゃん⁉

250・400もそうですが、自分が知っている、よりオリジナルコンセプトのカタナが日本国内で手に入るようになったのは、ずいぶん時が経ってからだったんですね……

2019 KATANA

画像: ▲2019年モデル

▲2019年モデル

最後に、2000年に「GSX1100SKATANA」が生産を終了してから、約20年後に復活を遂げた新型「KATANA」。

ネイキッドスポーツ「GSX-S1000」をベースに大胆にフォルムチェンジ。現代的にアレンジされた「カタナ」シリーズの特徴的なデザインに、アップライトなバーハンドルが採用されました。

ベースモデルのGSX-S1000のモデルチェンジに合わせて登場した2022年モデルは電子装備を導入し、よりアグレッシブな特性に進化。

また、シリーズ初となるマットカラーが採用されたのも時代の移ろいを感じるポイントです。

画像: ▲2022年現行モデル

▲2022年現行モデル

ここまで「カタナ」という名車の歴史を振り返ってみましたが、発売順に加え。そもそもモデル自体にも知らないことが多数ありました。

ここではほんのちょっとしか紹介できませんでしたが、カタナに関しては他にもたくさんのエピソードがあるはずです。

(下に続きます)

ネットで調べられる以上のことは、来年のカタナミーティングに集まってくるオーナーさんに聞いてみると面白いお話が聞けるかも……?

もちろん、新型カタナに乗るうえで、レジェンド・カタナの事を事細かに知ることは義務ではありません。

ですが、どのようにして今のカタチに至っているかを知ることで、新型に対する見方の変化や、新たな発見があり、もっと新型カタナを好きになれるはずですよ!

2022年モデル『KATANA』の試乗インプレッションはこちら

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