EICMA2022で発表されたVストローム800DE。Vストロームシリーズ最高の悪路走破性を与えられたという期待のニューモデルですが……そのチーフエンジニアの人に『オフロードバイクを作ったつもりはありません』とキッパリと言われてしまったのです。

Vストローム800DEはシリーズ最強オフロード仕様、じゃないのか?

画像1: Vストローム800DEはシリーズ最強オフロード仕様、じゃないのか?

EICMA2022(ミラノショー)で発表されたばかりの超ニューモデル『Vストローム800DE』の実車がサプライズ展示されたVストロームミーティング2022。

Vストローム800DEといえば、我々『スズキのバイク!』でも海外での情報公開と同時に記事を作らせて頂きました。

海外発表の資料によるとVストローム800DEはVストロームシリーズで最も高い最低地上高を与えられ、前後サスペンションも同じくシリーズ最長220mmのストローク量を確保。

フロントホイールは21インチだし、軽さにもこだわってる。それにこのスタイリング。どこからどう見たってガチのオフロード仕様にしか思えません。

なので我々も『オフロード最強マシンへ!』と派手に記事タイトルをつけているのです……がっ!

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こちら、誤報の可能性が出てまいりました。

Vストロームミーティングでチーフエンジニアの人(番匠 哲也さん)に話を聞いてみたのですが、どうやら前提としての捉え方が間違っていたのかも、という事態になっております。

番匠さん『Vストローム800DEは基本的に“Vストローム”ですからオンロード主体のままです。あくまでツーリングメインで、例えばフルパニアとかタンデムの旅も含めて、オンロードを楽しく走れるのが基本。我々は“オフロードバイク”を作ったつもりはありません』

え……この装備で? この見た目なのに? どういうこと!?

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番匠さん『冒険心を引き立てたい。そういうバイクにしたかったんです。悪路で“引き返そうかな”と思うようなシチュエーションでも進んでいけるように。他のVストロームといちばん違うことは“開発段階から未舗装路ありき”で設計されていること。ここが最大の違いになります』

そこは確かに圧倒的な差になり得る部分。

ちなみに番匠さんはVストローム800DEのチーフエンジニアでありながらサスペンションのスペシャリスト。過去にはRM-Zのチーフエンジニアなども務めた経歴を持っている。Vストローム800DEは、そんな人が開発の中心にいるバイクだったのだ。

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番匠さん『ですからオフロードで大ジャンプ! とか、そういう使いかたは考えていないんです。前後サスペンションのストローク量220mm、最低地上高220mmというのも、オンロードの走りを楽しむことができつつ、そこに悪路での走破性をプラスするために導き出した最適な数値。完全なオフロード仕様ならもっと(サスペンションを)長くすることもできますから』

どうやら本当にVストローム800DEは“ガチ系オフロードバイク”じゃないらしい……あくまでスズキ「Vストローム」の延長線上にあるバイクだということだ。

ただ、Vストロームシリーズの中では最も悪路走破性が高い。そういうニュアンス。だけど、そこにはやっぱりこだわりがあるようで……

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番匠さん『エンジンを直列2気筒にしたのは前後長を短くしたいからです。2軸のバランサーを90度に配置して、これまで以上にコンパクトなエンジンにしています。これによってピボットからアクスルまでを短くできました』

ということは重量配分がVツインエンジンとはかなり変わってくるはず。フロント側にさらなる接地感がもたらされているかもしれません。

番匠さん『それとフレームをアルミじゃなくて鉄にしたのは強度が理由。アルミは強度的には弱い。強度や剛性なら鉄がベストチョイスだと判断しました』

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でもこれ、オンロードバイクの新型『GSX-8S』と同じフレームですよね? オンロードバイクと悪路想定のバイクが同じフレームって成立するの?

番匠さん『フレームに求められるものって、突き詰めていくとオンロードでもオフロードでも、要求されるものに大きな違いはなくなってくると思うんです。今回はエンジンとフレームが同時進行で開発できたのも大きい。ただ、悪路での強度面を補うためにVストローム800DEにはダウンチューブとしてのサブフレームを入れています』

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言われるほどに、納得しかない。設計の話は“Vストローム”としてのコンセプトの上ですべからく理に叶っていていて、反論の余地がまるで無い……と思ったら、逆に番匠さんから面白い話が出てきた!?

番匠さん『トラクションコントロールのG(グラベル)モードなんですけど、アレ実は予定になかったんです。でもテストを含む現場から「こんなに未舗装路で楽しいバイクなんだから、頼むこういうのをつけさせてくれ!」って逆にお願いされまして(笑)』

Gモードはホイールスピン量が一定を超えたあたりから“程よい介入”を続けて、滑らせながらも車体を前に進ませるアグレッシブなトラクションコントロール……ある程度の腕前の人が乗ると、これはめちゃくちゃ楽しいらしいです。

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番匠さん『エンジンをかけて空ぶかしするだけでもワクワクするはず。双方向クイックシフターも、それありきで開発していますし、この800の走りに必要な電子制御も揃えています。とにかく、走りを感じて欲しいです!』

と、チーフエンジニアとしてかなり自信がある様子。

(下に続きます)

実を言うと私(北岡)は、Vストローム800DEに対して「本気のオフロードバイクはちょっと怖いから、乗るのはイワセ(編集部のオフロード野郎)に丸投げだな!」と思っていたんですが、俄然、興味が湧いてきました。

Vストローム800DEは、オンロード主体のアドベンチャーツーリング。そのうえで、スズキ『Vストローム』として、さらなる冒険に挑めるバイクを目指して作られた。

どういうバイクになってるのか……国内導入が待ち遠しい限りです!

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