いきなり新型エンジンに翻弄されたのですが、気を取り直してここからはちゃんと“乗ってみた感じ”をお届けしようと思います。

21インチの大径ホイールだと思えない?

従順なキャラクターかと思いきや、いきなり軽く牙を剥いてきたVストローム800DE。

そのショックでまともに乗ってみた感想をお届けできなかった【新型エンジン編】ですが、ちょっとクールダウン。頭を冷やして再トライです。そうしないとエンジンと戯れるだけで終わっちゃいそうなので……

先に言ったとおり、電子制御で守られているため怖さはまったく感じないものの『どこでも誰でもフロントアップ!』 みたいなVストローム800DEですが、冷静になって、わかったことをお伝えします。

エンジンは、たぶん電子制御スロットルで発進(アイドリング付近)から3000回転くらいまで、ものすごくスムーズかつ扱いやすくなってます。ちょっとGSX-S1000にも通じるフィーリングがありました。ただしドライブモードをフルパワーの“A”にしておくと、4000~4500あたりでパワーが一気に出てくるイメージ。

なので、1速とか2速でスムーズに走り出して、そこからラフにアクセルを開け足すと、先にも言ったとおり前輪は即・離陸しようとします。それでも安定感を失わず、怖さを感じないのは車体設計とトラクションコントロールのたまものでしょうか。

けれど、そこに注意して走ってみると、なんだか感じる違和感。マイナス方向の話じゃないんですけど……

なんかこう……アドベンチャーバイクっていうより、ネイキッドのロードスポーツに乗ってるような気分になるんです。

とてもじゃないけどダート想定の21インチ大径フロントホイールを履いているとは思えない。前輪の細さに対しての不安感は街乗りレベルじゃ当然ゼロ。そして交差点を曲がる時に、こういうバイクにありがちな『前輪がちょっと大回りする感覚』がほとんど無い。

すごく軽快かつニュートラル感のあるハンドリング。これ本当に21インチ履いてるの? って思うくらいに。

あと思ったのが、跨った時に見えるフロントフォークの位置というか角度というか、それがなんだか一般的なネイキッドのロードスポーツに乗ってるような錯覚を起こさせるんです。

だけどスペックの数値でホイールベースやらキャスター角やらを他と見比べても『コレ!』といった要因が見受けられない。

全体的なバランスで成立しているハンドリングなんでしょうか。感覚で言えば、交差点などではVストローム650よりもコンパクトに曲がれる印象……しつこく言うけど21インチっぽくない。

跨ってみると、思った以上に車体がスリムに感じるのもそのハンドリングにつながる要因なのかもしれません。ハンドル幅も975mmとかなりワイドなんだけど『ハンドル広すぎっ!?』とは感じない。

かなり不思議なフィーリングだけど、全部がしっくりきます。バイクはデカいんだけど、フィット感があるんです。ジャストサイズの洋服を着ているような感覚、とでも言えばいいでしょうか。

その軽くてイメージ通りに曲がっていくハンドリングと、3000回転まではウルトラスムーズにしつけられたパワーフィーリングが合わさると、街乗りでは何もストレスを感じません。

かなり大柄なボディだっていうことすら忘れそうになります。

そしと、もうひとつ付け加えておきたいのが足つき性。

ライダー身長/176cm

シート高855mmは私(北岡)にとっても高めの数字なので、両足を着こうと思うと『カカトまでべったり接地で超安心!』とはいきません。

まぁ、両足でも不安を感じない程度には足つき性が確保されているのですが、絶妙なのはむしろ“足の下ろしやすさ”じゃないかと。

街中の一時停止などで片足を着くときは、ごく自然にカカトまで下ろせるんです。この時、意識的に腰をズラして足つき性を確保、とかはしてません。

無意識レベルで少し腰をズラしているんでしょうけど、それ程度でベッタリいけちゃう。街乗りはストップ&ゴーの連続ですけど、足つき性に対して不都合はまるで感じませんでした。これもけっこう不思議な話で、後になって『そういえば……』と思い返して気づいたレベルの話です。

(下に続きます)

足つき性に対しては、167cmの人物(カメラマン)でも試してみたので、他のパートで改めてお伝えしますが『シート高855mm』に対してビビる要素はどこにもありませんでした。

もし自分でVストローム800DEを買ったら、ツーリングメインで街乗りをする機会はあまりないかもしれないけど、感想としては総じて優秀。

あれぇ? なんだろう?

乗る前に感じていた、あるいは不安に思っていた『上手い人しか乗っちゃダメ』的なオーラをVストローム800DEから感じなくなってきてるんだけど!?

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