どうしてそうなった? 年を追うごとに『ニセブサ』が進化している!?
ここまで報告した『ニセブサ白書2025 ①~②』はそうはいっても既存のニセブサたちの延長線上にあるものでした。
しかしここからは違う……ニセブサも進化しているのです。本年度の新たな傾向として特徴的かつ極めて高レベルと判断された次世代型ニセブサの例をレポートします。
それら次世代型ニセブサを発見したのは【ニセブサ白書 ②】にてお伝えした『大物』検挙の後のことでした。
降りしきる雨の中、聖地「隼駅」へ明らかに不審な車両が2台連れだって進入。我々捜査班は物陰に隠れて対象を監視し、隙を見せたところで一気に距離を詰め、職務質問を投げかけます。

記念撮影で油断しているニセブサとそのオーナー
『失礼ですが……そちらの車両は「隼」ではないですよね?』
計画は昨年から。原付二種で東北からの遠征!?
よっしーさん

今回がはじめての隼駅まつり参加だという『よっしーさん』は昨年2024年度のイベント終了後にインターネットの情報(←たぶんスズバイの記事)から『ニセブサ』を知り、1年前から計画を温め、本年度ついに実行に移したと言います。
『これはスーパー〇ブではないのですか?』という問いに対し『いやぁ、これは……それによく似た……あの……』と捜査員の急接近に明らかに狼狽している様子。

しかし質問を重ねると観念したのか『自分が(隼のロゴの貼り付けなどを)やりました……』という自供を得ることができたため確保に踏み切りました。本来は善良なバイク乗りなのでしょう。気軽な気持ちでニセブサに手を染め、早々に検挙されるとは思ってもみなかったに違いありません。
検挙されたよっしーさんは『隼駅まつり』に関して『スゴい。スゴいです』とうわずった声で呟いていました。
だが、真に恐るべき事実の発覚はここからだったのです……

スズキ車に溶け込むため目隠しにもスズキブルーを使用
『宮城から……』
バカなっ!?
偽装車両がスーパー〇ブだとしたら排気量は最大でも原付二種クラスのはず……東北・宮城からというのはあまりにも非現実的。だがしかしっ!?
『あの、クルマに積んで……軽トラで……』

極めて精巧な『SUZUKI』ロゴでの偽装
なんということでしょう。
これまで不可能と思われていた小排気量車でのニセブサ遠征。それを可能にしたのはトランスポーター(←軽トラ)での輸送という新たな手法だったのです。
捜査本部では以降、これらの潜入形態を『運び屋』と呼称することが既に決定しています。
また、よっしーさんによると付近で駐車場を短時間借りることができたとのこと。その際、同じことを考えていた同志に駐車場で偶然に出会ったと供述しています。
無念……証拠不十分にて釈放
そして、そのニセブサはよっしーさん以上に狡猾でした。
大阪から同じくトランスポーター(←軽トラ)での輸送でニセブサを搬入した『運び屋』は大阪府の山本さんです。
山本さん

スズキのフルカウルスポーツであることは確かですが、明らかにサイズ感がおかしい。だが隼ロゴの位置等に不審な点は見当たらない……しかし、見過ごす訳にはいきません。
『なにかご用ですか? ええ、もちろん隼ですよ』
一切の動揺を見せないどころか、あからさまに迷惑そうな態度で捜査員に答える山本さん。

そんなはずはないっ!? どう見たって小さすぎる!
『いやだって、これを見てくださいよ(冷笑)』

これは……
300km/hフルスケールメーター!?
どこまで周到なのか……間違いありません。これはもはや自らに捜査の手が伸びることを前提とした偽装工作です。
明らかに不審であるにも関わらず現場ではニセブサと断定することができず、山本さんは釈放となりました。相手が一枚うわ手だった……この無念、忘れることはないでしょう。

我々の捜査の手を逃れたと確信したのか……山本さんは去り際に……
『やっぱり隼って排気量のわりに足つき性が良いですよねぇー!』
ぬけぬけとっ!?
ニセブサも年々進化している。しかし、本当に恐ろしいのは、それをたくらむ“ライダー”なのかもしれません。
ニセブサ以前に……どうしてそうなった?
失意に沈む捜査員。
ですがここで手を緩めるわけにはいきません。クリーンな隼駅まつりは俺が守るっ!
さぁ、捜査を再か……いっ!?

なんだ……これは……
ニセブサ?
いや本物、か?
目を疑う光景。そこにあったのは明らかに3型、現行モデル最新の『隼』でした。だが、ロゴには明確に偽装された形跡が残っています。
なぜだ! どうなっている!?
石橋さん

前例のない車両だけに慎重を期して車両に近づくと付近にオーナーらしき人物を発見。現行犯で検挙しようとしましたがさすがに令状が降りません……不本意ながら任意での事情聴取となりました。
『ええ、自分は隼よりも「ニセブサ」にこそ興味がありましてねェ……なんならそのために隼を買ったまでありますよ』
そんなことがあるのか、許されるのか!?

これは本物の隼なのか、ニセブサなのか。
グレーゾーン……あるいは脱法ニセブサ。当該案件については現在のルールでは取り締まることができません。来年までに新たな法整備が必要となりそうです。
『今はとても清々しい気持ちです。なんて清々しいんだ……』
降りやまない雨の空を恍惚とした表情で見上げる石橋さん。ニセブサの何が人々をそこまで駆り立てるのか。そこには混沌が広がっていました。
(下に続きます)
今回、オーナーを含めた車両ごとの検挙に成功したのはここまでの8名。昨年2024年の検挙数が3名だったのに対し250%以上の増加となっています。しかも雨によりイベント参加台数が減少した中でニセブサのみが増加の一途という極めて深刻な状態です。
そのうえで会場には『オーナーを検挙できなかったニセブサ』が急増していました。
捜査本部の人手不足により、あえなく逃走を許してしまった多数のニセブサたち。来年への傾向と対策のため、これより別頁にて報告書を提出いたします。
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続編『第二次報告書』は明日25日の夜に公開いたします!
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