昨年2023年の東京モビリティショーで初披露された、スズキの新しい電動モビリティ『e-PO(イーポ)』。メディア向け試乗会でe-POの気になるディテールや各部を徹底チェックして来ました!

すでに市販化できそうな完成度!気になる「e-PO」の詳細を余すところなく見てみよう!

画像1: すでに市販化できそうな完成度!気になる「e-PO」の詳細を余すところなく見てみよう!

2023年の東京モビリティショーで初お披露目になったスズキの新しい電動モビリティ「e-PO(イーポ)」が、市販化に向けて着実に前進しています。

スズキの「e-PO」とは、パナソニック・サイクルテックの電動アシスト自転車「オフタイム」をベースに、ヘッドライトやウインカー、ミラーやナンバープレートなどを装備して、EVの原付一種モデルとして一般公道を走れる“新しい電動モビリティ”として共同開発されました。

古くは1952年(昭和27年)にスズキが自転車に原動機を乗せた「パワーフリー号」や「スズモペット」と呼ばれるペダル付きのモペッドバイクがありましたが、今回のe-POはバッテリーを搭載し、電動モーターで走れる新しい原付一種ペダル付きEVモペッドという位置付けになります。

昨年6月には国土交通省に原付一種としての届出を済ませてナンバーを取得し「公道走行調査」も行われていました。

そんなおりにプロトタイプの車両に試乗できるメディア向け試乗会が行われたのですが、ここで改めて細部やディテールをじっくりチェックしようと思います。

画像2: すでに市販化できそうな完成度!気になる「e-PO」の詳細を余すところなく見てみよう!

まず、e-POは見た目が電動アシスト自転車のように見えますが、これは完全に原付一種モデルの扱いとなるEVモペッドです。

原付一種なのでナンバー取得と自賠責保険の加入が必須で、原付一種免許の所有、ヘルメットの着用(電動力を使わずにペダルを漕ぐ場合でも)が義務付けられます。

また、普通の自転車のように電動力を使わないペダル走行モードでも歩道を走ることはできず、バイクやクルマと同じ一般公道を、原付一種の法規で走る必要がある乗り物になります。

自転車としても使えると言うよりは、どちらかというと、万が一、バッテリーが無くなってもペダルを漕いで帰れる安心感がある電動モビリティ、と言った感じでしょうか。

また、LUUPなどに代表される“特定小型原付”と混同されやすいですが、e-POはそれらとは別の『原付一種』になりますので、まずはこのことを理解しておいてください。

それでは、ここからはe-POの気になるディテールを見て行きましょう。

(※撮影した車両は開発中のプロトタイプ車につき、細部や仕様が変更になる可能生があります)

ベースモデルの電動アシスト自転車に保安部品を付けて原付一種としたEVモペッド

ヘッドライトやウインカーなどの灯火類は全て軽量なLED仕様

原付一種として一般公道を走るために必要なヘッドライトやウインカー、テールランプなどを、パナソニック製電動アシスト自転車のベース車に装着。

電装系は全てLEDになっているので軽量化にも貢献。特にヘッドライトはリフレクター付きのかなり小ぶりなものが装着されていました。自転車のようにタイヤの回転で電力を発電させるタイプではなく、バッテリーから電力を供給しています。

ただ、これはプロトタイプの試験車ということでハイビーム⇄ロービームの切り替えが可能なヘッドライトに変更される可能性もあるとのこと。

画像: ヘッドライトやウインカーなどの灯火類は全て軽量なLED仕様

メーターに付いているメインスイッチを押すとテールランプは常時点灯になり、ブレーキを握るとブレーキランプも灯る仕組み。ナンバープレートと赤い反射板も見やすい位置にしっかりと付いています。

e-POはあくまでも一般公道を原付一種の法規で走るEVモペッドとしての位置付けなので、いわゆる“ナンバー隠し”機能はありません。おそらくはこのままの仕様で登場するのではないかと思われます。

ハンドル右には変速ギアと電子スロットルが備わる

画像1: ハンドル右には変速ギアと電子スロットルが備わる

ハンドル右側には電子スロットルと、自転車でよく見られるタイプの変速ギアが備わっています。

自転車用のバーハンドルをベースにしつつも、グローブをはめていても操作がしやすいようにグリップ部分がやや太めになっています。

スロットル部分は根元の半分くらいが回転するようになっていて、例えばペダルを漕いでいる時に手が滑ったりして誤作動しないような工夫が施されています。

また、変速ギアは1〜7段変速になっていて、レバー部分を親指でカチカチと回して自転車のように後輪のギアが変えられ、プラスボタンを押すことでギアを戻していける仕組みになています。

画像2: ハンドル右には変速ギアと電子スロットルが備わる

スロットルはワイヤーで動かすタイプではなく、電子制御になっていて、入力に対してリニアに電動力が伝わる印象でした。

ハンドル左右にブレーキレバーがあり、右がフロントタイヤ、左がリアタイヤを制動させることができます。これは一般的なスクーターや自転車と同じですね。

保安部品としても必要なミラーやメーターも装備

一般公道走行のために左右にミラーを取り付け、ハンドル中央には小型ながら視認性に優れる多機能デジタルメーターが備わっています。

デジタル液量にはスピードメーターやODOメーター、電力残量、走行モード切り替えなどが見やすく表示されています。

走行モードは、スロットル操作だけの電動力で走れる「フル電動走行モード」、電動アシスト自転車のようにペダルを漕ぐことで電力アシストが掛かる「アシスト走行モード」、完全に電動力は使わずにペダルを漕ぐ「ペダル走行モード」の3つのモードで切り替えが可能になる予定ですが、この試乗会では試験車のためモードの切り替えは割愛されていました。

原付一種モデルとして一般公道を走るには「ホーン」の装着も必須

一般公道を走る原付一種として登録するには、ホーンの装着も必須です。ハンドル左にホーンボタンと、フロント部分にバイク用として使われているタイプのスピーカーホーンが備わってました。

ちなみにハンドル左にはウインカーボタンもあり、この時点では左右のウインカーキャンセルを中央のボタンプッシュでできるタイプではなく親指で戻す仕様になっていました。

電動アシスト自転車に見えるけど各部が原付一種EVモペッドとして最適化されている

ペダル付き電動モーターはパナソニック製のコアユニットを採用

画像: ペダル付き電動モーターはパナソニック製のコアユニットを採用

動力を発生させるペダル付きのドライブユニットは、パナソニック製・電動アシスト自転車用のコアユニットをベースにEV原付一種モデルのe-PO用へ最適化。

フル電動走行モード、アシスト走行モード、ペダル走行モードの3つのモードの切り替えに対応し、原付一種の法定速度30km/hまでしっかりトルクが発揮されるユニットになっています。

タイヤはフロント18インチ・リア20インチで太めのブロックパターンを採用

タイヤはベースモデルとは異なるやや太めのブロックパターンタイヤを履いたe-POオリジナル仕様。

フロントに18インチ、リアに20インチのタイヤを履いていますが、走行でややハンドルがフラフラ左右に揺られてもグリップ力はしっかり伝わってくるのが印象的でした。

操作性と制動力アップのために前後ともにディスクブレーキ化

画像: 操作性と制動力アップのために前後ともにディスクブレーキ化

足まわりでベースモデルの電動アシスト自転車と異なる大きな変更点としては、フロントがディスクブレーキ化になっていることでしょう。

原付一種の法定速度30km/hからのブレーキングでもしっかり制動力を発揮してくれそうです。

ドライブチェーンは電動アシスト自転車のサイズと同じものが着用され、外装7段の切り替えができるSHIMANO製の変速ギアが備わっていました。

手動で簡単に高さ調整ができる自転車用サドル

画像: 手動で簡単に高さ調整ができる自転車用サドル

シートはいわゆる自転車タイプのサドルで、工具無しで手動で高さ調整が簡単にできるようになっているので、足つき性が不安……ということはなさそうです。

ちなみに、ベースモデルのオフタイムは地上から最低79.0cm~最高95.5cmまで16.5cmもの高さ調整できるのでe-POもこれと同じくらい調整ができると予想されます。

防犯ロックも自転車仕様

防犯ロックも自転車のように後輪側に取り付けられた半円のロック機構を回して施錠するタイプが採用されています。

また、泥はねなどを防止するリアフェンダーが取り付けられていました。

パナソニック製の電動アシスト自転車用バッテリーがそのまま使える

駆動用バッテリーは、すでに普及しているパナソニック製の電動アシスト自転車用バッテリーがそのまま使えるように、あえて同じリチウムイオンバッテリーを装着しています。

試乗車のe-POに備わっていたバッテリーは最大容量の25.2V×16Ah(ベースモデルは25.2V×8Ah)を搭載。気になる電池の持ち具合は使用環境などにもよりますが、容量16Ahのバッテリーで走行可能距離が約30km以上になるのではないかと予想されます。

画像1: パナソニック製の電動アシスト自転車用バッテリーがそのまま使える

バッテリー充電の際の外し方は至ってシンプルで、電動アシスト自転車同様にメインキーを回してロックレバーを解除すれば簡単に外せます。

頻繁にバッテリーの充電をするでしょうから、取り外しが容易なのは嬉しいポイントですね。

画像2: パナソニック製の電動アシスト自転車用バッテリーがそのまま使える

バッテリーを外してみると、思っていた以上に小さく、重さは16Ahのバッテリーで約3kgくらいとのこと。

ユニットを大きくすればもっとバッテリー残量がもつようになるとのことですが、あえて市販ベースのバッテリー容量で開発を進めているそうです。

クルマに積んでのレジャーや輪行にも!工具不要で簡単に折りたためるのがイイ!

画像1: クルマに積んでのレジャーや輪行にも!工具不要で簡単に折りたためるのがイイ!

そして、e-POのもうひとつの特徴は「折りたたみ機能」が備わっているところでしょう。

これは折りたたみ自転車の利便性そのものと言った感じで、クルマに積んでレジャー施設などへ気軽に運べる嬉しさがあります。

ちなみにe-POの重量はバッテリーを含めても約23kg程度に収まっているとのことなので、女性でもクルマのトランクルームに持ち上げたりすることに問題はないと思われます。

ハンドルやシート、ペダルなどを折りたたみ、車体真ん中のメインフレームを半分に折りたためば、工具不要3ステップでコンパクトになります。

慣れれば30秒程度で簡単に折りたためるようになるとのことでした。

画像2: クルマに積んでのレジャーや輪行にも!工具不要で簡単に折りたためるのがイイ!

折りたためばこのようにコンパクトになり、輪行バッグを使えば電車などで行く輪行サイクリングもできそうです。

アルミ製のフレームを採用しているので、スチールフレームと比べて全体がとても軽い印象でした。

画像3: クルマに積んでのレジャーや輪行にも!工具不要で簡単に折りたためるのがイイ!

今回はe-POのディテールを中心に解説しましたが、製品としてはこの段階でもすでに市販化できるくらいの完成度になっている印象でした。

様々なライフスタイルに合わせて、いろいろな楽しみ方ができそうな新しいEVモペッドなので、筆者の私(イワセ)はe-POの購入をすでに考えているほどです(笑)

(下に続きます)

しかしながら開発者の方いわく、まだ法的な整備やクリアしなければならない課題はいくつかあるとのこと。

実際に私たちが購入できるのはもう少し先のことになるとは思いますが、無事に市販化できることを楽しみに待ちたいと思います!

実際に『e-PO』に乗ってみた感想は?

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