GSX-8Sが『完全新設計のバイク』だというアドバンテージ
バイクの性格に合わせて走らせかたを乗り手側がアジャストする、というのは普通のこと。ですが昨年にはじめてGSX-8Sに乗った時は、それが上手くできずにちょっと勘違いしてしまっていた私(北岡)です。
でも今回はフルカウルの『GSX-8R』に乗った経験を踏まえて、このバイクに向き合うことができたのが良かった。改めて乗ってみて、初見の時とはぜんぜん違う感想を抱くにいたっています。
なかでも大きな理由のひとつが、GSX-8Sが新車価格にして106万7000円(10%消費税込み)だということです。
この【まとめ編】に至るまでしっかり目を通して頂けた人には意味がわかると思いますが、GSX-8Sは『実際に走らせると1000ccクラスのパワー感があるバイク』です。
そのうえでこのバイクはエンジンから車体まで『完全新設計』の新型バイクなんですよね……
既存のバイクをお色直しした、とかじゃない。実はこの意味はとてつもなく大きいです。
まずエンジンで言えば静粛性や環境性能、耐久性の面もクリアしつつ、過去のエンジンとは比較にならないほどコンパクトで軽量に作られていること。これがなければGSX-8Sの車両重量202kgという軽さは絶対に実現できていないはずです。
しかも、体感的なパワーはリッタークラス同然な訳ですし……
そして新設計フレームを含む車体に関して言うならば、その恩恵はエンジン以上です。
何年、あるいは十年以上も前の技術で設計されたフレームじゃない。わかりやすく言ってしまえば、ここ何年かの間にスズキが(MotoGPなどレース活動を含めて)得た最新の技術がフィードバックされて設計されている車体ということになります。
例えばスズキの鉄板人気モデルである『SV650』も、この点だけは絶対に8Sに届きません。
それにサスペンションやブレーキシステムだって同じこと。こちらも日進月歩で進化していて、純粋にパーツ単体として『前より性能がいい』のは当然でしょう。
私としてはエンジンのパワー以上に『新型車』にはそこに価値を感じるんです。
だって『良いと感じられるエンジンは、それ以上に優れた完成度の車体があってこそ』ですから。どんなに良いエンジンだろうと、それを楽しむことができなければ意味がありません。
そういう観点で見ると、このバイクが新車価格106万7000円(10%消費税込み)というのは最強クラスにお買い得なのではないかと……
近しい排気量帯に、同じニュアンスのバイクはあるかもしれませんが、近年で『完全オールニューの大型ロードスポーツ』はスズキのこのシリーズだけじゃないでしょうか?
つまり、ストリート向けの大型オンロードスポーツとして『リアルに最新』なのです。
それでありながら、GSX-8Sはスポーツだけで終わらない。
ファンの人はご存じでしょうけれど、スズキは『スーパースポーツでもツーリングができるバイクに仕上げてくるメーカー』です。
となればアップハンドルで軽量コンパクトなGSX-8Sが、ツーリングでも十分に楽しめることは自明の理と言うもの。殊更に言うようなことでもありません、だってスズキ車だもん。当然よね。
高速道路でのさらに快適性を高めたいのであれば、ウインドスクリーン系のカスタムで対応ですかね?
長距離ツアラーとして使いたいのであれば純正オプションの『ソフトサイドケースのセット』がまずおすすめだと思う。あれは走行風でブレないように「ケースを支えるブラケット」がしっかりしてるし、竜洋でガチなテストもされてるはず。パワーのあるバイクだから荷物のガッチリ固定は特に重要ですので。
そこに小ぶりのシートバッグとかを追加すれば、わりと長旅もいけると思います。実際、GSX-8Sの純正オプションパーツには「ツーリングアイテム」がけっこう充実してるし(笑)
(下に続きます)
以上のことを総合すると……あれ……
ひょっとしてGSX-8Sって、けっこう1台で何役もこなせそうというか……なんなら『最強万能バイク』の素質があるんじゃないか?!?
街乗りも余裕で楽しめるくらい軽量コンパクトで、走りはリッタークラス並みにエッジが効いてて、やりようによってはツアラーにも育てられる訳だもんね?
ただまぁ、ひとつだけ問題が残ってる……それは8S、キミの顔が強面すぎることだ!
しっかり乗らないと『実はすごく優しい&楽しい!』ってことがわかりにくいんだよナァ……実際の話、GSX-8S最大の弱点は『迫力ありすぎる顔』なのかも?
でも、実態はものすごくバランスの良いバイクです!
はっきり言うけど、単なる価格だけじゃない部分も含めてさ……
このコスパは、最強クラスだぞ!