第二世代の新型カタナは『扱える150馬力』を手に入れる
2022年モデルとしてアップデートを受ける新型カタナですが、まず目を引いたのはそのカラーリングでした。
これまではレジェンドバイクGSX1100Sへのオマージュを感じさせるものだったけれど、このアップデートからは、完全に独自路線へ踏み出したと言ってもいいと思います。
でも、そういった『見た目の印象』以上に走りが激変することは、もはや確定路線のようなもの。
【前編】でも軽く触れた通りですが、新型カタナとエンジン&フレームを共有するGSX-S1000が既に国内でも走り出しているのがその理由です。
はっきり言ってしまいますが……走りはもう、従来型とは比較にならないものになるでしょう。
まずエンジンですが、電子制御スロットルが新型GSX-S1000同様に新採用となります。
そして電子制御スロットル化だけでなく、エンジン内部にも手が走り、カムシャフトを変更。
吸排気もエアクリーナーボックスの形状変更のほか、エキゾーストパイプも新形状の4-2-1集合が採用されます。
上記の変更によって最高出力は152馬力へとアップ。ただし、この152馬力という数値は欧州仕様のもので、国内仕様ではGSX-S1000同様に150馬力となることが予想されます。
ちなみに、欧州と日本ではパワーの計測方法に違いがあるため2馬力の差が出ていますが、基本的にはまったく同じエンジンです。
そして、手元のボタンでパワーフィーリングを変更できるSDMS(スズキ・ドライブモード・セレクター)も搭載。
これらによって第二世代の新型カタナが手に入れるのは『扱える150馬力』です。
従来型も扱いやすさを向上させるため、スロットルグリップをプログレッシブ形状にするなどの工夫が凝らされていましたが、32bitのECM(エレクトリック コントロール モジュール)によって完全管理された緻密な制御には、到底敵うものじゃありません。
新型GSX-S1000に乗った感覚で話をするなら、第二世代のカタナも、車体を寝かせた状態から思い切ってアクセルを開けていけるパワーフィーリングとなることは明白。大型スポーツバイクとしての『速さ』は従来型とは比較にならないレベルに進化します。
しかも、トラクションコントロールの介入度もこれまでの3段階から、5段階へ調整幅が広がりました。
スポーティな走りが好きな人の場合、その走りに馴染んでくると『もうちょっとトラクションコントロールの介入度が……』ということになるのは往々にしてあります。そこをさらにアジャストできるようになった。つまり、乗り手のスキルに応じての対応幅が広がった、ということだと考えてください。
第二世代の新型カタナは『快適性』も手に入れる
しかも、第二世代カタナはハンドルバーがラバーマウントとなります。
従来型でも私は、それほどハンドルの振動が気になるとは思いませんでしたが、こういうのは長距離を走るとけっこう差が出ます。
私(北岡)を含め、ツーリングが好きなライダーには地味にありがたい進化でしょう。
また、なにげに嬉しいのがスリッパ―クラッチにアシスト機構が追加され、クラッチ操作が軽くなること。
みなさんもお分かりだと思いますが、バイクの運転において『クラッチが重いこと』のメリットは何ひとつありません。
市街地の走行や渋滞路など、アシストスリッパ―クラッチの新採用はメリットしかない進化です。
こちらも地味といえば地味なアップデートですが、ツーリングの快適性は格段に増すものと予想されます。
待望の双方向クイックシフターも!
そして、個人的に嬉しいのが双方向クイックシフトシステムの搭載。
新型カタナはその個性的なスタイリングとは裏腹に、実際に乗るとかなりのオールラウンダー。ワインディングだけじゃなく、街乗りからツーリングまで違和感なく楽しめるバイクです。
そこでシフトチェンジの際にクラッチ操作がいらなくなる双方向クイックシフトシステムは、のんびり走るシーンからワインディングまで大活躍すること間違いなし。
私がもし従来型のカタナを愛車としていたら、第二世代に対して最も羨ましく感じる進化はこの部分かもしれません。
時を超えて復活したスズキのカタナですが、従来型までは、そうは言ってもレジェンドバイクの面影を追いかけるような一面があったと思います。
だけど、ここからは完全に違う。
(下に続きます)
見た目も、走りも、大きく変えてきた。
必要以上に過去の伝説に縛られることなく、21世紀の最新バイクとして『あるべき姿』に進化。そして、これまで以上に自由に走り出そうとしています。
となると、これって……
むしろ、この第二世代からこそが『新型カタナ』の本領ってことになるのかもしれませんね!
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エンジンとフレームを共有する新型『GSX-S1000』の走りは?