長期保管されていたバイクの健康状態はどうなっている?

冬の間にしばらくバイクに乗れていなかったり、久しぶりにバイクを動かす場合などは、いきなり走りだす前に愛車の状態がどうなっているのかを知っておくために、いくつかチェックしておきたいことがあります。
「エンジンがかかれば問題ないでしょ?」と思われるかもしれませんが、長期間バイクを動かしていなかった場合は、出先で思わぬマシントラブルが起きてしまう可能性があるんです。
定期的な点検は安全面や快適性にも繋がりますし、何よりバイクが元気に長持ちする「健康チェック」のようなもの。
専門知識が必要な難しいメンテナンスはお店に任せるのが賢明ですが、この記事では久しぶりにバイクに乗るときチェックしておきたいポイントを、特に重要な「7つの項目」に絞って解説します。
走り出す前に愛車の「7項目」をチェックしてみよう
①バイクの主電源は入りますか?

しばらく乗っていなかった場合は、バッテリーが弱っている可能性もあるので、まずはバイクの電源が入るかを確認してみましょう。
イグニッションキーをONにして、しっかり電源が入るかチェックします。

電源が入り、バッテリーの状態が問題なさそうならセルボタンを押してエンジンがかかるかチェックします。
セルモーターがキュル…キュル……と弱々しく回るようでしたら、バッテリーが弱っている可能性があります。
このような場合はバッテリーの充電や交換が必要になりますので、必ず確認したいポイントです。たぶん大丈夫だろう、なんて思って走り出すと、出先で動かなくなっちゃうこともありますので……
②エンジンオイルの色や残量は適切ですか?

続いては「エンジンオイル」の点検です。
エンジンオイルとは、エンジン内で潤滑・洗浄・冷却・防錆などを行なってくれている“バイクの血液”とも言われるオイルで、バイクで走るたびに少しずつ汚れ、劣化していくので定期的な交換が必要になります。
車種にもよりますが、エンジンオイルの状態や残量を目視で確認するには、エンジンの横にあるエンジンオイル窓や棒タイプのオイルレベルゲージで確認します。
まずはエンジンオイルの量が、UPPER(アッパー)と書かれた上限部分から、下限部分のLOWER(ロウアー)までの間にあるかチェックしてみましょう。
③水冷エンジンは冷却水(クーラント液)が減りすぎていませんか?

水冷エンジンのバイクには、エンジンを冷やすためのクーラント液(LLC/ロングライフクーラント)と呼ばれる“エンジン冷却用の特殊な水”が備わっています。
このクーラント液の残量も、UPPER(アッパー)と書かれた上限部分から、下限部分のLOWER(ロウアー)までの間にあるかチェックしましょう。
④タイヤの劣化具合と空気圧はマストでチェック!

続いては『タイヤの状態』をチェックしてみましょう。
一般公道の走行では、やはりタイヤの中央部分から多く擦り減っていきますので、まずはその中央部分の磨耗状態を確認しましょう。
目で見て、極端にタイヤの溝が無くなっていたり、タイヤ表面がひび割れを起こしていたりしないかを確認することも重要です。

また、タイヤの状態チェックと同じくらい大事なのが「空気圧の確認」です。
タイヤの空気は乗らなくても徐々に抜けてしまうので、定期的なチェックして、規定空気圧より下がっていたら空気を充填する必要があります。

空気圧を図るエアゲージや、空気を入れるためのエアコンプレッサーなどを持っていなければ、行きつけのバイク屋さんなどに相談してみてください。
ここは本当に重要! しばらくバイクに乗っていなかった場合は、走行前に必ずチェックしてくださいね。
⑤チェーンって伸びるの? 触って確認してみよう

バイクの駆動輪を動かしている「ドライブチェーン」は、高速で回転するため摩擦でスリ減り、連結部分を中心に伸びて、少しずつたるんでいきます。
指で軽く押し上げてみて、かなり動くようでしたらチェーンが伸びてしまっていることが考えられます。
その場合はたるみの調整もしくはチェーンの交換が必要になります。
また、チェーンドライブの車両は定期的なチェーンの洗浄や、チェーンオイルを注油する必要があります。久しぶりにバイクに乗る場合は、こちらのメンテナンスも忘れずに!
⑥ブレーキの効き具合やパッドの残量は問題なさそうですか?

続いては「ブレーキ」の効き具合の確認をしてみましょう。
エンジンを停止したまま車体を前後に押し引きしつつブレーキレバーを握ってみて、ブレーキが問題なく効いているかを確認します。

現在、主流となっているディスクブレーキは油圧で制御されているため「ブレーキフルード」と呼ばれる専用の液体が組み込まれています。
ハンドルの部分にこのようなパーツが配置されていますので、ブレーキフルードの残量がLOWER(ロウアー)の位置より下回っていないかをチェックしましょう。

また、ディスクブレーキは「ディスクローター」と呼ばれる回転する“円盤状のプレート”と、そのプレートを挟んで制御するための「ブレーキキャリパー」で構成されています。
ブレーキキャリパーの中には「ブレーキパッド」と呼ばれるパーツが二枚一組で配置され、ディスクローターを強く挟むことで、タイヤを制動させる仕組みになっています。
ブレーキパッドとディスクローターは摩擦によって徐々にスリ減っていくので、定期的なチェックと交換が必要になります。
⑦ヘッドラントやウインカーなどの灯火類がしっかり点灯しますか?

最後に、ヘッドライトやウインカー、テールランプなどの「灯火類の確認」です。
バイクの電源を入れてみて、これらがしっかり点灯しているかチェックします。

ヘッドライトやテールランプなどの灯火類が正常に点灯しない状態で走るのはとても危険です。
また、気がつかずに走行すると整備不良の交通違反にもなりますので、必ずチェックするようにしてください。
(下に続きます)
以上の7項目をチェックすれば、久しぶりにバイクで走りに出掛けてもツーリング先で思わぬマシントラブルに見舞われてしまう心配が大幅に少なくできると思います。
いよいよバイクシーズンの春がやってきました。
しばらくバイクに乗れていなかった人は、この7項目だけは必ずチェックしてから走り出すようにしてくださいね!