今となってはなかなか見ることが難しくなった貴重な「スズキの歴代バイク」を紹介する連載企画。 そんなスズキの歴代バイクを振り返りながら、もし「今のバイクに例えるなら…?」と、編集部 岩瀬が独断と偏見で選んでみたいと思います。今回はリトラクタブルヘッドライトを採用したⅢ型カタナ「GSX75S0 KATANA」がいよいよ登場です。

GSX750S KATANA(1984年)

「いまでは市販化不可能なリトラクタブル・ヘッドライトを採用したⅢ型カタナ」

画像1: GSX750S KATANA(1984年)

GSX750S KATANA(1984年)

当サイト『スズキのバイク!』をご覧のみなさまには、もはや説明不要なほど名車スズキ「カタナ」シリーズ。

1980年のドイツ・ケルンショーにてプロトタイプが発表され「ケルンの衝撃」とまで称されたほどの一大センセーションを巻き起こした「GSX1100S KATANA」は、その後も様々な排気量やバリエーションモデルが登場し、スズキを代表するバイクになっていきました。

画像: GSX750S(1982年)国内仕様

GSX750S(1982年)国内仕様

しかし1973年から1990年ごろまでは、日本国内では排気量が750cc以上のバイクを販売しないという自主規制があったため、1982年には1100ccの排気量を750ccにスケールダウンさせた「GSX750S」が国内で正規販売されました。

当時の国内ではセパレートハンドルやフロントスクリーンの認可がおりていなかったため、ファンの間では“耕運機ハンドル”とも呼ばれているアップハンドルが採用されていました。

画像: GSX750S2(1983年)

GSX750S2(1983年)

翌年の1983年にモデルチェンジされた「GSX750S2(GR72A)」はメーターバイザーとしてのフロントスクリーンの装着が認可され、最高出力3馬力アップと共にハンドルやシートの変更、フロントタイヤも19→16インチに変更されていました。

これがいわゆる“Ⅱ型カタナ”と呼ばれるナナハン・カタナです。

画像: GSX750S3 KATANA(1984年)

GSX750S3 KATANA(1984年)

国内でも着実にファンを増やしていった「GSX750S」ですが、1984年には早くもフルモデルチェンジを果たします。その車両が、今回紹介する「GSX750S KATANA(S3)」です。

ファンの間では“Ⅲ型カタナ”と呼ばれ、現在でも根強いファンが多い「GSX-S750 KATANA」は、初代GSX1100S KATANAをデザインしたハンス・ムート率いるターゲットデザイン社ではなく、スズキの社内デザイナーが担当。

空力特性に優れたエアロダイナミクスデザインを取り入れた唯一無二のルックスに生まれ変わりましたが、なんと言ってもⅢ型カタナの最大の特徴は、大型ロードバイクとしては初のリトラクタブル・ヘッドライトが採用されていたことでしょう。

画像2: GSX750S KATANA(1984年)

まるでスーパーカーのような格納式のヘッドライトは、スモールランプ・オンで作動し、万が一の故障に対しても手動で操作することが可能でした。

ちなみに、この当時はバイクのヘッドライトの常時点灯が義務付けられていなかったので、日中などの明るい時間帯などではヘッドライトを格納したまま走ることもできました。

しかし、現在はバイクのヘッドライトの常時点灯式が義務付けられている(1998年に義務化)ので、このリトラクタブル・ヘッドライトの構造自体が今では市販することができないロストテクノロジーとも言えるデザインになっています。

いま見ても斬新なGSX750S KATANAのルックスは、デザインばかりに目が行きがちですが、マシン性能も大幅アップデートされていました。

角断面鋼管L-BOXフレームを採用し、車体全体のコンパクト化に成功。乾燥重量もⅡ型より約10kgも軽い212kgにまで軽量化。

フロントフォークには進化型のアンチノーズダイブ機構を備えたANDF(アンチ・ノーズ・ダイブ機構式)を採用し、高速コーナリング時やエンジンブレーキ時のノーズダイブも緩和されていました。リアサスペンションはリンク式のフルフロータータイプが採用され、スポーツ走行でも姿勢変化を誘発しにくい乗り味を実現していました。

現行車に例えるならどんな車種?

さて、ここからはあくまでもスズキのバイク編集部 岩瀬の個人的な主観で「現在のバイク」に置き換えてみる妄想企画です。

今回紹介した「GSX750S KATANA」を現代のモデルに例えるなら、排気量クラスは違えど、シリーズの最新作である新型『カタナ』で決まりでしょう!

2000年のファイナルエディションから18年の時を経て、衝撃の復活を果たした新世代カタナが登場したのが2018年のこと。そこからわずか3年後に第二世代へと進化したのが現行モデルです。

画像: KATANA(ミスティックシルバーメタリック)車両価格:166万1000円(10%消費税込み)

KATANA(ミスティックシルバーメタリック)車両価格:166万1000円(10%消費税込み)

2025年モデルはボディにカタナらしいシルバーカラーを採用しつつも、テールカウルにマットブルー、ホイールに渋めのオレンジを配色した「ミスティックシルバーメタリック」と、昨年のKATANAミーティングでサプライズ披露された“青カタナ”「パールビガーブルー」の2色のニューカラーが登場。

第二世代となる新型「カタナ」は、電子制御スロットル「スロットル・バイ・ワイヤ・システム」を新採用し、シフトアップ&ダウンの両方に対応する双方向クイックシフトシステムも標準装備されました。

画像: KATANA(パールビガーブルー)車両価格:166万1000円(10%消費税込み)

KATANA(パールビガーブルー)車両価格:166万1000円(10%消費税込み)

さらに、電子制御システム「スズキ・インテリジェント・ライド・システム(S.I.R.S.)」や「スズキクラッチアシストシステム(SCAS)」も標準装備され、従来型とは比較にならないレベルの高い走りと操作性を手に入れています。

他にもエンジンや走行中の振動を軽減してくれる「ラバーマウント」ハンドルが採用され、インストゥルメントパネルにも小変更が加えられるなど、各所がブラッシュアップされました。

(下に続きます)

ちなみに今回紹介した「Ⅲ型カタナ」のデザインって、現行モデルのカタナに一番近いのでは? と思っているのは私だけでしょうか。

いずれにしても、1981年から40年以上も続くカタナの歴史を振り返ると、現在でも『カタナ』という名のバイクに新車で乗れるというのはとても幸せなことなのかもしれませんね。

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