第7戦カタルニアGPには期待が膨らむ……はずが
スズキ100周年となった昨年2020シーズンにおけるカタルニアGPといえば、前半戦を怪我に苦しんでいたゼッケン42 アレックス・リンスが調子を取り戻し、じりじりと頭角を現していたゼッケン36のジョアン・ミルと合わせて『チーム・スズキ・エクスター』がチームとして初のW表彰台を獲得したレースでした。
感覚的にはここから2020シーズンの『スズキ無双』状態がはじまったような印象が残っています。
ふたりともスペイン人ライダーでカタルニアGPはホームコースになりますしね。
否が応でも期待が高まっちゃうってものです!
……がっ!?
まさか、まさかの事態に。
リンス様がコース上でのロードバイク(自転車のほう)トレーニング中に右手首橈骨を骨折!?
今回のカタルニアGPは久々の観客入りレースだったので、リンス自身も悔しいホームGP欠場となってしまいました。
ほんと、アクシデントっていうのは予想外のところから来るものですね……早く回復してくれることを祈るばかりです。
スズキは代役ライダーを立てず、ミルが孤軍奮闘
このアクシデントに対して、スズキは代役ライダーを立てることはしませんでした。
テストライダーのシルバン・ギュントーリ選手に走ってもらう選択肢もあったはずですが、チーム・スズキ・エクスターのライダーはリンスとミルの2人だ!と言わんばかり。そういうところに『情』を感じるのは私(北岡)がスズキ贔屓だからでしょうか?
しかし、この判断によりカタルニアGPは#36ジョアン・ミルが唯一のスズキライダーとして出走となりました。
もはや語るべくもないですが、どうにも予選が苦手なスズキ。
今回、ミルは4列目10番グリッドからのスタートです。4列目スタートと聞いて「まぁ、いつもと同じくらいかな」と感じるようになってきていますが、これ実は良くない慣れなのではないか?と最近は思ってます(笑)
予選で前に居られたら、そのぶんライダーは負担が少ない訳ですからね。
だけど相変わらずの戦闘力! スズキのGSX-RRの速さは本物!
しかし、そんなわずかばかりのモヤモヤを吹き飛ばすジョアン・ミル&スズキGSX-RRの凄まじい戦闘力!
10番手スタートからオープニングラップで4番手までジャンプアップ! 続いて2LAPめには3番手へ。
どのライダーよりもスタート直後で魅せたのはスズキ&ミルでした。
実際、スズキってやっぱり速いですよね……
その後、6LAPめにはミルが2番手へ浮上!
このままイケるか?と思ったのですが、ここからタイヤチョイスで苦しむことに……
多くのライダーはフロント/ミディアム・リア/ハードタイヤを装着しており、中には前後ともハードタイヤという選択も見られる中、チーム・スズキ・エクスターのジョアン・ミルは前後ともミディアムタイヤをチョイス。後輪ミディアムは結果的にスズキのみ、という状態でした。
後半戦でリアタイヤのグリップに関して、ミルは少々不利を抱えることになります。
そして、バルセロナ・カタルニアサーキットはタイヤへの負荷がとても高いコースとして知られています。
そんな中、中盤戦で3番手走行中のミルの背後に忍び寄るのはドゥカティ勢2台。
最高速に強いドゥカティ……嫌な予感。
と思ったらやはりというか、ストレートの力技が炸裂。
16週目にドゥカティ勢2台につかまり、ミルは5番手へポジションダウンを余儀なくされます。
うーん、これはちょっとタイヤの判断ミスったかも?
でもね、仕方ないと思うんですよ。だってミル、今回ひとりだもん。
ライバルとはいえ僚友のリンスと情報交換もできないし、スズキはそもそも2人しか走ってないんだから。
他メーカーみたいにたくさんライダーが走ってれば、判断材料も増えると思うんですけどね。スズキはふたり(今回はひとり)なんですよ、何度も言いますけど。
そんな厳しい状況の中で戦い抜いて、6番手のライダーの猛追を寄せ付けず5位でチェッカー。
いやほんと、よくがんばってくれたと思います。ミルの奮闘に感謝!
あ、ちなみに今回はちょっと珍しい上位ライダーのペナルティで最終的にミルは4位へ昇格。タナボタ状態ですが、ポイント的にはありがたいところです(笑)
リンスの負傷欠場、タイヤチョイスの判断ミス。
今回は色々と流れが悪かった感じです。次に期待ですね!
(下に続きます)
【こちらも人気】
次戦の第8戦ドイツGPは2週間後の6/20(日)に決勝がスタート。
リンスの負傷も気になるところです。そして、やっぱりチーム・スズキ・エクスターは『ふたり揃って』走っていてほしい!
そんなことを思った第7戦カタルニアGPでした!