軽快で速い! それでいてすっごく安心感があるスズキ「スウィッシュ」
【試乗インプレ①】からの続編です
「なんて軽快なんだ!」
スウィッシュに乗り始めてすぐに気づいたことです。
原付二種のスクーターはどれもだいたい同じ、と思っている人がいたら、それは間違いです。スウィッシュは予想以上に切れ味が鋭いスポーツ・スクーターでした。
街で圧倒的にキビキビした走りを生むスウィッシュの特徴は、前後のタイヤが小径だということ。前後ともに10インチを履いています。
これは、日本メーカーの現行車だと、スウィッシュ&スウィッシュリミテッドと、ヤマハのアクシスZのみの特権です。
近年は未舗装路が多い欧州やアジアでの需要を考慮し、大径ホイールのスクーターが主流となっています。
ただ、道路が整備された日本の都市部では、その恩恵を感じるのはすこし難しいかもしません。
小さなタイヤの方が小回りが利き、クイックネスな走りを実現できます。
スウィッシュの軽量コンパクトなボディとこの小さなタイヤは、まさに街で最強と思えるもの。
瞬発力もよく、加速力も原付二種スクーターでは上位でしょう。信号が青になった瞬間、周りのクルマや50cc原付を置き去りにできます。
エンジンは、強制空冷4ストSOHC2バルブ単気筒。総排気量124cc。スズキが誇る「SEP」エンジンです。
SEPとは、「SUZUKI ECO PERFORMANCE」の略。燃費効率を上げながら、フリクションロスを低減することで、パワーを落とすことなく、低燃費を実現したエンジンの総称です。
振動の少なさもコミューターとしてありがたい。エンジン自体の鼓動も小さいものですが、走行時の振動の少なさには、優秀なサスペンションも多分に影響しています。
(下に続きます)
小さなタイヤだと、路面のガタガタをダイレクトで受けそうだと思ったものの、テレスコピック式のフロントフォークと、2本のリアサスペンションがよく働いてくれ、優雅な気分でスピーディな移動が可能に。
スウィッシュはコンパクトで、忙しない走りとなりそうな印象でしたが、とっても優雅な気分で乗れるのです。
それには上等なサスペンションとともに、じつはゆったりとしたライディングポジションが貢献していると思います。
シートとフットボードまでの距離、ハンドルまでの距離が身長175cmの僕には、とても快適でした。見た目の小ささとは裏腹に窮屈な思いをすることなく、どっしりと乗れました。
ゆったりとして、気持ちが急かされることなく、それでいて速い。
普段は大型バイクで通勤をすることもあるのですが、約10kmの都心の移動では通勤タイムを余裕で上回りました。キビキビ動けることで、信号のつながりがよくなったり、大型バイクだとためらう狭い道路の利用もへっちゃら。
やはり軽量・コンパクトな原付二種は街での正義ですね。
それでいて「スウィッシュ」は、楽しい。
まるで自分の手足の延長のように自在に扱えるから、乗れば乗るほど、どんどん楽しくなっていきました。
しかも燃費がいい。街乗りでの平均燃費は40km/Lを上回ることも。僕の体重は75kg。けっこう日々開け気味で走っていたのですがこの高燃費。燃料タンク容量は5.5Lなので、200kmの連続走行も可能となります。
あと、驚いたのはブレーキの性能です。時速60kmからの急制動もビシッと決まりました。前輪はディスク径200mmの油圧式ディスクブレーキを採用。リアはドラムです。
この前輪ブレーキがホントによく利くなあ、と感心することばかりでした。速いだけでは、ただ危ないだけ。速さ以上にしっかりと止まれる安心感が際立っていました。
僕は個人的に現在最強の街乗りバイクは、スウィッシュなんじゃないかと思っています!
文:西野鉄兵/写真:岩瀬孝昌・西野鉄兵
スズキ「スウィッシュ」の主なスペックと価格
全長×全幅×全高 | 1830×690×1095mm |
ホイールベース | 1250mm |
最低地上高 | 120mm |
シート高 | 760mm |
車両重量 | 114kg |
エンジン形式 | 強制空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 |
総排気量 | 124cc |
最高出力 | 6.9kW(9.4PS)/7000rpm |
最大トルク | 10N・m(1.0kgf・m)/6000rpm |
燃料タンク容量 | 5.5L |
変速機形式 | Vベルト無段変速 |
タイヤサイズ(前・後) | 100/90-10 56J・100/90-10 56J |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・ドラム |
メーカー希望小売価格 | 32万4500円(税込) |