スズキ『アドレス110』の不思議なハンドリング
スズキの原付二種スクーターにはアドレス125があるのに、なぜかアドレス110も同時展開。
その理由のいちばん大きなところが、たぶん今回お伝えしたい『ハンドリング』の部分だと思います。
そこでまず大前提として言っておかないといけないのが、アドレス110は『軽い』ということです。
車両重量はジャスト100kg。
アドレス125は車両重量109kgで、9kgもアドレス110のほうが軽い。
小排気量でアンダーパワーのバイクにおいて、9kg差は絶大な効果があります。
前回の【エンジン編】でお伝えした『やたら60km/hまでが元気な』加速力の話にも、この軽さが関わっているはずです。
でも、軽さでいちばん違いを体感できるのは、やっぱりハンドリングでしょう。
ちなみにアドレス110のハンドリングって、ちょっと不思議な感覚があります。
軽いのに優しい、という不思議な動きのアドレス110
わたし(北岡)としては、原付二種スクーターに鋭いハンドリングを求めていませんが、アドレス110の動きにはちょっと驚きました。
写真みたいにがっつり走らせる必要はないんですけど、そうして積極的にプッシュしてみた時にまず感じたのは『動かしはじめの軽さ』です。
これはやっぱり車重の軽さによるところが大きいでしょう。曲がろうと思ってアクションした瞬間に、素早く、ビッとバイクが動きます。
乗り手の意思と、車体の動き始めにタイムラグがほとんどありません。
でも、クイックというのは違う。不思議なことに、そこから先が穏やかなんです。
これはアドレス110の前後14インチホイールの特性だと思います。
あと、アドレス125よりワンサイズ細いタイヤも軽快さに影響を与えているはず。
動き出しは軽いけど、そこからバイクが寝ていく動きには優しさがあります。
これなら普段バイクに乗らない人がパッと乗っても怖さがない。うまいサジ加減です。
軽快だけど優しい。
リラックスしたまま、バイクを曲げていくことができます。
ハンドリングが正確。自然にコーナリングが決まるアドレス110
前後ともに14インチの大径ホイール。
これによって優しいハンドリングが生み出されている訳ですが、それともうひとつ大事なのが『前後とも同じホイールサイズ』という部分です。
これによってアドレス110はバイクを傾けた分だけ、自然に曲がっていきます。
あえて比較で言うならアドレス125はフロントが12インチ・リアが10インチのホイールなので、アドレス110に比べると、ハンドルの舵角が強めにつきます。
【アドレス125の記事はこちら】
アドレス125はリア10インチのホイールで軽快さを出し、フロント12インチホイールで安定感をバランスさせているイメージでしょうか。
バイク乗りとして感じる、いわゆる『ニュートラルなハンドリング』という面では、アドレス110のほうが綺麗な弧を描いて曲げていきやすい印象です。
ちなみに最上級の『スウィッシュ』は前後とも10インチホイールです。
こちらは小径10インチホイールの特性を活かして、ニュートラルさもありつつ、クイックに曲がる特性に仕上げられています。
だけど、ここでもわたし(北岡)はアドレス110がけっこう好感触でした(笑)
大径14インチホイールは不意のアクシデントに強い
例えばこういう……コーナリング中にマンホールとか。雨の日もそうです。
タイヤがグリップの限界を超えたり、滑りやすい路面状況も含めて、小さいホイールのバイクは、どうしても挙動がナーバスになりがち。
でもアドレス110は大径ホイールなので、万が一タイヤが滑った時も、動きは比較的穏やか。バイクに乗り慣れている人なら対処する余裕も生まれます。
アドレス110は重量の軽さと、細めのタイヤを土台にして軽快さを出し、大径ホイールで優しさのバランスを取っています。
逆に言うと先の『スウィッシュ』は、前後10インチの小径ホイールにより、根本的にクイックさを基調としつつ、すこしタイヤサイズを太めにして安定感を作り出してる。
アプローチ方法が違うんですね。
日常の『足』としての原付二種スクーターなら
バイクの趣味嗜好というのは人それぞれなので、鋭いハンドリングの125ccスクーターを求める人もたくさんいます。
でも、わたしは気軽さのほうが重要なので、基本のキャラクターが優しいアドレス110が好きです。
運転していて疲れないし、気分よく走れますから。
ここは本当に『実用性』として……ですが。
雨でも何でもひたすら乗り倒すなら『アドレス110』は、かなり安心感高め!のスクーターだと思います!
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