「難しい」と「楽しい」は表裏一体?
2022年のモデルチェンジで、走り出しからそのパワー感に驚かされた新型「カタナ」。
1年前、初期型に試乗した時から新型カタナはスポーツに振ったバイクだと認識していましたが、第二世代を市街地で乗った感じでは、さらにそのスポーツ性能が向上していることは間違いなし。
その進化を体感すべく向かった峠は、路面もきれいで天気も良好。ドライブモード(SDMS)はもちろんフルパワーのAモードに設定。
試しに直線でアクセルを大きめに開けてみると、第一世代とはまるで違う鬼のような加速を見せます。
ただ、この点に関しては前回の【街乗り編】のこともあり、まぁ予想通りといいますか、この一年様々なバイクに乗ってきたのでそこまで動じずに済みました。
GSX-R1000Rとかスゴい、というかヤバかったですし……
逆に、このパワフルなエンジンに新型カタナの扱いやすいハンドリングが合わされば、前よりさらに気持ちよく走れるのでは?
なんて思いながら、しばらく走っていたのですが、だんだんと焦りが……
あれぇ、なんか思い通りに走れないぞ……?
何って、コーナーで思うようにアクセルを開けられない(汗)
まぁ、そうですよね……スロットルレスポンスがまるで違うんですから。ただの直線ならどうということはありませんが、バイクが寝ている状態では話が変わります。
前モデルは、リッターバイク初心者だった私(石神)でも「上手くなった」ように感じさせる扱いやすさがあり、かなり思い切った走りができていた記憶があります。
ですが今回、最もスポーティなAモードだと、あまりのパワフルさにスロットル操作がシビアになって、特にコーナー半ばのパーシャル維持と立ち上がりで妙に上半身が力んでしまう感覚。
2速で走っている状況では4000~5000回転でも、わずかにスロットルを開けるだけで車体は前に飛び出していこうとします。
それはギャップを踏んで手元がブレた時なんかにも起こるので、悪路では直線でも油断できません。
ブレーキはスーパースポーツGSX-R1000Rのような強烈な感じではなく、広い速度レンジでコントロール性の高いもので、前モデルからタッチは変わっていない印象。
前後サスペンションも若干硬質ですがギャップでの大きな揺り返しもなく、ブレーキングでしっかりフロントが踏ん張って、タイヤの接地感はしっかりある(と思う)。
ライディングポジションも変わらないから、初期型同様リーンインからリーンアウトまで道に合わせて乗り方は自由自在。
新たに搭載されたクイックシフターのおかげでクラッチ操作の頻度が下がったため、ブレーキングに集中できるのも嬉しいポイント。
それでも、エンジンの出力特性の変化だけで、完全に手に余るモンスターバイクに変身していました。
そこでBモードに変更してみると、こっちはちょうどいいパワー感。やはり少し力強くはなっている印象ですが、概ねはじめて新型カタナに試乗した時の感覚。
でも、どうせならコイツのAモードを乗りこなしたい……。
そうして試行錯誤を繰り返しているうちに気づいたのは「難しい」からこそ「楽しい」ってこと。
初期型は峠に入ったひとつめのコーナーから思った通りに扱える楽しさがありましたが、第二世代は(Aモードの場合)扱いが少し気難しくなった分、上手く乗れた時の快感は格別。
扱いやすさを重視した初期型とは真逆の方向性に感じる第二世代カタナですが、より高い次元の走りを楽しみたいライダーにはかなり嬉しい進化を遂げていました。
ちなみに、試しにCモードでも走ってみましたが、直線の短い峠道では速度が乗る前にブレーキングに入らなければならない印象があり、立ち上がりも思っている以上に加速が穏やかなので、キビキビ走りたい性分の私には少しマイルドすぎる印象。
Cモードは路面状況が優れない時などに使うモードなのですが、初期型に比べてもかなり穏やかな印象なので、パワフルすぎるバイクで峠道はちょっと、というライダーさんにはCモードが逆に救いになるかもしれません。
(下に続きます)
正直「カタナ」と言えばレジェンドカタナのイメージが強く、初期型の新型カタナに乗るまでは速いイメージはありませんでした。
その初期型に試乗しても、新型カタナは「優しい系のスポーツバイク」という偏見を持ってしまっていましたが、今回の試乗で完全に認識が改められました。
これはガチのスポーツだ……
第二世代の新型「カタナ」、公道なら割と無敵なのでは?
To be continued……