様子がおかしいのはジクサーSF250ではなく……
特段足まわりやディメンションに変更はないので、本当に季節感や自分のフィーリングによるものですが、以前に増して長距離移動で快適さを感じることができた『ジクサーSF250』。
そのことからも、間違いなくフットワークの軽さによる街乗りの利便性だけでなく、街を飛び出してのツーリングも快適に楽しむことができる一台だと思います。
しかし、やはり以前このバイクに試乗した際に最も楽しかったのは、ワインディングでのスポーツライディング!
ウキウキしながら山間部のワインディングへ向かいます!
そして突入した峠道。
やっぱり楽し……
……あれ⁉
何か違和感が……。
サスペンションやブレーキには以前試乗したモデルから特に変更はないし、街中でも見せる軽快な走りはちゃんと楽しい。
なぜだ⁉
以前は冬で路面もカチコチでしたが、今回は夏で暖かく、タイヤもしっかりグリップしている感じがあります。
けれどフロントタイヤから得られる路面状況は解像度が低い感じ。
ブレーキも握りこめば十二分に制動力を発揮しますが、一番美味しいポイントを扱うのが難しく感じます。
前は喜び勇んでコーナーに突入していたのに、今はそれができない。
けれどジクサーSF250には目立った変更はない……
なるほど、どうやら変わったのはジクサーSF250ではなく、自分のようです(汗)
思えばこの1年半、いろいろなスズキのバイクに試乗してきました。
自分では気づかなかったけれど、試乗の度にああでもない、こうでもないと自分なりに勉強しているうちに少しはスキルアップしていたみたい。
でも今回は、それが逆に以前試乗した際とのギャップを生み、前回と同じ感覚では乗れなくなってしまったようなんです。
ですが、そもそも勘違いしてはいけません。
ジクサーSF250はレーシーなフルカウルに身を包んでいますが、サーキットで最速を競って走るタイプのバイクではありません!
もちろんスポーティーな走りも楽しめますが、基本は街中からツーリングまで快適性とスポーツ性を丁度いい塩梅にバランスさせたオールマイティーなキャラクターが最大の魅力!
それに気づいてからは原点に立ち返り、走り方を見直してみました!
原点に立ち返って『ジクサーSF250』でのワインディングの魅力を再確認!
まず、コーナー前のブレーキング問題。
ジクサーSF250は車両重量がとても軽いので、きちんとフロントに荷重をかけるのが難しい?
ブレーキングで無理にフロントサスペンションを縮めようとしても自分のスキルではうまくコントロールできないので、直線でのきちんと速度を抑えてから進入した方がスムーズにコーナーを楽しめます。
というかそもそも、そんな無茶な減速が必要な突っ込みなんて公道でやるものじゃない(汗)
そして一番大事だと感じたのが、エンジン回転数の使い方。
最初、峠に入った時はジクサーSF250がひと際馬力を発揮する7500回転くらいから10000回転まで引っ張って走っていたのですが、この範囲を的確に使うのがかなり難しい!
油断するとレッドゾーンに突入し途端にリミッターがかかってしまう他、シフトチェンジに失敗すると回転数が落ち込んで走りのリズムが崩れてしまいます。
そこで重要なのが5000から6000回転での力強さ!
街中や高速道路でも感じた軽やかな加速を活かし、5000から6000回転くらいをキープして走ると、無理なく気持ちよくコーナーをクリアできます。
そうして軽い車体と素直なハンドリングを活かし走っていると、だんだんとフィーリングがつかめてきました。
そう、これだよこれ!!!!!
やっぱりジクサーSF250のワインディングは最高に気持ちいい!
最初はフィーリングの変化に戸惑いもしましたが、やはりジクサーSF250はワインディングでのスポーツライディングで光るバイクでした!
……にしても終始、排ガス規制による高回転でのパワーフィールの違いは体感できなかった。
自分もまだまだだなぁ……。
(下に続きます)
久しぶりに『ジクサーSF250』でワインディングを走ってみて、自分の感覚の変化により、以前とは違ったジクサーSF250の一面も見ることができました。
それでも、ジクサーSF250には多くのライダーが技量に関わらず感じられる普遍的な魅力があると再確認しました。
次回は、そのあたりを含めた私の思うジクサーSF250像についてお話しようと思います。
To be continued……
【文:石神邦比古(モーターマガジン社)】