意外に好燃費? 『GSX-8S』の実測燃費を計ってみると……
あわや山の中でガス欠になるかとヒヤヒヤしながらガソリンスタンドに辿り着いた私と『GSX-8S』。
インストルメントパネルに予測残り走行可能距離が7kmと表示されてから、10km離れたガソリンスタンドまで走ってこれたわけですが、もちろん種明かしがあります。
けっこう勾配のある山道でタンク内のガソリンが前後したせいでしょうか……一時的にセンサーが少なく表示していたようです。実際、給油量は9.60Lでした。
『GSX-8S』のタンク容量は14Lなのでまだ5L弱残っていたことになります。
「なぁんだ、まだ走れたじゃん」なんて思いつつも、やはりゆとりのある給油は大切です。
特に地方のガソリンスタンドでは早く閉めてしまったり、定休日でやってなかったりするので……。
給油を終えて早速満タン方式での燃費を計算してみます。
220.6km走って9.6Lの給油なので実測燃費は約22.92km/Lとなりました。
これが個人的にはかなり驚きの数値。
というのも『GSX-8S』の公式で発表されている燃費のWMTCモード値が23.4km。スペック上の燃費性能と大きな差のない数値に思えますが、実際はここに着くまでワインディングを思いきり楽しんでいたので。
あれだけしっかり楽しんだのに燃費が大幅に落ち込むことが無かったんです。
都心を抜けるのに用いた高速道路でも特に燃費を気にして走行したわけではないのですが、不思議です……。
なにはともあれ、データは足りないですが本当にスロットルを開けても開けなくても燃費があまり変わらないのであれば、その辺りを気にせずワインディングでの走りを楽しめるのでプラスなポイントに間違いないですね!
この実測燃費から算出する航続距離は320.88km。
あれだけワインディングを楽しんで、300km以上の航続距離があるなら個人的には大満足!
大容量のタンクを積んだツアラーやアドベンチャーモデルに対し給油回数は増えるものの、ライトウェイトスポーツである『GSX-8S』においてはあまり考えても仕方ないことですね。
……つまり、山の上でもまだ200kmくらいは走れたってことか。
もったいないなかったか⁉
いえ、やはり早めの給油は大事です!
長距離の高速クルージングもバッチリ!……ただし、風以外だ
そんな意外な燃費性能を発揮した『GSX-8S』ですが、高速道路でのクルージング性能はといえば、想像よりも快適でした!
まず低速、中速域で非常にパワフルに感じたエンジンですが、高いギアで、ある程度速度が出ている状態の低中回転域では流石に穏やかになりました。
どのバイクでも同じじゃないか? とも思えますが『GSX-8S』は3速や4速くらいまでなら3000~4000回転でもかなり粘り強く加速する印象があるので、やはり高速道路での時速80~120kmくらいでの中回転域で落ち着きを感じたという感覚はあっているのではないかと……。
ただ、前述した通り中低回転でも粘り強く加速するので、排気量も相まって高速道路でせわしなくシフトチェンジする必要はありませんでした。
そもそも「スズキクラッチアシストシステム」のおかげでクラッチレバーは非常に軽く、ワインディング編でも挙がった標準装備のクイックシフターのおかげでシフトチェンジにさしたる煩わしさはないのですが……。
そして、高速道路では一回の移動でだいたい2時間くらい走っていましたが、ライディングポジションや薄く見えて座り心地の良いシートのおかげで身体のどこかが悲鳴を上げることもなく、終始快適に走っていられました。
というか、最近試乗する新しいバイクって本当にお尻痛くならないけどどういう仕組みなんだ……⁉
ただし、風の影響だけはもろに受けました。
こればかりはネイキッドバイクの宿命ですので仕方ありませんね……でも風を切って走るのがネイキッドバイクの楽しみでもありますから、これはプラスにとらえた方がよさそう?
ただ、この日は12月も半ばに差し掛かり、気温もそこそこ冷えました。流石にウインドスクリーンが恋しくなる季節ですので、真冬に走る場合はきちんと防寒装備を整える必要がありそうです。
逆に、春先や夏場のツーリングではパワフルな加速を加味しても爽快感がすこぶる高そう!
(下に続きます)
1日『GSX-8S』で走り回ってみましたが、個人的にはスポーツライディング好きでショートツーリングを連発するライダーさんにはかなり魅力的なパッケージになっているのではないかと思います。
街乗りで感じたことを含めた『GSX-8S』への総合的な印象を次回まとめます!
To be continued……
【文:石神邦比古(モーターマガジン社)】