満を持して走り始めたGSX-8R再検証。走りの印象も前回とはまるで違ったのですが、それ以上に驚いたことが起きました。

GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

優しいツアラーでバイク初心者にもおすすめです! みたいな印象からはじまった私の中の新型『GSX-8R』ですが、改めて環境を整えて乗ってみると……まぁ、ずいぶんと印象が変わりました。

だけど、8Rはやっぱり『バッキバキのスポーツ系』ではないように思えています。

だけど、そうは言っても『ツアラー』とか『大型バイク初心者向けバイク』って訳じゃない。もちろんツーリングもビギナーにもかなりおすすめできるのですが、私が感じたのは別のことです。

このあたり、少々「ライダーによる」かもしれませんが……

画像1: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

例えば先日、私は1000ccの『GSX-S1000』に乗って、その感想を綴らせて頂きました。その際には『走る楽しみに一瞬で引っ張り込んでくれる』とお伝えしています。

そして翌日には下半身を中心に、ビッシビシの筋肉痛になったのです(笑)

私の場合だけかもしれませんが、ある程度気合を入れてバイクでスポーツしようと思うと、下半身での車体ホールドに必死&全力になります。

そして、翌日の筋肉痛は『達成感』として、逆に心地いいものだとすら感じています。これ、バイクでスポーティな走りを嗜む人ならば多少は共感いただけるのではないでしょうか?

わかりやすく言うと、こんな感じ。

画像2: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

上の写真は編集部の若手25歳の石神クンがスズバイ編集部に加わった頃に『面白半分でGSX-R1000Rに乗せてみた』時のひと幕です。

それなりにバイクの運転に自信を持っていた彼でしたが、結果はご覧の有様に。

まぁGSX-R1000Rは極端な例ですが、良い意味で『バイクでスポーツすると疲れる』んです。

筋肉的な部分だけじゃなく、集中するからメンタル的にも。それが普通ってものでしょう。

ですが私としては、それもフルカウルスポーツの醍醐味のひとつだと思っています

ところが……

画像3: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

ワインディングでの『GSX-8R』は不思議な感覚でした。

最初は「前と違って走りやすい環境だったから」だと思っていたんですが、それだけじゃどうにも説明がつかない……

最初は8Rの走りを再確認するつもりで、タイヤの様子を見つつ軽く流して走っていて、そろそろいいかなって思って。

画像4: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

ヒョイッと!

なんか……ものすごく気楽にバイクが寝ていくんだけど……

別にこの時は、一気にフルバンクまで!なんてことをしていた訳じゃないし、それを狙っていた訳でもありません。もちろんバイク自体はすごく軽快で、それもあるんだろうけれど、それ以上に『え?』と思うくらい、楽に狙った角度までバイクを寝かせていけたんです。

画像5: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

この『え?』の感じは“気楽さ”という点でのみなら、ちょっと『隼』に似たところがあります。だけどGSX-8Rはもっと軽く、スッと動く。対して隼は重厚&ド安定。

8Rはやっぱり軽量コンパクトな前後17インチのスポーツバイクらしい動きなので、走りの感覚としては隼とは全然別モノなのですが……

画像6: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

そして、ブレーキの感覚もわかりやすいです。制動力を読みやすい、と言うか……イメージしやすいと言うべきか。

コーナー進入までにこれくらい減速して、これくらいブレーキ残して……そういうコントロールが「特に意識することなく」自然にできる。そういうフィーリングがありました。

そこからのコーナー脱出、立ち上がり時も同じ感覚が消えません。なんか気楽……

画像7: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

SHOWA製SFF-BP倒立フォークを装備したGSX-8Rは、アクセルONの後もイメージ通りの立ち上がりラインをトレース。立ち上がりでアウトに膨らむことも一切ない。

この時はまだドライブモードセレクターSDMSをB(Basic)モードで走っていたのですが、妙に余裕があって、コーナリング中に周囲の安全をきっちり確認できるほどの視野の広さを確保できていました。

そうすると、ひとつのコーナーが終わる前に次のコーナーをじっくり観察できてしまうんです。

画像8: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

なので、慌てず次のコーナーへもポーンとバイクを放り込んでいける。

え、ちょっと待って。

自分ではそれなりのペースで走っているつもりなのに、いつもより全然ラク……なにこれ? ぜんぜん疲れないんだけど!?

画像9: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

体力的にもそうですが、それ以上にメンタル的に疲れない。集中力が切れません。

でも走ることに集中していたつもり……なのに余裕があるから削れていかないんです。

『あ、ちょっと俺もう一本いってくるわ!』

そんな風に、ワインディング区間をみっちり走り終わった後も、なんだか走り足りないような気がするほどでした。

画像10: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

なんと言ったら良いのか……疲れないスポーツバイク決定版?

何度も言いますが、自分ではそれなりのペースで走っていたつもりだし、フォームだって意識して8Rのスポーツ性を少しでも引き出すように努力していたんです。

そんな中で思ったのは『長丁場を走る耐久レースのレーシングマシンってこういう感じなのかな?』ということでした。でも、そうだとしたらGSX-8Rって実にスズキらしいスポーツバイクっていうことになるのでは!?

画像11: GSX-8Rならワインディングを延々と走っていられる気がする……

この感覚は、今ラインアップされているスズキ現行モデルの中には無いものです。

私としても非常に新しい感覚なので、うまく伝わらないような気がしてなりません。こういう走り方をするスポーツバイクに乗ったことがない……同時に、私の中で『バイクでスポーツすると疲れる』という常識が儚く崩れ去りました。

(下に続きます)

うわぁ……このバイク、優しさの奥に特にとんでもないものを隠し持ってるのかも!?

走っても走っても疲れないフルカウルスポーツ? そんなことって、ある!?

ということはGSX-8Rって……

耐久レーサーのような走りの雰囲気を感じるナンバー付きのスポーツバイク。あるいは峠道を無限に走り続けられる『ワインディングの鉄人』養成バイクってことになるんじゃないか!?

【文/北岡博樹(モーターマガジン社)】

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