ベストセラーの実力……やはり『SV650』も侮れない
新設計の排気量775cc直列2気筒エンジンを搭載して新登場したスズキのミドルスポーツGSX-8R/8Sの2台。
ようやく先日、じっくりと最新のGSX-8Rに乗ることができて、その本質もすこし見えてきたように思います。
そのGSX-8Rの記事でもお伝えしたことですが、8Rにちゃんと乗った後に思い浮かんだのはSV650のことでした。
GSX-8R/8Sが登場するまで『スズキ大型バイクのベストセラー』としての地位を盤石にしていた650ccネイキッドです。
いまさらこのバイクの特徴についてお話をする必要はないかもしれませんが、いちおう『スズキのバイク!』編集部的な目線でおさらいをしておきますと……
概要としては『シンプルなネイキッドバイク』で大きく間違っていないと思います。
剛性を十分に確保したスチール製トラスフレームは軽量で車両重量は205kgにまで抑えられ、Vツインエンジンならではの形状を活かしたボディは極めてスリム。そのおかげでハンドリングも軽快です。
そして排気量650ccのエンジンは最高出力72馬力を発生。低回転域もV型エンジンらしく充実していますが、本領発揮には高回転まできちんと回す必要がある……といった印象でしょうか。
そのうえでアップライトなネイキッドスタイルで乗車姿勢もラクちん! スリム&コンパクト&ほどよいパワーの3拍子が揃っているため、SV650は『大型バイク初心者にも最適!』なんてよく言われます。スズキの“優等生”といった評価が一般的かもしれません。
ですが、我々『スズキのバイク!』編集部としては別の見解もあります。
大型バイク初心者向け……なのか?
それをひと言で言うのであれば、『これを初心者向けって言っていいの?』というもの。
これはもう現行モデルに限らず昔からそうなんですが……
走らせると、けっこうガチ系にしか思えない。本気で向き合おうとするとけっこう……いや、かなり楽しんで走れます。
ちなみにこの感覚は私(北岡)だけのものではなく、編集部の若手スタッフの石神クンははじめて乗ったSV650に対して、
バキバキのスポーツバイクやないかい!!!
と、盛大にツッコミ入れてました。
でもそうなんだよね、本当に……
いわゆる650cc前後の中間排気量帯『ミドルクラス』において(フルカウル系スポーツを除いたら)このSV650がいちばんスポーティな走りを楽しめるんじゃないか? と、私は思っています。
とはいえ、街乗りでの扱いやすさはリアルにアンダー400ccクラスの気軽さなので、その点だけをピックアップすれば『大型バイク初心者向け』というのも正しいんです。
本当に400ccバイクみたいな気軽さで乗れる。大型二輪免許が必要な排気量帯のバイクとしては貴重なほどのフレンドリーさです。ボディが小さいのがまたイイのよね。
おかげでUターンもヒョイッ!ってなもの。これは足つき性が良いのも理由のひとつです。
ちなみに実を言うと私、Uターンが苦手でして……身長は176cmあるのでシート高785mmのSV650において足つき性で不安を覚えることはありません。でもUターンの時とかはSV650の足つき性が超ありがたい。
『俺、Uターン上手くなったな!』
って、いつもSV650が自信を持たせてくれてます。優しいのね、アナタって。
ただ、そこから『追い込むと深い』と言うか『スズキらしい』と言うべきか……
ぶっちゃけますが、私(北岡)レベルの運転技術ではSV650の本領をフル発揮させることはできません(笑)
例えばコレとか。スズキさんの海外でのプロモーションムービー(2016年)のワンシーンですが……
ステップから火花……出すぎ……よね?
もちろんコレはコントロールされた環境下でプロライダーが乗っての話なので、善良なスズキ民のご同輩がたは真似をしてはいけません。
まぁ『SVってこういうこともできちゃうんだぜ!』 という程度に考えておきましょう。
(下に続きます)
さておき、2年ぶりのSV650。
このところ『GSX-8R』やら『GSX-S1000GX』といった最新モデルに乗ってばかりの私としては目の覚める思いでした。
なんというかSV650が……限りなく純粋に『バイク』だったんです!