ネコを被ってる『GSX-8S』の本性を現すとヤバい……
初見でGSX-8Sに乗って、軽く街乗りを……そういうシチュエーションにおいてこのバイクは非常に誤解されやすい。その理由を【前編】でお伝えしてきたつもりですが……先にも言ったようにそれはただ8Sが『ネコを被ってるだけ』です。
マフラー含めたサウンド系が、見た目にそぐわず静かなのもそう感じる一因なのかもしれません。
ただし、このサウンドの話も【前編】で言ったとおりエンジン回転数3000~3500回転以下の「従順ゾーン」だけの話です。
現在、GSX-8Sのオーナーになってる人はわかると思いますが、高回転まで回していけば吸気音も含めて十分に気分を高揚させてくれるサウンドが楽しめます。排気管の音量が抑えられているだけ、です。
でもまぁ、それもあって高速道路でのクルージングはツーリングバイクのような平和感。
ネイキッドスタイルで走行風は直撃なので、長い距離を乗る場合は巡航速度も自然に100km程度に落ちついてきます。こういうシチュエーションも3500回転以下の「従順ゾーン」で走るのがおすすめ。
ただし、そこからアクセルを開け足すと低~中回転域の力強さを重視したエンジンが目覚めて、笑える勢いでスッ飛んでいこうとしやがる。202kgという軽さも手伝って、その時の加速はリッターバイクも真っ青です(笑)
なので、ライダーの心の安寧を保つためにはSDMS(スズキドライブモードセレクター)を潔くA(Active)からC(Comfort)に切り替えましょう。B(Basic)ではありません、Cです。
なぜって……Bでも軽々とスピードが乗っていくから。スズキの新設計エンジンと重量202kgの軽い車体をナメてはいけません。
逆に言えば「軽さにこだわる」「トルクのあるエンジンにこだわる」というスズキのスポーツバイク哲学が感じやすい部分かもしれませんが……
新しく見つけた『GSX-8S』のあそびかた
そうこうして到着したのは、これまでよりもタイトめなワインディングロード。
今回はあえてGSX-8Sを「大型バイクを走らせるにはちょっと狭い」と感じる場所に連れてきました。
新型のフルカウルGSX-8Rに乗った後に思ったのですが……GSX-8Sってこういうシチュエーションのほうが楽しそうな予感がしたのです。
通常の感覚で言うとMAX80馬力のスポーツバイクって、広々としたワインディングをバキューンッ! と駆け抜けたいイメージがあるじゃないですか?
ちなみに兄弟車のGSX-8Rはまさしくそういうバイクでした。
ただ、8Sの足まわりは8Rよりもしなやか方面のセッティング。特にフロントフォークです。
初見ではこのフォークに翻弄された感があり、その特性をうまく活かしきれなかったと思っています。
具体的に言うと(広めのワインディングで)コーナー脱出時に若干アウトに膨らみ気味になる。この傾向は「バイクの運転が上手い人」なら制御できると思うのですが、技術的に“普通”の私(北岡)ではサスペンションを制御しきれない部分があるんです。スピードの乗りやすいコーナーでは特に。
だけどタイトな峠道の場合は、加速からギュッとブレーキして、また加速! という流れがごく自然にできます。言ってしまえば、私レベルの運転技術でも走りにメリハリをつけやすいっていうこと。
そうアタリをつけて挑んだワインディングだったのですが……
大当たり!!!
これは……めちゃくちゃ楽しい!?
ヘアピンとか直角とか、とにかく『グリッと曲げるコーナー』が最高です。高速コーナーとかはブレーキリリースのタイミングがぼんやりしがちですが、タイトコーナーでは必然的にブレーキリリースから一気に車体を寝かせる必要があります。
(下に続きます)
なるほどそういうことか!?
昨年にGSX-8Sに乗った時に直面した問題が氷解した瞬間でした。
8Sのポテンシャルを引き出す走りかた……ちょっと見えてきたかも!?